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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

在庫にまつわる3大お悩み解消法

「率」ばかり見てパイを狭めてませんか? システマチックに売上アップが狙える「主力製品」の見つけかた

 全6回にわたってお届けした連載「中小ECショップのための粗利からみる売上アップ講座」の著者・フルカイテンの瀬川さんによる新連載。今回は在庫にまつわるECのお悩みトップ3にフォーカス。第4回では、売上が簡単に増えない理由について解説します。

いろいろな工夫をしても売上が伸びないワケ

 本連載の最終回となる今回は、「なぜ売上は簡単に増えないのか」というテーマでお話したいと思います。

 「今期は売上高を前期比150%まで伸ばす!!」 

 こんな号令が会社の上層部からかかることってめずらしくないですよね。

 そして現場では、「客単価は◯◯円なので、注文件数を△△件まで増やす必要があるな」という会話がなされて、さまざまな販促計画が立てられていきます。

 ところが広告・メルマガ・導線改善など、いろいろな計画を実行しても思うように注文が増えないということはありませんか? 弊社にはそういった相談もよく寄せられます。

 さまざまな工夫をしても、なかなか思うように注文件数が増えないのはなぜなのでしょうか。

広告やメルマガで売上を伸ばす!がなんかうまくいかないワケ

 たとえば、広告で注文を増やすということを考えてみましょう。広告による注文は下記の式で表されます。

注文 = 広告表示回数 × 広告クリック率 × 購入率

 広告表示回数を多くするためには、検索回数が多いビッグワードでの表示を狙うか、検索回数は少なくてもよいので大量のスモールワードで表示を狙うかになります。

 ところが、ビッグワードは競合が多いので広告のクリック単価が高くなりすぎてしまう傾向にあります。これでは広告費がペイしません。

 一方でスモールワードを大量に狙うにしても、そんなにたくさんのスモールワードを見つけるのは現実的に困難ですし、スモールすぎて滅多にクリックされないのでスモールワードを増やすモチベーションは働きにくいという側面もあります。

 このような理由から、広告表示回数を増やすよりも広告クリック率を向上させようとして広告クリエイティブのABテストを繰り返して改善することになるのですが、これも目覚ましい成果につながることは少ないです。

 なぜかと言うと、たとえばあるキーワードの広告表示回数が1ヶ月に1,000回(1,000回も表示されるワードはスモールワードではありませんが……)だったとして、広告クリエイティブの改善を繰り返して広告クリック率が3%になっているとします。もし購入率が3%だとすると、

1,000 × 3% × 3% = 0.9件

という計算になりますので、注文は月間で1件増えるかどうかという数字にしかならないからです。

 もし広告クリック率が30%あったとしても、注文件数は月間で9件にしかなりませんので、会社の上層部が求める売上150%を達成するためには、広告クリック率が30%もあるワードを多数用意する必要があるということになります。

 実現性が低いですよね。

 以上のことからわかるのは、「率」の改善が注文件数に多大な影響を及ぼすのは、広告表示回数という母数がものすごく多いことが前提になるということです。

 しかし、この前提を実現するためには莫大な広告予算を計上する必要が出てきます。

 そのようなことができる会社は限られていますし、できたとしても広告費がペイする可能性は極めて低いと言わざるを得ません。

 メルマガもほぼ同じです。メルマガによる注文は下記の式で表されます。

注文 = メルマガ送信数 × メルマガ開封率 × メルマガクリック率 × 購入率

 開封率やクリック率をいくら改善しても、結局のところメルマガ送信数という母数がものすごく多くなければ注文件数が飛躍的に増えることはありません。

 しかも、メルマガの場合はメルマガ送信数はメルマガ会員数次第ですから、送信数を増やしすぎると同じ会員に何度もメルマガを送信することになってしまい、開封率が下がるという問題もあります。

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この記事の著者

フルカイテン株式会社 代表取締役 瀬川直寛(セガワナオヒロ)

 売上増加と在庫削減の両立を実現するシステム「FULL KAITEN」を開発し、クラウドサービスとして大手小売企業や楽天市場のショップオブザイヤー受賞店舗などに提供。 EC経営者として倒産危機を3度乗り越えた経験を踏まえた理論・考えかたは、多くの企業から高く評価されており、FULL KAITENにも...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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