TPCマーケティングリサーチは、中国の健康食品市場について調査を実施し、その結果を発表した。
2020年度中国健康食品市場は1,783億元
2020年度の中国における健康食品市場は前年度比10.4%減の1,783億元となった。このうち、中国当局が効能を認可している保健食品の売上は全体の32.2%を占める573.5億元、認可のない普通健康食品は1,209.5億元となっている。
コロナ禍の影響によって都市部のロックダウンや生産工場の停止、小売店の営業停止など、物流・生産・販売の各段階で減収に繋がる要因が発生。これによって上半期の売上が伸び悩み、前年度を下回る結果となった。
また、2019年度にECに関連する法案が改正された影響を受け、越境ECも取引量が減少している。同チャネルでは小規模な取引が難しくなり、年度前半に売上が失速。年度後半からはインバウンドニーズを補填する形で中小企業の出店が加速したものの、通年では微減推移となっている。
EC中心とした通販市場が前年度比6.9%増
販売チャネル別のシェアをみると、直営店が全体の4割弱を占める697.5億元でトップとなっている。同チャネルを主軸としている Amway や無限極(中国)、Herbalifeといった企業では、対面販売の機会減少に合わせ、積極的なオンラインのチャネルへの転換を実施。ECの他にもWebセミナーなどを介して会員とコミュニケーションをとり、対面販売の減収をカバーしようとしている。
また、これらの企業では、予防医療の必要性を当局に訴えることで行政の理解を獲得。早い時期から生産再開の認可を受け、商品を供給することに成功した。
これにより、EC事業を中心とした通販市場が前年度比6.9%増と好調に推移。同チャネルでは、天猫やJD.comのような従来のプラットフォーム以外にも、WechatのようなSNSを経由した通販サービスが増加しており、幅広いユーザーを取り込むことに成功している。
特に、若年層ではライブコマースのような配信コンテンツとしての販促活動が注目を集めた。同国ユーザーは製品のブランドや信頼性を最も重要な評価基準としており、認知度の高いインフルエンサーが商品情報を発信することで消費を促進。これらの試みはまだ発展途上であるものの、中小企業にとっても参入ハードルが低いチャネルとして注目を集めている。
調査要覧
調査対象
中国国内で販売されている保健食品(当局の認可を受けた健康食品)、 普通健康食品(功能性食品や栄養補助食品)
調査対象企業
- 内資系企業 無限極(中国)、完美(中国)、健合国際、新時代健康産業、山東東阿阿膠 など
- 外資系企業 Nestle、Amway、Herbalife、Blackmores、Jamieson Laboratories など
- 日系企業 ファンケル、大塚ホールディングス、オルビス、ファイン、ユーグレナ など
調査期間
2021年7~10月