オンラインでの消費行動はもはや「日常」に
2019年12月初旬、中国の武漢市で1例めと見られる新型コロナウイルスの感染者が報告されてからわずか数ヵ月で、パンデミックと呼ばれる世界的な感染拡大に発展しました。2022年を迎えた今日においても、日々の食事からビジネス環境に至るまで、私たちの生活は新型コロナウイルス感染症による影響を多大に受けています。コロナ禍によって私たちの中にあるさまざまな常識や認識が変化してきましたが、中でも大きな変化として挙げられるのが「消費行動のオンライン移行」です。
この動きを示すわかりやすい数字として、すべての商取引金額(商取引市場規模)に対するEC市場規模の割合を示す「EC化率」があります。日本においては、直近は6%前後を推移してきましたが、コロナ禍の追い風を受け、2020年に初めて8.08%となりました(経済産業省「令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」より)。2019年は6.76%であったことを踏まえると、わずか1年で約1.3%伸長しています。
もちろん、世界規模で見れば中国の31.6%、アメリカの14.0%といったように、日本よりもEC化率が高い国は多いですが、こうした国々に比べ、高齢者人口の比率が高い日本の事情を踏まえると、目覚ましい変化ととらえることができます。
こうしたデータに裏打ちされた生活者の行動変容ですが、重要なのはこれがパンデミックによる一時的な変化ではないということです。オンラインでの消費行動は、もはや生活者にとって定着した「新たな日常」となっており、事業者に対しても今、モノやコトを発信・販売するチャネルの最適化が求められています。では、EC利用者が拡大し、ECで購入するモノ・コトの金額が増加している現代において、事業者はどのような形でECを始めるべきなのでしょうか。