「工業所有権について」のQ&A
工業所有権について
Name:KIKI Date:2009年11月23日 00:41
某猫の首輪専門店で自分が作ろうと思っていた形の首輪には、工業所有権を取っていると書いて有りました。例えば、オリジナルのスナップボタンやオリジナルの布をを使って、首輪の留め具を使い、首輪の紐がスライドできるようになっていて、万が一の為に紐が伸びるようになっている事。
もう一つは、首輪に丸襟を付けている首輪。
オリジナルの部分は工業所有権と言われるのは理解出来るのですが、市販のスナップボタンを留め具にしたり、首輪の紐をスライド式にしたり、首輪に襟を付けたりの部分にも工業所有権なのでしょうか?
著者の田中です。[KIKI] さん、読んでいただきありがとうございます。工業所有権とは、特許権、実用新案権、意匠権、商標権などの総称になりますが、この場合は実用新案権ではないかと思います。実用新案権は、そのものの形や構造、それらの組合せの考案によって取得することができますので。
実用新案権についてですが、特許庁「実用新案権を取るための手続」のページ(http://www.jpo.go.jp/tetuzuki/t_gaiyou/jituyo.htm)から引用してご説明いたします。
『新規性、進歩性等の実体審査を行わず、登録を受けるために必要とされる一定の要件(基礎的要件といいます)を満たしていることのみを判断して権利付与を行うという、早期登録制度を採用する改正が行われました(平成6年1月1日施行)。』とあります。また、設定登録に関して、『方式上の要件及び基礎的要件を満たした出願は、実体審査を経ずに実用新案権の設定登録がなされます。』とあります。つまり、必要な要件さえ満たせば、無審査で実用新案権が登録されることになります。これでは、実用新案権の信憑性がなくなります。そこで、実用新案権を行使する(主張する)場合には、その実用新案権の内容が有効であるかないかを何らかの方法で判断しなければなりません。この判断が当事者に委ねられているのですが、その判断材料として特許庁が実用新案技術評価書というものを作成することになっています。この実用新案技術評価書は、実用新案権としての権利の有効性の判断を示す資料となりますので、例えば、実用新案権を侵害された場合には、相手方に実用新案技術評価書を提示して、使用の差止めや損害賠償の請求等を行うことになるようです。
実用新案技術評価書については、『実用新案技術評価書は、設定登録された登録実用新案の権利の有効性についての客観的な判断材料となるものであって、審査官が先行技術文献の調査を行って作成するものであり、出願後はいつでも、誰でも請求することができます。』とあります。
少し、話しが遠回りになってしまいましたが、これらを考えると、実用新案権(工業所有権)の登録はご質問の内容でも可能なのかもしれません。『実用新案権は実体審査を経ずに登録される権利であるため、出願に当たっては、十分に先行技術の調査を行い、その結果を踏まえた上で出願を行うか否かを決定することが重要です。』とありますので、登録された権利より、実用新案技術評価書に基づいた信憑性が実際には重要ということになります。何となくすっきりしない話しではありますが、便宜上そいうことになっています。
某猫の首輪専門店での工業所有権について、信憑性も含めてより詳しく調べたい場合には、「独立行政法人 工業所有権情報・研修館」に問い合わせてみてはいかがでしょうか。ここでは「産業財産権相談サイト」を設けて、わかりやすい説明や問い合わせを受け付けています。
独立行政法人 工業所有権情報・研修館
http://www.inpit.go.jp/
産業財産権相談サイト(独立行政法人 工業所有権情報・研修館)
http://faq.inpit.go.jp/EokpControl?&event=TE0008
産業財産権相談サイト・問い合わせフォーム
https://secure.okweb3.jp/inpit/EokpControl?&event=DE0001&cid=10724
産業財産権に関する一般的相談(独立行政法人 工業所有権情報・研修館 相談部)
【電話】03-3581-1101(内線2121~2123番)(平日 8時30分~20時)
【Fax】03-3502-8916
特許庁(問い合わせ先一覧)
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/toiawase/toiawase1.htm
内容によっては即答されずに時間がかかってしまう場合もありますが、このような疑問はクリアにしておいた方がよいと思います。ご参考にされば幸いです。
Name:田中 正志 Date:2009年11月26日 19:43