「みんな平等」を謳う日本だからこそ、響く提案がある
自社ECを利用する顧客へのレレバントな体験提供と、事業者の収益性向上につながる付帯収入創出の両立をすべく、「Eコマースの『購入の瞬間』に宿る可能性の解放」にチャレンジするRokt。大野氏は「顧客にとってレレバントな体験構築や広告事業を通した付帯収益の創出を目指すEC事業者と、ECの『購入の瞬間』に顧客にリーチしたい広告主との間にRoktの機械学習エンジンが入り、顧客を含めた三者がwin-win-winとなる関係を目指しています」と語る。
事業者がファーストパーティデータの活用を進める際、「データを利用された顧客が嫌な気持ちにならないか」と不安を覚えるケースもあるだろう。しかし大野氏は、日本の対象者の80%が「レレバントな体験を作り出すためにファーストパーティデータを活用しているECサイトでは、普段以上の金額の買い物をする」と回答した自社調査を提示し、次のように述べた。
「グローバル平均は71%ですが、それよりも高い数値が出ています。わかりやすい例を挙げると、家電量販店で購入した際にカフェなど近隣施設のクーポンが発行されてうれしいといった経験がないでしょうか。データ活用に抵抗感を覚えるのは、その結果導かれる提案が個々人のニーズと合致していないからです。自身の行動や欲求、嗜好と合った広告であれば、グローバル以上にデータ活用を受け入れてくれる。日本の生活者にはそんな風潮があるといえます」(大野氏)
「日本は、教育の中で『みんな平等』といった概念が刷り込まれているきらいがあると感じています。しかし皆さん、『あなただけの特別感』を享受して嫌な気持ちにはなりませんよね。こうした特別感を演出してもらえるのなら、自分のデータを提供しても良いと考える方は少なくないでしょう。XPRICEも、顧客に喜んでいただくためのファーストパーティデータ活用を進めています」(城守氏)
「良い意味で異常」 Rokt Ecommerceがもたらしたメリットとは
もともと、広告施策としては音楽アプリや光回線など、家電と関連する事業者のインセンティブ施策のみを実施していたXPRICE。「Rokt Ecommerce」の導入は、自社の付帯収入獲得につながるというメリットを感じながらも、購入後に新たなオファーを提示するのは「スムーズな体験を損なわないか」「顧客からクレームが出て、ブランドに影響しないか」といった、漠然とした不安を抱えていたと城守氏は振り返る。
しかし、結果は良い意味で予想を裏切った。2023年に導入し、これまで顧客からネガティブな問い合わせはなく、逆に「あのオファーをまた見たい」といった声が寄せられたという。数字面でも、広告表示1,000回あたりの収益性を示すeCPMパフォーマンスは6,680円、平均ポジティブクリック率は8.3%と、既存の広告やCRMのアプローチと比べて「良い意味で異常値をたたき出している」と城守氏は補足した。
「既にある程度の売上が立てられている自社ECに新たな仕組みを入れて、ネガティブな反響が生まれるのは避けたい。その気持ちはよくわかります。しかし、前出の調査結果にもあるように、適切なオファーをお届けすれば顧客に喜んでいただけるのです。自社ECという既存資産を生かしながら、ブランド価値を損なわない方法で収益を高められたのは、XPRICEの今後にとっても良いことだと思っています」(城守氏)