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三越伊勢丹・中島さんに訊く ショッピング新時代、小売ECサイトの役割とは


ECは小売のど真ん中 うまくいかなくてもやめる選択肢はない

――2015年度のEC売上が120億円。御社からしたら小さいかもしれませんが、なかなか下地が整わないうちに、トップ100に入る規模の売上ですね。

先ほどもお話したように、僕が入社する前から、それほどプロモーションをしなくても数十億円の売上がありました。僕が入社してから、一気に一般商品を増やしましたので、一般商品の売上は何百%単位で伸びましたが、あまり伸びしろのないと思っていたギフトも、結構伸びています。

特別なことはしなくても、実店舗に置いてある商品の数を揃えていけば、採算が合うかどうかは別にして、ある程度売上は上がります。ECは商品を増やして、説明をきちんとして、露出を増やす。それと並行して、お店の作り、つまりユーザビリティや機能を充実させて、滞留時間を長くする。当たり前のことを当たり前にやるが、僕の論理なんです。

でも、どこの会社も迷って徹底できていない。ECを、まだひとつの店舗としてしか見ていなかったり、販促だと考えていたり、いまだに新規事業扱いしていたり。本気度が見えないですよね。ECで売れるようになると、実店舗の売上が下がると思っている人たちも、まだいますし。それを変えるには、評価制度や売上のつけかたを工夫すればいいのですが、古くからある業態ほど、時間がかかっていると思います。一方で、Masy'sがECに貢献していない店舗を閉店するというニュースがありましたが、そういう考えかたは出てくるのかなと。日本はまだ、EC化率が低すぎますから。

――実店舗ありきの企業も、EC化率4%を目指すべき?

4%がいいとは思いませんし、どこを分母にするかによっても変わってきますからね。でも僕の考えでは、実店舗を持っていてそこそこの知名度があるなら、実店舗の全商品をWEBに上げて、普通のレベルのWEB広告をやれば、5%はあっと言う間、10%まではいくと思います。そこまでいかない理由は、実店舗の商品の一部しか掲載できていないなど、徹底できていないからです。

――小売業さんのECは、どうしてもAmazonさんと比較したくなるのですが。

Amazonさんは自社で小売もやってますけど、基本的に仕組みを回すビジネスモデル、利便性を追求するビジネスだと思っています。始まりは小売だったけれども、基本的に仕組みを回すビジネスモデル、利便性を追求している。

自分たちが信じる良いものを、適した価格で、適したサービスで販売するのが小売業だと考えています。バリューのある商品を、ここで買ってよかったと思われる接客で提供していく。具体的には、コーディネートを提案し、きれいな梱包で届け、のしを目見でチェックするようなサービスを付加することです。

――とはいえ、Amazonさんの成長によって、日本の小売業はピンチ!といったことはよく言われますよね。

エコノミクス的に言うと、人口減などの理由からピンチだと思います。百貨店、スーパー、コンビニと、時代が変わるごとに、小売のナンバーワン企業の業態が様変わりしてきましたよね。だから、それぞれの業態ごとに危機感は持っているでしょう。でも、ピンチだと言ってるのは既存業界の人たちです。景気が悪いときにも伸びる業界はありますから。「転換期」だとは思いますけれど。

Amazonさんとの比較について言われましたが、僕はEコマースとリアルを相対して見るつもりはありません。実店舗は、ある地域のあるお店があんまりうまくいかなかったら、閉店するという選択肢があります。でもECは、小売のど真ん中で、うまくいかないからやめるというわけにはいきません。実店舗とあわせて、両方やっていかないといけない。

Eコマースとリアルで、カニバリの話がよく言われますが、そんなことはない。お客様はどちらも使われますし、どちらもメディアで、インフラで、重要なお客様とのコンタクトポイントなんです。さきほど「露出を増やす」のがポイントのひとつだと言いましたが、ECがあることで、Eコマースでもリアルでも売上が上がります。ECがうまくいかないからやめるというのは、小売業やめますか?というのと同義です。

――今後の具体的なアクションとしては?

カテゴリー別のEC、まずはラグジュアリー商品しか掲載しない、ラグジュアリーECサイトを作ります。総合サイトのほうがSEO的にはいいのですが、せっかくお店まで来たもののイメージが違うといことで、中に入っていただけないなら意味がない。それなら、実店舗やオウンドメディアからの集客を前提に、専門サイトを作ります。

一般的な百貨店に家族で行くと、お父さんが専門館にひとりで行って、お母さんとお子さんが本館に行く、そして買い物を終えたら食品売場に集合する、みたいな流れがあります。そういう流れもできるような、それぞれのお客さま向けの専門館的なWEBのほうも作っていく。

そういう売りかたをまだまだ考えてシステム対応しているので、情報収集は別として、新しいテクノロジーを実装する優先順位が低くなってしまうんです。つまり、新しいテクノロジーを使うよりももっと売上に効果のあるベーシックなところをやっているんです。

このことも踏まえて言うと、小売の人はシステムを理解するまでに時間はかかるけれども、わかってしまえば売りかたも知っているから強いと思います。

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この記事の著者

ECzine編集長 倭田 須美恵(ワダ スミエ)

2013年11月11日、ECzine初代編集部。ならではの視点でECに関する情報をお届けしたいと思います。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://eczine.jp/article/detail/2785 2016/08/10 15:44

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