EC戦国時代を、あらためて振り返る
こんにちは、アラタナです。これから新たに通販事業への進出を考えている運営者様向けに、具体的に何をしていかないといけないのか。そんなお話をしていきたいと考えています。計12話の記事を出筆させていただく予定です。よろしくお願いします。
まずは、事業環境のお話をしたいと思います。今は「EC戦国時代」と言われているのをご存じでしょうか。「戦国時代」というワードからも連想されるように、弱肉強食の時代環境になっています。
なぜそのような状況になっているのでしょうか。それは、インターネットビジネスの特徴にその理由があります。皆さんがインターネットを閲覧する時には、PCまたはモバイルのデバイス越しになります。この画面サイズが小さい(制限がある)ことが今の環境を生んでいます。
画面サイズという物理的な制限がある一方で、インターネット空間は制限がなく、世界中の情報に瞬時にアクセスできます。しかし、見ることのできる情報は限られているため、大量に情報があったとしても、ユーザーが到達できる情報は一部に集中するのです。
ECをはじめる企業とインターネットで買い物する人は増えています。その一方で、ユーザーが購入するお店は特定の店舗に集中します。結果的に、一部の店舗が売上を独占してしまう状況になります。
さらに、売上を独占した企業は、その他の企業よりも儲かっていますので、再投資がしやすくなります。再投資はマーケティングやシステム改修に回すだけではなく、価格競争やサービスにも回せます。
そうなると、さらにユーザーから選ばれるサイトになるという好循環を得ることができます。今は、この状況が以前よりも顕著になってきており、まさしく強いものがより強くなっていく、戦国時代なのです。
ECとリアル店舗は、売りかたが異なる
ECとリアル店舗のビジネスは、同じものを売ってはいても、売りかたはかなり違ってきます。リアル店舗で調子がいい企業がECでつまずくことが多いのですが、これは売りかたの違いを理解せずに、インターネットでも、リアルと同じ施策を行ってしまうからです。
違いを以下の例で示します。
インターネット店舗 | リアル店舗 | |
---|---|---|
競合店舗との距離 | 5cm | 数十km |
ターゲット | 1.2億人 | エリア内の人口数 |
変更難易度 | 容易 | 困難 |
集客 | 検索エンジンなど | 立地 |
リアル店舗では、店舗立地が成功要因の多くを占めるのはないでしょうか。お客様に、実際に店舗に足を運んでいただかなければ、売りにつながりません。だからこそ、交通量の多い道沿いの店舗は不動産価値も高く、出店する時の投資額も運営額も多くなります。
さらに、お店に気づいてもらうために店舗へ装飾しなければなりません。加えて、運営開始後に施策を変えたいと思っても、変更は困難になります。初期投資額も大きいですし、お客さんの属性を変えたくても、変えるには立地から見直す必要があります。
リアル店舗は最初の計画が最重要で、うまくいくか否かは計画で大体決まってしまうといっていいのかもしれません。
一方でECでは、お客様は世界中のどこにいても、検索エンジンを通して瞬時に店舗にアクセスすることができるため、事業者はリアル店舗では最重要課題であった立地を考慮しなくてよくなります。
しかし逆に言えば、ひとつの画面の中に複数の店舗が密集している状態であるため、店舗設置当初は、順調に業績が伸びていったとしても、うまくいく方法は他の企業も真似してきますので、新しい方法を模索し続けなければなりません。