第1回、第2回の記事では、越境ECのマーケットの実態や始める前に押さえておきたい注意点などをお伝えしましたが、第3回は今どのような商品が人気なのか、実際に成果を出している企業がどういった取り組みを行っているのかを紹介していきます。
定番人気はやはり日用品 時流にあったアイテム人気も高く、時流を読むのは必須
海外で共通して人気のある商品は、第1回でも触れたとおり、主に「日常的にその国でも使われているもの」です。海外向け卸販売サービス「SD export」の実績にも、その傾向は表れています。国ごとに人気のアイテムは異なりますが、傾向としてはどの国でも主に日用品が安定した人気を誇っています。
たとえば、食器はそのひとつと言えます。SD exportでも、陶器類が比較的よく購入されており、波佐見焼や有田焼といった各地場産の商品が世界に向けて販売されています。このような商品の人気は特に台湾や香港で高く、現地では中国製のものが多く流通するなか、デザイン性や割れにくい品質が評価され、好まれているようです。陶器類を販売する日本メーカーのなかには、モダンなデザインを増やして販売し始めたところ、国内外ともに反応が良くなったと手ごたえを感じている企業もあり、品質は変えずにデザイン面で新しい顧客開拓に成功している例もあります。
また、調理器具も人気があり、こちらに関しては機能性の高さが評価されています。ステンレス製の鍋からカッティングボードなど幅広いニーズがありますが、いずれも食器と同じく品質の良さやアイデア商品なども含めた機能性の高さで人気が出ています。
別のジャンルでは、文具も定番人気となっています。特にマスキングテープはアジアや欧米で人気となっており、国によって好まれる柄や使用用途は異なりますが、手帳をアレンジしたりラッピングアイテムとして利用したりと、幅広い用途で使用されています。中国ではモバイル化が進み手帳を使う習慣がないため、ノートを使う学生を対象に人気が出ており、アメリカでは成人女性を対象に商品が動いている傾向にあります。
マスキングテープは日本国内でも人気商品として各地で販売されており、訪日観光客がそれらをお土産として購入するケースも多くあります。それが現地でも人気が出るきっかけのひとつになっているようです。また、ボールペンも定番人気のアイテムとして、日本で人気の商品がそのまま海外でも支持されています。人気の理由は機能性にありますが、バイヤーいわく、日本のメーカーは新商品の回転が速く、常に目新しいものを店頭に並べ、鮮度のある店づくりができるというのも魅力のようです。
さらに、定番人気とは別でトレンド商品も注目を集めています。直近で人気があるのは「エコ」に関する商品で、プラスティックストローの代わりに使用するシリコンストローなどが好評です。大人用のシンプルなものから子供用のキャラクターものまで、各メーカーが販売していますが、数ヵ月前からニーズが増えています。環境問題など、世界中で関心が寄せられているテーマにまつわる商品は、国を問わずニーズが増えており、高品質で信頼性のある日本製品は、これからも販売しやすいと考えられます。