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ECzineニュース

ユナイテッドアローズ、長期ビジョンと中期経営計画を発表 ハウスカードプログラム・アプリ刷新にも言及

 ユナイテッドアローズは、長期ビジョン「美しい会社 ユナイテッドアローズ」(2033年3月期目標)と、その実現に向けた最初のステップとなる中期経営計画「感動提供 お客様と深く広く繋がる」(2024年~2026年3月期目標)を発表した。

長期ビジョン2032「美しい会社 ユナイテッドアローズ」について

 ユナイテッドアローズは、2033年3月期を目標とする長期ビジョンを「美しい会社 ユナイテッドアローズ、真善美を追求し続けることでサステナブルな社会の実現に貢献し、お客様に愛され続ける高付加価値提供グループになる」と策定。

 達成に向け、同社は「大量生産、大量消費を前提とした売上拡大志向からの脱却」「顧客層と価値提供範囲の拡大に向けた志向の切り替え」を持つべき価値観として挙げている。業容と顧客層拡大により、生活文化のスタンダードの創造と長期ビジョンの達成を目指すとのこと。

 財務目標としては、売上高2,500億円(年平均成長率6.8%)、営業利益率250億円(売上高比10%)を目指す。既存事業で1,500億円、新規事業としてアパレル領域で400億円、アパレル派生型とアパレル以外の領域で250億円、株式会社コーエンが250億円、台湾、中国を含む海外事業全体で100億円を見込んでいる。

中期経営計画2023~2025「感動提供 お客様と深く広く繋がる」について

  新中期経営計画の立案と長期ビジョンの実現に向けた課題は、次の4項目。

年齢軸の課題

 団塊ジュニア層からの支持を集める反面、10~20代に対する訴求が十分ではなかったことを課題としながらも、若年層の客単価が1万円台半ば~2万円台半ばと高い水準である点に着目。質の高い顧客を獲得ができている現状を踏まえ、今後は該当層の拡大を実現すべく、高感度・高付加価値を維持しながら業容拡大を図るとしている。

ファッションテイスト軸の課題

 主要ブランドがトラッド、コンサバティブなテイストに集中。カジュアル、モード、ストリート、フェミニンなど、十分に獲得できていない領域がまだまだ存在する点に着目。同社は、年齢軸、ファッションテイスト軸の課題を「国内アパレル市場内での成長余地が十分にあることを示すもの」ととらえている。

業容における課題

  高感度なライフスタイルを提供するにあたり、同社は近年ファッションを軸にアウトドア、ゴルフ、ウェルネス、住環境、法人サービスなどの取り組みを進めているが、ライフスタイル全般を提案できる規模に至っていないことを課題とした。台湾地区から中国本土に向けた取り組みへ本格化する海外ビジネスについても、伸びしろとして挙げている。

効率化の課題

  中長期を視野に入れた商品管理基幹システムの見直し、商品調達のデジタル化、OMO推進に向けた設備投資、今後の業容拡大に向けた物流再編など、各種インフラ投資を伴う取り組みが残されていると言及。長期ビジョン達成に向け、適切な投資を行う必要があるとした。

 これらを踏まえ、同社は新中期経営計画のスローガンを「感動提供 お客様と深く広く繋がる」と設定。OMOへの取り組みを軸に既存の顧客との関係性を深めながら、新たな事業開発で業容と顧客層の拡大を目指すとしている。

新中期経営計画 3つの主要戦略

 ユナイテッドアローズは、新中期経営計画主要戦略として、次の3つを挙げた。

1. UA CREATIVITY戦略:既存事業の成長拡大を続けながら、ブランド力を強化していく取り組み

(1)既存事業の成長拡大

 トップラインの成長、売上総利益率の向上、コーエンの再成長を進める。OMO施策を進める土台として、2022年3月に自社ECサイト「ユナイテッドアローズ オンライン」をリニューアル。以降、実店舗在庫との連動、スタイリングやオンライン接客など接客スキルのデジタル化などといった取り組みを進めているが、今回の中期経営計画においてはハウスカードプログラムの刷新、「ユナイテッドアローズ オンライン」アプリのリニューアル実施を発表している。

 同戦略では、売上総利益率の向上についても言及。原価のコントロール、適量な在庫調達とプロパー消化率の改善、ネット通販の売上総利益率の改善を掲げた。ネット通販については、セール構成比や仕入れ品構成比の高さなどから実店舗に比べ売上総利益率が低い傾向を指摘し、売上総利益率改善は必須課題としている。セール販売の抑制、オリジナル企画商品の拡販、サイトのユーザーインターフェイスの改善、在庫運用の修正、プロモーション強化を行い、売上総利益率を高めるとのこと。

(2)ブランド力の強化

 人的資本への投資拡大、企業ブランドのリブランディングを進める。ビジネススクール受講支援、資格取得支援などの教育体制拡充、タレントマネジメントシステムを積極活用した経験、スキル、ビジョンの可視化、適材適所の人員配置を進め、従業員のエンゲージメント向上を目指す。加えて、新規採用の強化も進める。

 企業ブランドのリブランディングについては、ビジネス、フォーマルに強い、トラッドでコンサバティブ、信頼感、安心感があるという既存のポジティブなイメージを保ちつつ、さらにアクティブで、幅広い世代にアピールできる企業ブランドへ再構築するとしている。

2. UA MULTI戦略:新規事業開発を通じて業容とお客様層を拡大させていく取り組み 

(1)業容拡大に向けた事業開発

  若年層を視野に入れた新規ブランド開発、アパレル派生型ブランドの強化、非アパレル領域の検討・実施、法人ビジネスの拡大を行う。

(2)グローバル拡大

 新規出店拡大で台湾事業を成長させることに加え、コロナ禍で一時中止していた中国戦略を進める。「ユナイテッドアローズ オンライン」の多言語化対応も進め、越境ECを強化するほか、他国への卸販売も実施するとしている。

3. UA DIGITAL戦略:今後の成長を見据えた設備投資を行い、企業運営を効率化させていく取り組み

(1)OMOの推進

 ハウスカードプログラムの刷新、「ユナイテッドアローズ オンライン」アプリのリニューアルへの投資を行う。購入金額に対してポイント還元を行う仕組みから、同社との接点をベースにして顧客との関係性を強化するものへ切り替え、LTV向上を目指す。

 同社は、アプリをより使いやすくすることは、ECのみならず、実店舗の強化にもつながると言及。「ユナイテッドアローズ オンライン」サイトの機能アップデートにも継続的に取り組み、将来的には消費動向やトレンド情報、気象情報といった外部環境のデータと、ハウスカード経由で取得した顧客の属性情報、購買履歴などを有効活用し、顧客一人ひとりに最適化したサービス提供を目指す。

(2)サプライチェーンの最適化

 業容拡大を視野に入れたインフラ投資を進める。既存ビジネスに対応した現在の商品管理基幹システムを変化に対応できるものに刷新し、店舗、ネット通販、物流倉庫の在庫情報を一元化。OMO施策の強化を実現する。

 加えて、商品調達のデジタル化、商品発注から納品までのステイタスの可視化、リアルタイム化にも取り組み、在庫調達の精度向上、運営の効率化を図る。物流センターの再編も実施し、センター設備の強化、OMOに最適化させた体制整備を進めるとしている。

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