デジタル体験管理ソフトウェアのSitecoreは、日本や米国を含む13の国と地域を対象に顧客ロイヤリティに対する消費者の意識調査を実施し、「2022年 ブランド・オーセンティシティ・レポート」を発表した。
同調査における日本の調査結果の詳細は、次のとおり。
お気に入りのブランドに「非常に忠実」と回答したのは10%以下
消費者に対して、「お気に入りのブランドに対してどの程度忠実か」とたずねたところ、「非常に忠実である」と回答した割合は、9つの業界カテゴリーすべてにおいて10%以下となった。製品の値上げや在庫切れなど、消費者にとって不都合な事象が発生した際にも、ブランドを好きでいられるのは10人にひとりしかいないことがわかった。また、9つのカテゴリー内、コンシューマーテクノロジー(「非常に忠実」と「やや忠実」を合わせた44%)、消費財メーカー(43%)、旅行・レジャー(41%)については、より高いブランドロイヤリティを持つ傾向があることが明らかになった。
価格より重要なことは、「信頼性」、「良い顧客体験」、「透明性/信用性」
「購入ブランド検討の際、価格よりも重要なことがあるとすれば何か」とたずねたところ、「信頼性」(48%)「良い顧客体験」(42%)「透明性/信用性」(37%)と、価格よりもブランドの「体験」や「信頼性」を重要視する傾向に。価格の上昇を補うには、消費者との信頼性の構築や優れた体験の提供が重要であることがわかった。
消費者はブランドに対して「私をよく理解した上での具体的な提案」や「その時々のニーズへの同調や理解」を求める
消費者に対して、消費者とより深い関係性を構築するために重要なブランドの行動をランク付けするようにたずねたところ、第1~3位にランク付けした消費者の割合が顕著に高かったのは「私をよく理解した上での具体的な提案」(75%)「その時々のニーズへの同調や理解」(74%)だった。この結果から、消費者自身が持つニーズの本質を見抜いた提案とともに、共感や理解を示してくれるブランドを求めていることが明らかになった。また、若年層の消費者ほど、「そのブランドで自分が過去に取ったアクションを記憶していてほしい」と回答する傾向が強くみられた。
消費者の81%はブランドと個人レベルで繋がることを求め、64%は2022年にオンライン体験を通じて、ブランドとのより深い繋がりを実感
ブランドとの関係性構築について、81%が「ブランドは消費者と個人レベルで繋がるべきである」と考えていることがわかった。また、64%が「2022年にオンライン体験を通じて、お気に入りのブランドとより深い繋がりを構築した」と感じており、コロナ禍においてもオンライン体験を通じて、お気に入りのブランドとより深い繋がりを構築できた消費者が多いことがわかった。
嫌な体験をしたブランドで再び買い物をする割合は17%
「嫌な体験をして二度とそのブランドで買い物をしないと決めた後、再びそのブランドを利用したことがあるか」とたずねたところ、そのような経験があるのは、わずか17%だった。たった一度の嫌な体験であっても、その後のブランド利用に関して多大な影響を与えうることが明らかになった。
嫌な体験をしたブランドで再び買い物をする場合、その理由の第1位は「利便性」 嫌な体験をしたブランドで再び買い物をした経験がある消費者に対し、その理由をたずねたところ、「利便性」(45%)「良好なサービス」(39%)「安価な製品」(29%)と、サービスの質よりも利便性が上回る結果となった。オンラインショッピングの発展にともない、過去の体験を上回るほどの利便性に優れたブランドは、再び購入の選択肢となりうる状況が推察される。
コロナ禍のECで改善したと感じるのは「決済処理の簡便性」「注文から配達までのスピード」 「品切れ」「チャット」には改善の余地あり
「2年前より改善したと実感するオンラインショッピング体験は何か」とたずねたところ、「決済処理の簡便性」(46%)「注文から配達までのスピード」(40%)と、40%以上がコロナ禍でのオンラインショッピング体験の改善を実感していることがわかった。一方、「品切れへの対応」(17%)「オンラインチャットの品質」(23%)「目的のはっきりしたコミュニケーションと情報提供」(29%)に関してはその割合が少なく、消費者が注文を決定するまでのプロセスについては改善の余地があると考えられる。
ECにおいて消費者がブランドに求めることは「モバイル端末に適したアプリケーションやウェブサイト」「購入履歴や嗜好を記憶していること」
「オンラインショッピング体験の向上のために、ブランドが取るべき重要なアクションは何か」とたずねたところ、「モバイル端末に適したアプリケーションやウェブサイトの構築」(40%)「購入履歴や嗜好を記憶していること」(38%)と、約40%がモバイル端末でのショッピング体験の向上を求め、効果的なパーソナライゼーションを重要視していることが明らかになった。
中小/地元企業が消費者の目に留まるために重要なのは「ウェブサイト上に経営者情報があること」(32%)
「2022年に、地元に根ざした製品やサービスがより多く提供されていると感じるか」とたずねたところ、その増加を実感しているのは18%であり、中小/地元企業の認知度不足が浮かび上がった。
また、「中小/地元企業が消費者の目に留まるためには何が必要か」とたずねたところ、「ウェブサイト上に経営者情報があること」(32%)と回答した割合がもっとも高く、中小/地元企業においてもウェブサイト上での情報発信による、信用性の獲得が重要であることが推測される。
調査概要
- 調査方法:インターネット(ウェブ)アンケート方式
- サンプル数:日本の消費者1,004サンプル (グローバルの消費者12,324サンプル)
- 調査実施期間:2022年4月26日(火)~2022年5月3日(火)
- 調査実施機関:ADVANIS