継続的な収入確保・購入回数増の打ち手として注目されるサブスクリプション
前回の記事では、お客様が価格の高い商品に価値を感じるという「価格のシグナル効果」と、商品販売時に価値をしっかりと伝え、それに見合った適切な値づけを行い、売上を最大化する点を中心にお伝えしました。商品の価格自体を上げることは、長期的に見れば売り手だけでなく、買い手にとってもメリットが存在します。この点をご理解いただけたのではないかと思います。
顧客単価を上げるには、このほかに「商品の購入回数を増やす」という方法が存在します。購入回数を増やす有効な打ち手のひとつが、お客様に定期的に商品・サービスを購入してもらう「サブスクリプション」と呼ばれるものです。
サブスクリプションは、売り手としては継続的な収入が見込めるストック型のビジネスモデルとしてメリットがありますが、実は買い手にとってもメリットが大きなものと言えます。今回は、顧客単価を上げる有効な施策のひとつであり、この数年で耳にする機会が増えたサブスクリプション商品を使ったEC事業成功のポイントをお伝えします。
2022年度には1兆円規模にまで拡大するとの予測も
サブスクリプションは、「購読」や「会費」といった意味を指す英単語です。現在の日本では、お客様が一定の料金を支払うことで、一定期間商品・サービスを利用できるビジネスモデルのことをこう呼びます。「サブスク」という略称で耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。商品の売り手(提供者)がいくつかの商品・サービスプランを作成し、お客様がプランを選択。月額もしくは年額など決められた料金を支払うことで、一定期間商品・サービスの提供を受けることができる仕組みとなっています。
サブスクリプションと呼ばれるケースが増えたのはここ数年ですが、こうしたビジネスモデルは「定期購入」と呼ばれる形で昔から存在していました。とくに単品通販系のECサイトではメジャーな販売手法のひとつだったと言えます。
現在は単品通販に限らず、複数の商品群を扱うECサイトでもサブスクリプションプランを用意するケースが増えているのが現状です。矢野経済研究所の調査では、2019年度に約6,828億円を記録している市場が、2022年度には1兆円超にまで広がると予測されています。
サブスクリプションは、売り手目線で考えると費用を抑えながら継続的な収入を得ることができるストック型のビジネスモデルとして注目を集めています。しかし、買い手から見ても定期的に欲しい商品・サービスが自動的に届き、プランによっては割引などが適用されるのであれば、メリットが大きい選択肢と言えます。こうした点を踏まえながら、次ページではサブスクリプションのメリットとデメリットを再確認していきましょう。