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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

ECzine Day 2022 Winter レポート(AD)

CVR改善に役立つ3つのポイントを伝授 実店舗の接客ステップを取り入れ「一石三鳥」の成果を得よう

 ECサイトのコンバージョン率(CVR)向上のためには、ユーザーがなぜ離脱してしまうのか、その行動心理を分析・理解した上で、適切な顧客体験を設計する必要がある。Web接客ツールをはじめとしたコンバージョン最適化(CRO)プラットフォームを提供する株式会社Sprocketでは、その実現のために、ユーザー視点に立ったA/Bテストを5万回以上にわたって実施してきた。2022年12月1日開催の「ECzine Day 2022 Winter」に、同社 代表取締役の深田浩嗣氏が登壇。膨大な検証から得たCVR改善のポイントを、事例とともに紹介した。

5万回のA/Bテストから150パターン以上の業界別成功シナリオを提供

 リアルタイムパーソナライゼーション、A/Bテスト、行動分析などのツールを組み合わせたCROプラットフォームを提供し、これまで300社以上のCVR改善を支援してきたSprocket。同社はツールベンダーとして、導入後のツール習得支援や導入先企業の目標とするROI(投資利益率)クリアまで含めた価値提供にコミットすることを重視している。

「Web接客などのツール導入後、使いかたの習得からROIをクリアするまでには大きな壁があり、十分な効果を得ることができずに挫折してしまうケースが少なくありません。その壁を乗り越えていただけるように、Sprocketではこれまで5万回以上のA/Bテストを実施して仮説検証を繰り返してきました。再現性が高く成果につながりやすい施策など、さまざまな知見を蓄積しています」(深田氏)

株式会社Sprocket 代表取締役 深田浩嗣氏

 こうした膨大な検証を経て、Sprocketでは顧客体験設計・改善などの精度を向上。すでに、150パターン以上に及ぶ「業界別成功シナリオ」を有しているとのこと。これらを活用することで、実際にSprocket導入企業は高い成果をあげており、EC系企業のROI実績平均は直近で1,565%にものぼる。つまり、導入費用に対して15倍以上の利益を生み出しているということだ。

 深田氏は、こうした取り組みから見えてきた、CVR改善時に理解すべき3つのポイントを次のようにまとめた。

  1. ユーザーは思いもかけないところで離脱している
  2. 「セルフサービス」の前提はもう成立しない
  3. ユーザーが提案を聞いてくれるタイミングがある

 なお、これらに共通して存在するのは「ユーザーのつまずき」であり、Sprocketではこれを「フリクション」と呼んでいる。フリクションは、次の4つに細分化することが可能だ。

  • コンテンツの存在に気づかない
  • コンテンツを見ようと思わない
  • コンテンツに到達できない
  • コンテンツの内容が理解できない

「ユーザーの視点に立ってフリクションの把握や解消をすれば、CVR向上という成果だけでなく、顧客理解を深め、顧客体験向上につなげることもできます。つまり、フリクションの解消は『一石三鳥』の施策と言えます」(深田氏)

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EC事業者の当たり前=ユーザーの当たり前ではない

 深田氏は、前出のCVR改善時に理解すべき3つのポイントについて、さらに詳しく解説を進める。まず紹介したのは、「ユーザーは思いもかけないところで離脱している」ことに対する改善法だ。

 ユーザーが離脱するフリクションがどこにあるのか、EC事業者にとって予測しづらいケースは多い。ここで深田氏は、「EC事業者にとっての当たり前が、ユーザーにとっても当たり前とは限らない」と指摘した。

事例:ユーザーのつまずき行動に着目

 最初に深田氏が紹介したのは、生鮮食品を扱うECサイトの事例だ。同サイトでは、「ハンバーガーメニューで展開する商品一覧を閲覧するユーザーが少ない」という課題を有していた。ページの左上部に3本線でハンバーガーメニューを設置し、クリックすると商品一覧が展開・表示されるという一般的なUIであったが、Sprocketがユーザー行動を分析したところ、ハンバーガーメニューをクリックしたことがないユーザーが想像以上に多いことがわかったと言う。

「そこで、該当箇所に『ココをクリックすると商品詳細が見れますよ!』とポップアップを表示する仕様に変更したところ、購入完了改善率が125%になりました」(深田氏)

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事例:購入・申込検討時の不安を払拭

 とくに初回購入検討中のユーザーは、購入直前で離脱してしまう「カゴ落ち」が多い。Sprocketが調査したところ、そのフリクションは送料や支払方法、お届け日、会員登録が必須かどうかなど、細かい疑問や不安が解消されないためだとわかった。

「ユーザーの知りたい内容がもともとFAQのページに記載されている場合でも、『カートページからFAQを見に行き、戻ってきた上で購入』という流れをスムーズに生むことは困難です。ユーザー視点で考えると、購入直前の疑問や不安は、その場で解消できるように顧客体験を設計しなくてはなりません」(深田氏)

 当事例では、カート画面内で「ご注文についてご不明な点はございますか?」といったポップアップを表示し、不明点がある場合はワンクリックで案内にたどり着けるようにした。その結果、購入完了改善率109%を記録している。

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事例:ログインエラー時のイラつきを和らげる

 ログインページでパスワードエラーなどが発生すると、離脱につながりやすい。多くのECサイトでは、ログインページにパスワードリマインダーへのリンクを控えめに記載しているが、それに気づかない、もしくはログインエラーで気分を害し、そのまま離脱してしまうといったユーザーも少なくない。

 こうしたフリクションを解消する方法は、非常にシンプルだ。ログインエラーが発生した際に、ポップアップで「パスワードをお忘れの方はこちら」「メールアドレスをお忘れの方はこちら」と即時表示したところ、ログイン時の離脱が減少したと言う。当事例の購入完了改善率は120%となっている。

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先回りで案内・提案を EC=セルフサービスではない

 従来、ECを含めたオンラインサービスの顧客体験は、ユーザー自身が目的とするものを探したり、問題を解決したりすることを前提に設計されてきた。しかし昨今、さまざまなフリクションを解消するには、サービス提供者であるEC側から「先回りで案内・提案していく必要がある」と深田氏は語る。

事例:ユーザーの目的に合わせて最適な案内をする

 SKUやコンテンツの数が多いECサイトほど、トップページからの導線が枝葉のように分かれ、とくに初訪問時は目的の商品ページを見つけることにストレスを感じるユーザーも現れる。こうしたフリクションを防ぐ上で有効なのが、トップページを訪れたユーザーに声がけをすることだ。

「当事例ではポップアップで声かけし、行き先としてよく選ばれるページの選択肢を4つ表示しました。実店舗で、目的に応じたフロアまでインフォメーションスタッフが誘導するイメージです。これにより、購入完了改善率が116%となりました」(深田氏)

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事例:まだ使っていない機能の利用を提案する

 ユーザーの行動を分析し、「未利用だが、ユーザーの行動パターンを踏まえたら利用してほしい機能」の利用を提案することも、今後発生し得るフリクションを防ぐ観点から効果的だ。

 たとえば、あるECサイトではこれまで「絞り込み検索」機能を利用していないユーザーに対し、商品検索後に同機能の案内をポップアップで表示。多数の商品が表示されたタイミングで利用を促すことで、購入完了改善率113%を記録している。

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 深田氏は、ここでユーザーのセルフサービスを前提とした顧客体験設計が成立しづらくなっている理由について次のように言及。ひとつめは「コロナ禍でデジタルに不慣れなユーザー層のEC利用が増えた」こと、ふたつめは「ストレスを嫌うユーザーの増加」が背景にあると言う。

「意外に思われるかもしれませんが、デジタルネイティブと呼ばれるZ世代も、Web上でのストレスを敬遠する傾向が強いです。できるだけユーザーに手間をかけないようにして離脱を防ぐよう、意識しましょう」(深田氏)

実店舗接客のタイミングを踏襲し、受け入れられやすい提案を

 セルフサービス型から提案型の接客が求められる現代のECだが、闇雲に提案してもユーザーに敬遠されてしまい、CVR改善にはつながらない。

「ユーザーに受け入れられるECを作るには、実店舗での接客と同様に、適切なタイミングを見計らった提案が重要です」(深田氏)

 深田氏は、提案の仕方を工夫して成果につなげる3つの事例を紹介した。

事例:品切れのタイミングで同型の中古品を案内する

 商品購入済、もしくは購入検討中のユーザーへの類似商品を提案する施策は、多くのECサイトで行われているが、こうした提案を品切れ時に実施し、大きな成果につなげているのがある中古用品店の事例だ。

「当事例では、品切れしている商品の商品詳細ページを訪問したユーザーに対して、同型の中古品を提案したところ、購入完了改善率を225%に伸ばしています」(深田氏)

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事例:困っていそうなユーザーにチャットを案内する

 ユーザーをサポートするためにチャットサービスを導入したものの、なかなか利用されていない。こうした課題を抱えるケースも少なくないはずだ。当事例ではリアルタイムでユーザーの行動を分析し、商品詳細ページでしばらく動きが止まっているなど、ユーザーが困っていると思われるタイミングでポップアップを表示。「何かお困りですか?」といった声がけからチャット利用の促進につなげ、チャット起動率128%、購入完了改善率116%を記録している。

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事例:購入者にレビューを依頼する

 商品を購入したユーザーにレビューを依頼する際も、タイミングを見計らうことが大切だ。当事例では、該当ユーザーが購入後に再来訪した際に、トップページにレビュー依頼のポップアップを表示。ポイント付与などのインセンティブやレビュー投稿の手順を提示し、レビュー投稿完了改善率138%という結果につなげている。

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「実店舗ではスタッフがお客様の様子を見て、タイミングを考えながら声がけや質問・案内といった接客を行っています。Web上でこれを完全に再現するのは難しい部分もありますが、コミュニケーションの手順として学ぶべきことは非常に多いです。そのため、Sprocketでは実店舗での接客を参考にした『マルチステップWeb接客』を取り入れています」(深田氏)

 同接客では、Webサイトに来訪したユーザーにまずポップアップ動画を表示。興味の有無と詳細の案内を希望するか聞いた上で、興味を示したユーザーに対して動画などのコンテンツを案内している。これは、実店舗で常日頃行われている「声をかける」「許可を得る」「奥まで案内し説明する」といった3ステップを再現した流れだ。

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 深田氏はセッションのまとめとして、「CVRを改善するには、『フリクションのない顧客体験設計』『解決方法を提示する』『ユーザーが提案を聞いてくれるタイミングを考える』という3点が重要である」と改めて強調。最後に、自社の強みであるCROプラットフォーム「Sprocket」や、知見の結晶であるコンバージョンメソッド、ツール利用のサポートからCVR最大化の代行まで請け負うコンサルティング(運用支援)について説明し、セッションを締めくくった。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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