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屋外分野(輸配送)における物流テックサービス、2020年度導入数は横ばいから微増傾向/矢野経済研究所

 矢野経済研究所は、国内の屋外分野(輸配送)における物流テック市場を調査し、分野別の動向、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。

調査結果概要

 モノを動かすことで経済を動かしている物流は、今や社会インフラの一つと言っても過言ではない。しかしその実態は、労働集約型産業であるが故に、人手不足が深刻な業界の一つでもある。屋外分野(輸配送)の現場においては、担い手であるトラックドライバー不足が慢性化し、配車関連業務の属人化やアナログ管理が問題となっていた。これらの課題の解決に向けて、DXに対する機運の高まりやBCP対応、SDGsや2024年問題への意識という追い風を受け、物流テックの導入が進みつつある。

 その一方で、実際の導入には柔軟な対応が求められる輸配送の現場で実際に使えるシステムであると同時に、システムに不慣れな人でも使いやすいUIの設計が求められる側面がある。

 屋外分野(輸配送)における物流テックサービスについて、導入事業者の企業規模やその傾向、今後の導入可能性について、とりまとめた。全体として2020年度の導入数は横ばいから微増傾向で推移しており、取引先顧客の業界により明暗が分かれる結果となった。2024年問題への早期対応策として、導入を検討する物流事業者や荷主企業も増えてきており、2024年に向けて市場は拡大していく見通しである。

  さらに、物流テックサービスの導入状況から、物流のDX化に対する状況を考察すると、現在はまだ「デジタル化」を進めている段階である。物流DXを進めていく上では、業界を超えたオープンな情報共有の仕組み作りが必要である。その仕組みを構築していく主導者が、今後物流DXを進めていく立役者になると考える。

注⽬トピック:2024年問題とサスティナブル(持続可能な)物流の構築

 2019年4月に施行された働き方改革関連法により、時間外労働の規制がスタートした。トラックドライバーに対する時間外労働時間の上限規制は5年間の猶予が与えられ、2024年4月から年960時間を上限とした規制が始まる。この規制を、物流業界では「2024年問題」と呼んでいる。2024年問題を見据え、現行業務の可視化やリアルタイムの位置情報を把握できる動態管理システム、効率的な配車や実車率を向上させる配車計画システム、トラックマッチングサービスに注目が集まっている。

 動態管理システムでは、「ドライバーが今、どこにいて、何をしているのか」ということをリアルタイムで可視化することが可能であり、どの納品先で時間が掛かったのか(待機時間の把握)、どの時間帯にどのルートを走行した際に時間が掛かったのか等を把握することができる。可視化されることで蓄積されたデータを元に、改善策を立てていくことが可能である。

 現状の可視化・改善を行った次のステップとしては、空車率を削減し、効率的な配車を行うための配車計画システムの導入や、実車率や積載効率を向上させるためにトラックマッチングサービスの利用も進んでいくと予測する。また、ドライバーの労働時間の削減のためだけではなく、カーボンニュートラルの観点からも物流テックサービスの導入による輸配送の効率化が注目される。

 また、2024年問題において、課題となるのはドライバーの給与問題である。月60時間超の時間外割増賃金適用を考慮すると、月々の残業は60時間までという規制がかかることになる。現在、残業時間の多い中小の物流事業者では月120時間ほどの残業が発生している場合もあり、今回の規制でその時間が半分に減れば、ドライバーが残業代として支給されている金額も半分に減ることになる。おおよそ一人当たり5~10万円前後は手取りで減る計算になるのではないかと業界関係者では言われている。ドライバーの収入のために原資を確保したくとも、一人当たり5~10万円前後となると、物流事業者の自助努力だけでは到底不可能である。このことから、ドライバーの人件費の更なる高騰が考えられ、2024年までに物流費が上がってくることは間違いないといえる。

 そして、慢性的なドライバー不足や長時間労働の実態を踏まえると、時間外労働の上限規制を守りながら、これまでと同水準の輸配送サービスを提供することは難しい。物流業界は、ピラミッド型の多重下請け構造となっており、2024年問題も実際に運送を担っている中小事業者だけで解決できる問題ではない。荷主企業や元請け会社を含めた取り組みが不可欠である。無理なく働きやすく、そして正当な賃金を受け取れる環境を作ることが、サスティナブル(持続可能な)物流の構築にも繋がっていくと考える。

調査要綱

  1. 調査期間:2021年7月~10月
  2. 調査対象:配送に関わる物流システム及びサービス提供事業者、及びサービス利用事業者
  3. 調査方法:同社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用

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ECzine編集部(イーシージンヘンシュウブ)

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