EC事業をスムーズに回す鍵は「顧客単価」 改めて着目してみよう
「自社のECサイトの売上を伸ばしたい」「自分たちのネットショップをもっとお客様に利用してほしい」――EC事業を担当していたら、効果的に売上を伸ばしたいと考える機会は、一度や二度ではないですよね。ECzine読者の皆さんには釈迦に説法かと思いますが、ECの売上は次のように分解できます。
- 売上=サイト訪問数×成約率×購入金額
サイト訪問数は「集客」、成約率は「販売(セールス)」、そして購入金額は「顧客単価」の要素になります。「売上を伸ばしたい」と考えたとき、あなたはどの要素から伸ばすことを考えるでしょうか。
参考までに、Amazonの本のカテゴリーでこれらの単語を検索してみると、検索件数は次のようになります(2021年6月時点)。
- 集客:2,000件以上
- 販売:2万件以上
- 顧客単価:28件
ちなみに、「値付け」と検索した場合は115件、「単価」と検索した場合でも635件となっています。一概に書籍化されているから世の中や人々の関心度が高い、とは言えませんが、顧客単価は売上を構成する3つの要素の中でも数値を動かしづらいものと考えられ、後回しにされることがEC事業の現場でも多いのではないでしょうか。
京セラの創業者である稲盛和夫さんが、「経営は値決めである」と言っていますが、売上や事業の結果を決める非常に重要な要素であるにもかかわらず、値付けは集客や営業に比べてフォーカスされづらい要素となっています。しかし、顧客単価について改めてよく考えて設定すると、ECの事業はスムーズに回りやすくなると私は考えています。
自己紹介が遅れましたが、私はスタックアンドスタックの大上達生(おおがみたつお)と申します。これまでECの仕事を15年、1,000社以上のお客様の相談に乗ってきました。その中で、たくさんの成功や失敗体験を重ね、同時にさまざまな成功事例や失敗ケースも見てきましたが、お客様の購入金額が事業の成功を大きく左右する要素であるにもかかわらず、セッションやアクセスといった集客や、成約率やコンバージョンといった販売に比べて、話題に取り上げられることが少ないのではないかと感じていました。
当連載では、ECの事業の成否を分けるといっても過言ではない「顧客単価の上げかた」について、さまざまな角度からお伝えできればと思います。