リユース事業は近年国内外で需要が高まっているビジネスですが、この領域で存在感を発揮しているのがデファクトスタンダードです。国内はもちろん、国外への二次流通も手掛ける同社は、ECをどのように使い分けているのでしょうか。
この記事では、デファクトスタンダードが展開する国内外に向けたEC施策について、それぞれどのような取り組みをしているのかを詳しく解説します。
株式会社デファクトスタンダードの企業情報・事業内容の概要
まずは、株式会社デファクトスタンダードの基本的な企業情報や事業内容について、概要を解説します。
株式会社デファクトスタンダードの企業情報
以下は株式会社デファクトスタンダードの企業情報をまとめたものです。
社名 | 株式会社デファクトスタンダード |
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本社所在地 | 東京都大田区平和島3-3-8 山九平和島ロジスティクスセンター 5F |
設立年月 | 2004年4月 |
代表者名 | 代表取締役社長 仙頭健一 |
株式公開 | 非上場 |
資本金 | 1億円(2022年9月末時点) |
おもなグループ会 | BEENOS株式会社(主要株主) |
株式会社デファクトスタンダードの事業内容
株式会社デファクトスタンダードは、ECサイト特化の買取サイト「ブランディア」を運営している会社です。
国内のブランド品およびその他のリユース商材を、インターネットをはじめとするテクノロジーの力で国内外へと二次流通させるプラットフォームを展開しています。宅配やリモート査定に加え、店舗を交えたオフラインのチャネルにも進出するなど、商品の買い取りと販売のネットワークを拡大しています。
自社サイトでの販売だけでなく、eBayなどグローバルなマーケットプレイスへの商品販売や、自社ノウハウを活かしたECサイト運営の代行も手掛けるなど、存在感を発揮するEC企業です。
株式会社デファクトスタンダードの沿革
以下の表は、株式会社デファクトスタンダードの沿革を簡単にまとめたものです。
年月 | 沿革 |
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2004年4月 | 東京都品川区に株式会社デファクトスタンダードを設立 |
2007年3月 | 個人買取事業(リユース事業)のサービスを開始 |
2007年5月 | メディア事業を別会社として分社化。事業ドメインをリユース事業に特化 |
2009年8月 | 本社・物流機能を統合し、東京流通センター(TRC)に移管 |
2015年5月 | 本社を山九平和島ロジスティクスセンターに移転 |
2020年1月 | BEENOS株式会社による完全子会社化 |
2004年4月に設立された株式会社デファクトスタンダードは、2007年よりリユース事業をスタートさせ、成果を収めてきました。それまで展開していたメディア事業は同年に分社化しており、同社はこれ以降リユース事業特化の組織として運営し現在は主軸事業となっています。
2009年に東京流通センターへ移行する際、それまで別に運営していた本社と物流の機能を統合し、本社は2015年に山九平和島ロジスティクスセンターに移転しています。2018年には東証一部への上場も果たしましたが、2020年のBEENOS株式会社の完全子会社化に伴い上場を廃止し、現在に至ります。
株式会社デファクトスタンダードが展開する国内外向けのEC施策
株式会社デファクトスタンダードは、豊かな買取サービスとともに豊富な販売チャネルをネット上で開拓することで、安定した販路の獲得に努めてきました。ここでは同社がどのようなEC施策を投じてきたのか、国内と海外に分けて解説します。
株式会社デファクトスタンダードの国内向けEC施策
株式会社デファクトスタンダードは、国内向けのEC施策としてLINEを使ったCRMを強化しています。買取サイトのブランディアでは公式LINEアカウントを運営しており、初回ユーザーのリピーター化において、大きな効果を発揮しました。
同社が実施したのは、2回以上の利用経験があるユーザーを教師データとし、初回利用ユーザーを対象に機械学習によるスコアリングとランク付けによる配信リストの作成です。継続利用客の要素をAIで客観的に算出することで、確実性の高い配信リストを入手できたのです。
その結果、スコアリングにより上位に選ばれたユーザーの配信クリック率が下位ユーザーの約2倍を記録するなど、確度の高いユーザーの洗い出しとセグメント配信が可能となりました。また、配信効率の改善や負担軽減により、LINEプロモーションスタンプの展開など、コスト増加を懸念して見送っていた施策の実施を進められたとのことです。
また、同社が合わせて取り組んだのが、株式会社ポラリファイが提供する「Polarify eKYC」を使ったセキュリティ強化と本人確認の円滑化です。このセキュリティシステムは、登録された本人確認書類と顔の自撮り写真を生体認証による照合する機能を備え、郵送手続きなどを排除した本人確認が可能になります。
高精度な顔認証エンジンを採用し優れたセキュリティ能力を備えているだけでなく、本人確認にかかる時間やコストを削減することで、顧客の利便性向上につながるのがポイントです。
高級ブランド品などを扱うデファクトスタンダードにとって、信頼性の高いシステム構築は不可欠ですが、eKYCの採用は国内外に同社のブランド力の高さを示すうえでも重要な取り組みとなりました。
株式会社デファクトスタンダードの海外向けEC施策
株式会社デファクトスタンダードは、海外向けのEC施策も拡充を進めています。国内でもヤフオク!などを中心とした多くの販売網を有しながら、海外向けではeBayの積極的な活用が同社の強みです。
eBayは個人から法人まで多くの事業者が登録し利用している、世界最大級の出品プラットフォームですが、同社はeBayのアパレル分野で売上に貢献したとして表彰されるほどの活躍を果たしています。成長の背景には、eBayが独自に提供するAPIを使い、業務の自動化を進めるなどして効率的かつ質の高いサービス提供を推進してきたことがあります。
単にプラットフォームとしてのみeBayを利用するのではなく、その機能を最大限に理解し、活用している点が高く評価されている理由の一つともいえるでしょう。
また、同社は2022年に中国最大級の越境ECモールである、京東全球購(JD Worldwide)にも正式出店しました。インターネット環境が他の国よりも制限されている同国でのチャネル確保は大きな一歩といえ、中国市場におけるシェア拡大が期待できるでしょう。
株式会社デファクトスタンダードの最近の動き
続いて、株式会社デファクトスタンダードが展開しているここ数年の動きについて、気になるものを解説します。
2020年より「Shopee」に出店、タイ・台湾に向け越境ECを推進
株式会社デファクトスタンダードは、2020年よりアジアで人気の高いECプラットフォーム「Shopee」に出店し、この頃から本格的な中古ブランド品のアジア向け販売を開始しました。
想定するターゲット層は20代から50代までと幅広く、購買力の高いASEAN地域でのさらなる展開も見越しているということです。
中古ブランド品は偽物の流通も多く、安心して購入できるショップの見分け方が難しいことが海外市場で懸念されていますが、日本企業の取り扱う商品は偽物のリスクが少ないというイメージが強く、競合との差別化にも期待できます。
公式ECアプリ「ブランディア マーケット」を2018年より提供
株式会社デファクトスタンダードはサードパーティのプラットフォームだけでなく、自社公式サイトでのEC販売も展開しています。
2018年からは自社公式のECアプリ「ブランディア マーケット」を提供しており、販路の拡大を実現しました。同社で培った値下げの仕組みを実装している上、機能面でのアップデートも進めることで、スマホユーザーがストレスフリーに利用できる環境を備えているとのことです。
株式会社デファクトスタンダードの気になるトピックス
その他、株式会社デファクトスタンダードの気になるトピックスをまとめて紹介します。
2023年5月23日:SDGs「つくる責任・つかう責任」、ファッションロスゼロを目指して ブランディア×エスモード ジャポン「廃棄0プロジェクト」 廃棄衣料を再構築し、セットアップを作成
株式会社デファクトスタンダードは、2030年までに「ブランディア」のサービスから出る「廃棄0」を目指す「廃棄0プロジェクト」の第10弾として、ファッション専門学校エスモード ジャポンに無償で廃棄衣料を提供する。
2023年4月21日:ブランディア、累計利用者数400万人を突破!
株式会社デファクトスタンダードが運営する、国内最大級のブランド買取・販売サービス「ブランディア」は、買取サービスの累計利用者数が400万人を突破した。
2023年3月27日:アジア圏はシャネル、欧米圏はルイ・ヴィトンが人気 ブランディア銀座店・神戸元町店で免税対応開始
株式会社デファクトスタンダードは、2023年4月より、「ブランディア 銀座店」「ブランディア 神戸元町店」において免税対応を開始する。
2023年2月28日:ブランディア、エポスカードと提携開始
株式会社デファクトスタンダードは、株式会社エポスカードと提携した。本提携により、エポスカード会員は1万円以上の買い取り成立で買取金額が10%アップする。
2022年10月18日:オンライン買取「ブランディアBell」、顔や背景を隠して査定する「プライバシー機能」を開始
株式会社デファクトスタンダードが運営するオンライン買取「ブランディアBell」は、新たに「プライバシー機能」の提供を2022年10月19日(水)より開始。これにより顔や背景を隠した状態でオンライン買い取りを利用できるようになる。
まとめ
この記事では、株式会社デファクトスタンダードが展開する、EC特化の中古ブランドビジネスについて解説しました。自社サイトを経由した販売だけでなく、国内外の知名度の高いECプラットフォームを網羅的に活用することで、多くの販売チャネルを獲得してきました。そのうえで顧客との接点増加に努めてきたことが大きな成長を同社にもたらしています。
近年は海外向けの販売網強化に加え、国内におけるリピーターの獲得にも力を入れています。そのための信頼性の向上に向けた施策も強化しており、自社ブランドの育成を進めているのが特徴です。
今後もテクノロジーの積極的な活用によって、より安心かつ便利に使えるサービスを提供していくでしょう。