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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

一歩踏み込んで掴む オンライン海外市場

どんなコンテンツも世界中の人がファンになり得る時代に 事例からボーダレス時代のエンタメECを考える

 コロナ禍は、人々のデジタルシフトを加速させるひとつのきっかけとなりました。インバウンド需要がほぼ消失する中で、日本好きな外国人による「日本ロス」といった言葉も出現し、今は「第3次越境ECブーム」と言える時代です。しかし、自社製品の需要がわからない、どのようにアプローチしたらよいのかわからない方も多いのが実情でしょう。連載第9回は、BEENOS株式会社の玉谷さんが「エンタメEC実例と今後の潮流」についてお伝えします。

趣味嗜好性の高い商材は、越境ECとも相性良し

 BEENOSグループでエンターテインメント業界(エンタメ業界)のDXや、エンタメ特化のEC構築サービス「Groobee」の運営を行うBEENOS Entertainmentの玉谷です。前回の記事では「エンタメ×越境ECの可能性」をテーマに、エンタメECの特徴や売上・需要を創出する上で欠かせない運用のポイントなどをお伝えしました。今回は、エンタメECに取り組む事業者の実例や今後の潮流について解説いたします。

 海外市場において、日本のエンタメコンテンツはアニメやゲームといったジャンルを中心に人気を集めています。趣味嗜好性の高いロングテール商材は、世界中の顧客にリーチできる越境ECにおいて需要が高くなる傾向があるため、エンタメは越境ECと相性が良く、流通に結び付きやすいジャンルです。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で増したEC需要は越境ECについても例外ではなく、市場規模は2024年に6.39兆USドルに達すると見込まれています。

経済産業省「令和2年度 産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」を基にBEENOSが作図(クリックすると拡大します)

ライブやコンテンツのオンライン化が秘める可能性

 新型コロナウイルス感染拡大は、音楽、演劇、お笑い、伝統芸能、イベントなどエンタメ業界におけるさまざまなコンテンツのオンライン化を加速させました。2020年1月から12月のライブ・エンタテインメント(音楽・ステージ)市場規模は、前年比82.4%減の1,106億円(ぴあ総研調べ)と大きく打撃を受けていますが、2020年内の有料型オンラインライブの市場規模は推計448億円と短期間で大きな成長を遂げています。

ぴあ総研「国内オンラインライブ市場に関する市場調査」を基にBEENOSが作図(クリックすると拡大します)

 たとえば、コロナ禍にある男性アイドルグループが開催したオンラインライブでは、同時視聴者数が500万人を突破。公演100回分以上の売上を記録し、話題となりました。会場のキャパシティに左右されず、「インターネットでつながる世界中の人」が観客になり得る点は、オンラインならではの利点と言えるでしょう。

 世界市場を見てもエンタメコンテンツのオンライン化は加速しており、音楽・ゲーム・出版・映像などのデジタルコンテンツ市場は成長を続けています。

経済産業省「コンテンツの世界市場・日本市場の概観」を基にBEENOSが作図(クリックすると拡大します)

 エンタメコンテンツのオンライン化は、さまざまなコンテンツやタレント、アーティストに恩恵をもたらしていると言えます。実は、日本国内で「海外人気がある」と可視化されていなくとも、SNSなどを通じて海外ファンからの認知獲得を実現しているケースは存在します。

 たとえば、GroobeeではSNSを通じて海外に多数のファンを持つ女性タレントや、TikTokをきっかけに海外で認知度が向上したアーティストなどのEC構築・運用支援も行っています。インターネット起点でブレイクした方々が、さらなる支持獲得、売上の柱を作るために越境ECに挑戦しているのが実情です。

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この記事の著者

BEENOS Entertainment株式会社 代表取締役社長 玉谷芳和(タマヤ ヨシカズ)

2002年よりベンチャー・リンクにて、多岐にわたるコンサルティング業務に従事した後、2008年に当社に入社し、対中国向けBtoBビジネスの立ち上げに参画。2012年に国内有名アイドルグループのECサイト構築・運営受託や、D2C商材を開発・販売するモノセンス株式会社を設立。同社取締役として事業の立ち上げを行い、ライセンスビジネス、エンターテインメント領域にて事業拡大に貢献。2020年よりエンターテインメント業...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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