オルビス株式会社 CDO、株式会社RESORT CEOなどを務める石川森生氏らが新たに立ち上げる共助ネットワーク型組織「MAISON KAPPA」が、2024年10月22日に始動記念イベントを実施。同イベント内にて「企業人か独立プロフェッショナル人材か? 現代における個人としてのキャリア形成と企業によるプロフェッショナル人材の活用」をテーマにしたトークイベントが開催され、office K 代表取締役 田岡敬氏、オムニチャネルコンサルタント 逸見光次郎氏、Yuwai 代表取締役 田中広樹氏が登壇した。
MAISON KAPPAは、現代のビジネススタイルに合わせ、個人のもつ技能や能力(プロフェッショナリティ)の活用と、企業における専門人材の枯渇という二つの課題を解決すべく、あえて企業体ではなく共助ネットワーク型組織として立ち上げられたもの。多種多様な働き手が結集し、企業やブランドの課題に応じて適切な人材やシステム、プログラムなどのアサイン・提供を目指しているという。
トークイベントでは石川氏がモデレーターを務め、意見交換を実施。「いつから独立志向になったのか」「良いキャリアの築き方」「企業人と会社組織の良い関係性とは」「企業が優秀人材のリソースを確保するには」といったテーマを基に、プロフェッショナル人材でありながらそれぞれのキャリアを築いてきた三者のこれまでの道筋や見解が語られた。
「最初から起業家志向であった」という田岡氏は、自らのキャリアについて「企業文化にもよるが、部長が順当に出世して社長になる時代ではない。また、経営手腕ある人材を外部に求めるのは何かしら事業が窮地に追い込まれている時なので、チャンスとリスクの目利きをしながらキャリア形成をしてきた」と振り返る。また、所属していたリクルートの旧社訓「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」が、企業人として働く上で「どこにいても役立つマインドではないか」と提示した。
対する逸見氏、田中氏は「自分が独立するとは思っていなかった」としながらも、カンファレンスへの登壇や企業人として求められる役割の変化の中で、現在の働き方を選択したと言及。キャリアを築く上で「経営目線で疑問を抱き、積極的に質問をする」「適切な交渉や、人と人とをつなぐ働きをする」ことの重要性について語った。
トークイベントの後半では、多くの企業がぶつかる優秀人材のリソース確保についても意見交換がなされた。田岡氏は「中途採用などを含め、社内で人材が揃うまでプロジェクト始動を待っていたらいつまでも進まない。外部リソースの活用を前提としながら『どう役割分担をするか』を考える必要がある」と強調。
逸見氏は、現在担当する企業案件を例に挙げ、「リソースのアウトソースを考える際には、実績だけでなく『企業の内情や業界文化を理解する人か』『この人に頼むことで、社員が適切な領域でパフォーマンスを発揮できるようになるか』といった視点からの判断も大切」と補足した。田中氏も、中堅層のリソース不足による教育需要の高さに触れながら、これに同意。石川氏は「プロフェッショナル人材から教わりながら、社内に技術や技能の複製をしていくイメージでいると、成長スピードが速められるのではないか」と提案し、トークイベントをまとめた。
イベント終了後は、現代の企業やブランドが抱える課題を新たな働き方・組織形態で解決に導くMAISON KAPPAの立ち上げ経緯について、石川氏と管理人の河野裕太氏がプレゼンテーションを実施。現在の新規事業やプロジェクトには特に職種や職能を超えた連携が求められる背景に触れつつ、一般的に「クリエイター」「アーティスト」などと呼ばれる組織に属さない人々も含めた共助組織を作り、これまでにない新たなコミュニティと課題解決に貢献できる組織を作り上げる展望を語った。
なお、MAISON KAPPAでは所属するプロフェッショナル集団の住処として、東京・原宿にカフェ&バー「KAPPA café」を併せてオープン。同店は一般向けにも開放され、プロフェッショナル人材が手がけた空間装飾やKAPPAをコンセプトにしたメニューなどが提供される。また、今後はMAISON KAPPAに集う人々によるイベントなども計画しているという。