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おさえておきたいEC・通販先進企業

実店舗の強みをECにも活かす丸井グループのフィンテック・デジタル活用

 大型商業施設を展開する株式会社丸井グループは、早期から実店舗主体のビジネスにこだわらない、新しい体験の提供やコミュニティ創出に取り組んできました。同社が実店舗の強みとマルイウェブチャネルなどのデジタル施策をどのように組み合わせ、組織の成長を実現しているのかについて解説します。

 全国に商業施設を有する株式会社丸井グループは、1980年代からオムニチャネル施策を展開し、先進的な小売ビジネスを展開してきた会社です。実店舗の強みをよく理解したうえで、店舗に依存しないビジネスモデルの構築に取り組む同社は、どのようにデジタルを活用しているのでしょうか。

 この記事では、そんな株式会社丸井グループが実践する実店舗とECを掛け合わせた取り組みや、フィンテック事業の動向について、詳しく解説します。

株式会社丸井グループの企業情報・事業内容の概要

 まずは、株式会社丸井グループの基本的な企業情報や事業の概要について確認しましょう。

株式会社丸井グループの企業情報

 以下の表では、株式会社丸井グループの企業情報をまとめています。

社名 株式会社丸井グループ
本社所在地 東京都中野区中野4丁目3番2号
設立年月 1931年2月
代表者名 代表取締役社長 青井浩
株式公開 東証プライム市場上場
資本金 359億2,000万円
おもなグループ会社
  • 株式会社エポスカード
  • 株式会社丸井
  • 株式会社エムアンドシーシステム  など

株式会社丸井グループの事業内容

 株式会社丸井グループは、グループ会社の株式会社丸井が手がける小売事業を主体とする、BtoCビジネスを展開する企業として成長を続けてきました。

 また、同社は小売と金融が一体となった独自のビジネスモデルを掲げており、グループ会社には株式会社エポスカードのようなファイナンス企業や、フィンテックを扱う企業などが複数存在します。

 自社の流通や情報システムについてもほぼ全てグループ会社によって内製化されており、最近ではこれらのスキルやノウハウを外部企業向けのサービスとしても展開しています。

 時代に合わせた、多様なニーズにキャッチアップできる組織をモットーとしていることもあり、2019年からは「共創投資主導の知識創造型ビジネス」への転換を進めています。従来主流であった小売と金融を掛け合わせた事業へ未来投資の概念を加え、無形投資を促進して社内外のイノベーションを支えている点が特徴です。

株式会社丸井グループの沿革

 ここでは、株式会社丸井グループのこれまでの歩みを、簡単な表にまとめています。

年月 沿革
1931年2月 青井忠治が「丸二商会」からのれん分けを受けて独立、中野区桃園町に開店。1935年に商号を「丸井」と改める
1948年9月 新宿駅前店を開設
1955年12月 テレビでの宣伝広告を開始
1966年8月 業界で初めてコンピューターを導入
1972年9月 クレジットメンバーズ制度発足
1988年9月 カタログ通販誌「Voi」発行
1995年2月 エムワンカード(現エポスカード)が消費者金融事業を開始
1995年9月 新ロゴマーク「OIOI」を導入
2000年1月 ホームページ「マルイウェブサイト」開始
2003年10月 グループが一体となった経営体制へ移行
2006年4月 Eコマース・通信販売事業を運営する「マルイヴォイ」設立
2013年11月 少額短期保険サービスを開始
2018年12月 みんな電力と資本業務提携
2020年2月 株式会社メルカリと業務提携

 1931年創業の丸井は、戦後の高度経済成長のなかで巨大化していった企業の一つです。1955年にテレビCMを放映、1966年にはコンピューターを導入するなど、早期からハイテクに対する感度が高い文化が養われていたことがわかります。1972年には現在のフィンテックやファイナンスサービスの源流である、クレジットメンバー制度を発足させており、小売と金融という2つの柱を中心としてきました。

 2000年代前後には物流システムや卸売システムを次々と自社の傘下に収め、グループ一体型の経営へと移行しています。EC事業も2000年代から本格参入を始め、2020年にはCtoCサービスの筆頭であるメルカリとの業務提携を結び、さまざまなプロジェクトを展開してきました。2018年には電力会社との資本業務提携も結ぶなど、今後の動向にも注目が集まる一大企業です。

EC事業を支えるマルイウェブチャネルの活用

 小売業においては実店舗のイメージが強い株式会社丸井グループですが、近年は自社ECサイト「マルイウェブチャネル」を軸とするEC事業にも力を入れています。

マルイが持つ強力な店舗顧客のポテンシャル

 株式会社丸井グループは、全国に大型商業施設を23店舗有する企業です(2023年6月時点)。各店舗はいずれも政令指定都市の好立地を確保しており、年間およそ2億人の顧客と強力な接点を維持することに成功しています。

 また、自社施設だけでなくマルイ店舗圏外にある他社商業施設への専門店出店や、グループ内外の施設にエポスカードセンターを設置するなど、ファン創出やカード会員の獲得も怠りません。

 このように、ECへトレンドがシフトしても、実店舗などでの対面コミュニケーションや関係構築に注力し続けている点は、同社の特徴といえるでしょう。

店舗とECを融合させたオムニチャネルの促進

 株式会社丸井グループは、1988年より他社に先駆けてオムニチャネル施策を実現してきました。すべての人に最適なお買物体験を届けたいという、同社のコンセプトに基づいた取り組みで、今日でも店舗とECが補完関係にあることに重点を置いたオムニチャネル戦略を採用しています。

 付帯的には、ECサイトで注文したものを店舗で受け取れるほか、店舗のタブレットからECの商品を注文できるなど、顧客にとって最適な形での買い物が可能です。また、2015年にはAIレコメンド機能を導入し、データに基づく販売促進活動を実現したり、店舗とECの購買データを統合したりすることで、より質の高い顧客体験の実現に結びつけています。

株式会社丸井グループの最近の動き

 株式会社丸井グループはさらなる顧客体験の向上に向け、以下のようなデジタル施策にも注力しています。

丸井グループのD2Cマーケティング施策

 株式会社丸井グループは、D2C(Direct to Consumer)やサブスクリプションサービスを提供する企業と連携し、新しい店舗のあり方として「デジタル・ネイティブ・ストア」の実践に取り組んでいます。

 デジタル・ネイティブ・ストアとは、商業施設のテナントを使ってリアル店舗ならではの体験を提供するためのスペースのことで、オンラインで販売されている商品を実際にテナントで触れたり、注文したりできます。

 ビジネスモデルとしては、デジタル・ネイティブ・ストアにおける潜在顧客の体験価値が購買意欲となり、商品の購入につながるという構想です。オンラインでは得られない、顧客の「コト消費」に特化した店舗としての運用を想定し、モノを売ることだけでなく、体験価値を高めることにフォーカスしています。

サイト内検索エンジンとレコメンドエンジンの導入

 株式会社丸井グループは、自社ECサイトであるマルイウェブチャネルの利便性も、時代に合わせてアップデートしています。たとえば2023年2月には、検索結果の最適化やクロスセルの促進を目指し、サイト内検索エンジンとレコメンドエンジンを新たに導入しました。

 同社が導入したシステムは、CX企業のZETA株式会社が提供する検索エンジン「ZETA SEARCH」とレコメンドエンジン「ZETA RECOMMEND」です。商品検索結果と親和性の高い絞り込み検索機能や、主力商品のレコメンド機能など、便利な機能が実装されました。

メルカリとの業務提携

 2020年2月、株式会社丸井グループはCtoCサービス大手の「メルカリ」を運営する株式会社メルカリと資本業務提携を結びました。

 この業務提携によって、新宿マルイにメルカリ初となるリアル店舗の「メルカリステーション」の出店や、丸井グループ施設における「メルペイ」決済の導入、そしてメルカリウェブチャネルとメルカリとのデータの連携を実現しています。

 丸井グループにとっては、最先端のCtoCの流通や顧客に関する重要な情報やノウハウを得る機会に、メルカリにとっては、リアル店舗進出の強力な味方を得る機会となったといえるでしょう。またこの提携を通じて、両社がリアルとネットをより強固に結び、顧客体験を高めていくことが期待されます。

株式会社丸井グループの気になるトピックス

 そのほか、株式会社丸井グループの気になるトピックスを以下でまとめて紹介します。

2019年12月3日:丸井グループと「駿河屋」を運営するエーツーが資本業務提携

 丸井グループは、中古ホビーシェアNo.1の「駿河屋」を運営する株式会社エーツーへ出資を行い、資本業務提携契約を締結。今後は当社グループが展開する「マルイ」「モディ」やWeb通販サイト「マルイウェブチャネル」、クレジットカード「エポスカード」を通じて、さまざまな取り組みを進める。

2019年12月19日:マルイのネット通販「マルイウェブチャネル」へ化粧品ECプラットフォーム「NOIN」が出店、商品展開を超えた取り組みへ

 化粧品ECプラットフォーム「NOIN(ノイン)」を運営するノイン株式会社は、株式会社丸井が運営するネット通販「マルイウェブチャネル」と商品の展開をはじめとした取り組みを行うことを公表。

2020年11月2日:丸井グループ、アパレルECやDX支援のGOOD VIBES ONLYに出資 マルイ出店やカード発行もサポート

 丸井グループは、子会社であるD2C&Co.が、アパレルD2Cブランドの運営とDX支援を行うGOOD VIBES ONLYへ出資し、資本業務提携契約を締結したと発表した。リアル店舗への出店や協業によるカード発行などにより、成長を支援するとともに、丸井グループの価値向上にもつなげたい考え。

2021年5月10日:ケーキのECモールを展開するCake.jpと資本業務提携

 株式会社丸井グループは、このたび、ケーキのECモールを展開する株式会社Cake.jp(ケーキジェーピー)へ出資を行い、資本業務提携契約を締結した事を発表いたしました。

2021年6月25日:丸井グループ/ECサイトのリアル店舗出店スペースを一新

 丸井グループとBASEは、「BASE」の加盟店を対象に提供するリアル店舗出店スペース「SHIBUYA BASE」をリニューアルし、渋谷モディ1階に移転オープンした。

2023年3月8日:マルイ・モディ 2023年春の改装 全館で65ショップリニューアル。体験型・食・サービス拡大で“売らない店”づくりを推進

 株式会社丸井は、“売らない店”づくりの推進に向け、この春のリニューアルで、エリア初出店・新業態を含む65ショップを導入。リアル店舗のさらなる価値創出を進める。

2023年3月20日:マルイの出店サービス『OMEMIE』がサイトリニューアル!はじめて出店の方も使いやすく!

 株式会社丸井は、マルイ店舗への出店がオンラインで簡単に申込みができるサービス『OMEMIE(オメミエ)』のサイトをリニューアルした。『OMEMIE』は誰もが出店にチャレンジできるサービスをめざし、各事業者の「最高の出店体験」をサポートしている。

まとめ

 この記事では、株式会社丸井グループのビジネスモデルや、近年のデジタル戦略などについて解説しました。

 丸井グループの最大の武器は、大型商業施設を中心に獲得してきた膨大な顧客データと、実店舗の集客力の高さです。同社はこれらの強みをよく理解したうえで堅実なデジタル施策を進めてきた経緯があり、オムニチャネル化や実店舗とECの融合といった分野において、業界内で一歩リードしているといっても過言ではありません。

 実店舗の地盤が強い企業が重視すべきは、実店舗をどのようにEC時代で有効活用するかという点ですが、丸井グループはその分野で一定の成果を残してきました。今後も実店舗を有効活用しながら、デジタルネイティブ世代の顧客満足度拡大に向けた、イノベーティブな施策を展開していくことでしょう。

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この記事の著者

EC研究所(イーシーケンキュウジョ)

ECについての情報を調べ、まとめてお届けします。

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