コーヒーを極めた「UCCグループならでは」の体験強化を考える
コーヒー関連事業を中心に展開するUCCグループは、主力の業務用や小売向け商品だけでなく、カフェチェーン「上島珈琲店」や世界の農園から仕入れたコーヒー豆を販売する専門店「UCC CAFÉ MERCADO(カフェメルカード)」を展開しており、長年BtoCにも注力している。
同グループのBtoC展開はリアルな接点のみならず、近年ではECチャネルにも積極的に進出している。カプセル式ドリップコーヒーシステム「ドリップポッド」の発売や、「COFFEE STYLE UCC」のECサイトを2019年に開設したのを皮切りに、オンラインチャネルの強化に着手。2021年には「UCC公式オンラインストア」を開設し、顧客が常にUCCグループの商品を手に取れる場を設けた。現在はモールも含め、複数チャネルを展開している状況だ。
同グループでEC推進に取り組む染谷氏は、UCC公式オンラインストアを立ち上げた理由についてこう語った。
「これまで量販店を通して販売していた商品を、直接顧客に届ける場を設けようと考えました。ECサイトは、消費者の生の声やデータを得られる大事なチャネルです。商品やサービスを発展させていくためにニーズの理解は欠かせません」(染谷氏)

ECチャネルを強化すれば、店舗よりもリーチできる顧客層を格段に広げられる。購買データを活用して、販促活動の効率化や投資対効果を予測した事業計画の立案も可能だ。
メリットも多い一方で、特にここ数年はコロナ禍による急速な需要拡大から、リアル需要の戻りによる落ち着き、物流2024年問題などによるコスト増といったように、環境の変化も大きい。時流に合わせた施策を行うなど、EC運営には臨機応変な判断も必要だ。
「UCCグループは、コロナ禍以前からオンラインとオフライン両方でBtoCの取り組みを進めていました。特にこれまでオンラインで取り組んできたことは、結果的にコロナ禍に追い風となりましたが、今は再びリアルの体験が求められるようになっていると感じています。2024年以降は、コロナ禍に進化したテクノロジーやツール・サービスを活用しつつ、リアルな場だからこそ得られる体験や、店舗とECサイトに相乗効果をもたらす価値提供を目指さなければと考えています」(染谷氏)
UCCグループには、前出の店舗以外にもコーヒー専門教育機関「UCCコーヒーアカデミー」を運営しており、コーヒーに関する専門性を生かした顧客と触れ合う場が既に多数存在する。
「『コーヒー』をテーマにした、特別な体験をお客様に提供できるポテンシャルがあります。ECチャネルに特化せず、UCCグループの総合力を生かして取り組んでいけたらと思っています」(染谷氏)