検索上位表示条件の公開とブランドイベントに注目の楽天市場
2021年2月12日に「2020年度通期及び第4四半期決算説明会」を実施した楽天グループ。2020年度の同グループ国内EC総流通額は、前年比19.9%増の4.5兆円を記録し、高い伸び率を記録している。
そんな中、同グループは4月1日に経済産業大臣により「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」における「特定デジタルプラットフォーム提供者」に指定された。これにともない、同日には楽天市場の出店・開業者向けサイトに「プラットフォームの透明性及び公平性の向上に関する取り組みについて」というページが誕生。基本的なサービス説明からデータ活用まで、これまで明言されていなかった内容にも言及されている。
羽田野さんは、「EC事業者が注目すべき点は、ふたつめの『検索順位を決定する決定的な事項について』でしょう。ここまで明確に提示されたことは今までなかったため、非常に画期的と言えます」
同ページ内では、検索順位について「自然言語処理による検索キーワードと商品の関連性」「検索キーワードごとの商品の人気度」のふたつをスコアリングした上で決定していると記述されている。前者については、商品説明に出現するキーワードの頻度や希少性を加味してスコアリング、後者は検索ユーザーの実際の反応を踏まえて多くの支持を集めた商品が高く評価され、常に検索順位は変動していると言う。
「すでにモール内の検索最適化を強化している企業・ブランドからすれば暗黙の了解と言われていた内容ではありますが、こうした情報が広く開示されたことは大きな変化です。ECモール運営事業者では、アマゾンジャパン、楽天グループ、ヤフーの3社が特定デジタルプラットフォーム提供者に指定されていますので、法律に基づいて開示される情報には今後も要注目です」
楽天市場内の動きとして、年に数回1日限りのイベントとして開催されている「Rakuten Brand Day」の動向を紹介したいと羽田野さんは続ける。
「直近では2月25日に開催され、SK-IIやエスティローダーなどのコスメブランド、ダイソンなどの家電類がお得に販売されていました。回を重ねるごとに参加ブランド数も増え、順調にイベントとして育っている印象があります」
出店ブランド数は2020年10月30日に開催された前回と比べると27%増、楽天グループでもTVCM放映などで認知度アップを図り、流入数・流通総額ともに伸ばしている。
「いわゆる広告枠を購入して出店するイベントですがROASが高く、高額商品の売れ行きも好調です。メーカーとしては今後外せないイベントになっていくでしょう。成功のポイントは、楽天市場限定セットを作ることです。ほかのモールにないお得感を生むことでこの日に購入するメリットを打ち出していくとよいでしょう」