5類移行でイエナカ需要から自分磨き需要に
新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、人々の行動や消費に対する意識も変化する昨今。コロナ禍は特に、家具・インテリア領域など「イエナカ需要」といえるジャンルの伸びが顕著であったが、こうした「コロナ特需」なものの動きも落ち着きつつあるという羽田野氏。
「反対に直近で数字が伸びているのは、化粧品や健康食品、ファッションといった領域です。外出や、人に見られる機会が増え、『自分を磨きたい』という意欲が高まっていることがうかがえます。消費者の心を汲み取りながら施策を増やしていくと良いでしょう。今回は、こうした動きと各モールのアップデートを掛け合わせ、どうすれば成果につなげられるか考えるヒントをお伝えしたいと思います」
楽天SKUプロジェクト お気に入りの扱いに注意
まずは、「楽天SKUプロジェクト(以下、SKUプロジェクト)」が本格始動している楽天市場の動向だ。2023年3月15日にPC商品ページにおける「商品情報」のカスタマイズが終了し、SKUプロジェクト対応版にUIが変更された。項目選択肢別在庫表の登録がある場合は、商品詳細ページに横並びでバリエーションが表示されるようになり、消費者から見ても大きな変化となっている。
SKUプロジェクトは、店舗ごとに楽天市場より移行タイミングのアナウンスがあり、現在進行系で対応している事業者も多いだろう。羽田野氏の元にも、既に出店企業から登録商品をまとめることにより「レビューのスコアはどうなるのか」「ランキングはどの商品の順位が適用されるのか」「SKUプロジェクト対応した際に、ユーザーのお気に入り表示にも情報が引き継がれるのか」といった、様々な質問が寄せられているという。
「レビューは商品ごとにスコアが紐づいているため、SKUプロジェクト対応して画面のUIが変化しても、点数・件数には影響しません。ユーザーが選んだ商品のレビューが表示される仕様となっています」
変化が見られるのは、ランキングとお気に入りだ。ランキングは従来通り商品ごとに順位が付与されるが、SKUプロジェクトに対応した暁には、全SKUの総合的な評価がランキングの順位として反映され、一覧に掲載される。価格は該当するSKU内の最安値が表示されるため、上手に活用すればユーザーが商品を目にする機会を増やせる。
「継続顧客が多い商材を扱う出店企業にとって最も変化が大きいのは、お気に入りの扱いかもしれません。たとえば、これまではあるサプリメントの商品詳細ページを、『1セット』『2セット』『3セット』とセット数ごとに作成していたとします。これをSKUプロジェクト対応し、一つの商品詳細ページ内にバリエーション登録した場合、マージしたページのお気に入り登録は移行されません。マージする際には、最もお気に入り登録数が多い商品詳細ページにバリエーション登録を行うなど工夫しなければ、ユーザーのお気に入り一覧から該当商品が抹消され、体験を損ねてしまう可能性があります」