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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

ECホットトピックス

いつか来る「戻る時」に向けより深く顧客とつながっているか ECリニューアルをコメ兵 藤原さんに聞く

 リユース事業を展開するコメ兵が、2020年8月にECサイトをリニューアル。オムニチャネル先進企業として知られる同社のリニューアルしたECの役割とは。マーケティング統括部長の藤原義昭さんに話を聞いた。

オムニ先進企業・コメ兵のECリニューアルに迫る!

――ここ1年ほど、ECリニューアルのトラブルに関するニュースも多かった中、無事のローンチさすがです。

無事ローンチするだけでも大成功になっていますよね。今回、実働したのは部下たちで私は文句を言うだけに徹していたのですが(笑)。今や大規模ECには、さまざまなツールやコンサルティングの企業さんが入られているので、複雑になるあまり、事業者側のPMがプロジェクトを制御するのが難しくなっているのかもしれません。

――2年かけてのプロジェクトとのこと。目的とプロジェクトがどのように進んだかを教えてください。

リニューアル前のECは2010年に作ったもので、当時のアクセスは8割程度がPCからでした。機能を追加したり、デザインを変えたりしてきましたが、2018年にはアクセスの7割がスマートフォン経由になり、お客様の行動にあわせてUXをスマホファーストにするには、基盤が古くなっていると言わざるを得ませんでした。

見た目のデザインはもちろん重要ですが、スマホ上での閲覧や検索といった動作でお客様にストレスを与えないためにも、まずはデータベースやセキュリティなど目に見えない裏側の整備から始めました。商品をカートに入れてから決済が終わるまでのステップも、スマホに最適なものにしています。ECサイトに触っているときの感触が、ネイティブアプリに匹敵する快適さになるよう目指しました。一方で、今この時に最高のサイトを作ってしまうと、その後3年くらいですぐ古くなってしまうでしょう。余白を残した6~7割の完成度でのローンチで、今後、二次フェーズ、三次フェーズが待っています。

当社が扱うのは高額商材であることから、最新の決済サービスの有無が購入に直結するとは考えていませんが、非対面決済については順次対応していく予定です。会員登録については、リアル店舗でのお客様の負担を軽くするため、フリーダイヤルに電話していただき、スマホに届くSMSのリンクをクリックしたら名前とパスワードを入力するだけで完結する仕組みをリリース予定です。

わかりやすく言えばスマホファーストを実現したと言えるかもしれませんが、リニューアルの大きなテーマは、企業全体の戦略に沿ったものにするためです。戦略とはリアル店舗の生産性最大化であり、そのために使えるECにリニューアルしました。私たちは長年オムニチャネルに取り組んでおり、その素地はすでにありました。ここ数年、新しくOMO(Online Merges with Offline)という概念も出てきていますが、「OMOをやる」ためのECではありません。すでにデジタル化したお客様がストレスなくお買い物、買い取りができるようにするためのECリニューアルなのです。

株式会社コメ兵 執行役員 マーケティング統括部長 藤原義昭さん

――編集部としては、「これがOMOを実現するECだ!」と書きたかったです。

オムニチャネルの概念が出てきた当初は、リアルとデジタルの顧客データを統合することである、商品をどこでも購入できるようにすることであるといった具合に、いろいろなことが混ざって語られていました。OMOの概念が出てきたことで、ふたつのワードの定義がはっきりしたと考えています。

オムニチャネルは企業始点です。企業が持つさまざまチャネルの在庫データを連携して、どこでも購入できるようにすること。そのための物流整備も必要になります。一方OMOは、顧客始点です。小売業は、サービスも含めオンラインとリアルをいかにごちゃ混ぜにするかが問われています。具体的には、お客様のスマホの中でオンラインもリアルも分け隔てない状態にすることで、その実現はお客様の情報をいただかないと難しい。お客様からいただくデータをもとに、顧客体験を今以上に磨いていく。そのために、たとえばECという手段を使うという順番です。

私たちはリアル店舗を持ち、そこで価値を提供できることが強みですが、店舗ファーストではありません。あくまでお客様ファースト、顧客始点です。コメ兵のECでは、スマホ上で購入して宅配で届くというスタイルだけでなく、お客様にとってご都合の良い店舗に商品を取り寄せてじっくりと見ることができる「取り寄せ」も行っています。取り寄せた際に、デジタル上の情報とリアル店舗の店員の接客で、商品について異なる説明をすることはあってはなりません。さらにリアル店舗の店員は、デジタル上でのお客様の行動を踏まえたうえで、接客ができなくてはならない。そして商品購入後は、デジタルであればメルマガやリタゲ、リアル店舗であれば紙のDMといったコミュニケーションでお客様との関係を深めていきます。

LTVが高いお客様は、リアル店舗の店員との関係が深いということがわかっています。店員とお客様がOne to Oneでつながり、関係を深めていくことに社内のリソースを割いています。

COVID-19の世界的な流行を踏まえ、2020年は、リアル店舗の店員にスマホを貸与することを急激に進めました。お客様にとっては、普段使っている、LINEやSMS、メールでコミュニケーションを行うのがいちばん便利です。それらのツールでお客様とOne to Oneでつながるためには、特別なテクノロジーを使うのではなく、店員が、たとえば新着商品やECサイトの商品をLINEで直接紹介するといったコミュニケーションを積み重ねていくことが重要です。これまでも電話等で行っていたことを置き換えただけなのですが、お客様にとって便利なツールを用いることでお客様との接点が増え、コミュニケーションが深まっています。その結果、コロナ禍でもリアル店舗に来店いただいたり、オンライン上で買い取りのご相談いただく機会も増えました。そしてこれらのコミュニケーションツール同様、ECはあくまで、全体のデジタル戦略のうちのパーツのひとつなのです。

KOMEHYOが目指すOMOのイメージ図

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