顧客のアクションのハードルを下げたクロコダイルのDCX戦略
1947年設立のアパレルメーカーであるヤマト インターナショナル。1963年にスタートした基幹ブランドのクロコダイルは60代前後の男女をターゲットとし、企画・製造・物流・販売までワンストップで行うSPAブランドだ。
同ブランドは現在、GMS(総合スーパー)、SC(ショッピングセンター)、アウトレット、卸、ライセンスにて全国897店舗を展開しながら、直営ECの会員化、CRMに注力している。全国の店頭網を活かしながら、LINE公式アカウントやメルマガで顧客を集め、有効会員数は50万人を突破。2020年6月以降はショップスタンプカードを実装したスマートフォンアプリも導入し、顧客のLTV向上にも取り組んでいる。
注目すべきは、シニア世代をターゲットとしたアパレルブランドで、アプリ会員数が大きく伸長している点だ。わずか1年半で20万人増を実現した背景について、長尾氏は次のように語る。
「スマートフォンアプリをリリースする5年前から、LINE公式アカウントの運用を始めました。まずはお客様が日頃から使っている、身近でハードルの低いコミュニケーションツールを用いてアプローチを実施。スマートフォンアプリにはショップスタンプカードやポイント、クーポンなどの機能を実装し、店頭で販売スタッフがご来店いただいたロイヤルティの高いお客様へ顧客メリットを訴求して会員化した点が、こうした結果につながっているととらえています」(長尾氏)
こうしたデジタル活用はハードルが高いと感じる顧客向けに、同ブランドでは電話・新聞広告といったレガシーメディアでのアプローチも展開。自社内のCS部門を拡充させ、電話・FAX経由でECの代理注文を受ける仕組みを整えることで、網羅性のある顧客体験を提供している。
「顧客目線の追求。それこそがアクションのハードルを下げ、顧客が望むサービス提供につながると考えています」(長尾氏)