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ECzine Day 2022 Summer

2022年6月8日(水)10:00~16:50

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データ統合やスムーズな動線だけでは実現しない、オムニチャネルに必要な3つめのピース

 創業から今年で17年目を迎えるSaaS型ECサイト構築プラットフォームを提供するフューチャーショップ。今ほどスマホの普及率が高くなかった2013年から、いち早くオムニチャネルに対応するSaaS型のサービスとして、「futureshop omni-channel」をリリースしている。EC 事業者のオムニチャネル化をサポートしてきた同社が考える、オムニチャネルを成功に導くポイントとは。

 フューチャーショップは、2003年より独自のECサイト構築サービスを開始し、現在では2,400以上の稼働店舗を抱えるプラットフォーマーだ。同社の「futureshop omnichannel」は、オムニチャネルという言葉が今ほど注目されていなかった2013年、いち早くオムニチャネルに対応するSaaS型のサービスとしてリリースされた。現在はアパレルを中心とした約50ブランドに導入されており、実店舗での稼働は900店舗を超えている。

 「オムニチャネルで重要なのは、実店舗とECそれぞれの強みを活かして相乗効果を生み出すこと」と語る同社CS推進部の八木さんに、futureshopのサービスとオムニチャネル成功の秘訣を伺った。

ECと実店舗の連携が相乗効果を生む

 そもそも「オムニチャネル」とは概念であり、機能やサービス自体を指す言葉ではない。そのため、漠然とオムニチャネルの重要性を感じていても、実際に何をやるべきかよくわからない事業者もいるのではないだろうか。

 同社はオムニチャネルを「自社のすべてのチャネルにおいて、自社の顧客に同じ購買体験を提供すること」と定義している。そのための土台として必要不可欠なのが、ECと実店舗を行き来する顧客の情報を統合することだ。

株式会社フューチャーショップ CS推進(ヒトテク)部 部長 八木智仁さん
株式会社フューチャーショップ CS推進(ヒトテク)部 部長 八木智仁さん

 futureshopでは、ポイントを共通化することでEC 会員と実店舗会員を統合する仕組みを提供している。これは単に、データを一元管理する以上の意味があると八木さんは言う。

「EC上で会員登録をしてもらうのは意外とハードルが高いんです。弊社で『会員登録ですぐに使える500ポイント』という施策を行って調査をしたのですが、ECサイト上では初回購入時の会員登録率が26.4%と、およそ4分の1しか登録されませんでした。しかし店頭では、レジの近くにPOPを出したり、スタッフが声をかけたりするだけで、9割の方に登録していただくことが可能です」

 接客という店舗の強みを活かして会員登録を増やすことができれば、その後もEC同様のメールマーケティングやリピート施策が可能になり、購入機会が増加する。会員統合による相乗効果で、全体の売上アップにつなげやすくなるのだ。

「事例をひとつお伝えすると、アパレルブランド『flower』では、新規開店による実店舗売上が約140%増だったのに対して、ECでの売上も比例するように136%に伸びました。それまでは実店舗とECの売上が比例することはなかったそうですから、相乗効果は高いと思います」

 また、ECで見つけた商品を「実際に見て購入したい」というニーズに応える店頭在庫表示機能も提供している。これも実店舗とECの連携により、ブランド全体の機会損失を防ぐことが目的だ。事業者側でバックヤード管理の整備が必要だが、店舗への送客を促進できるこの機能は、現在約10ブランドで実装されている。

「アパレルブランド『w closet』では導入後、店舗に在庫確認の電話が殺到したそうです。普段は原宿店で購入されるお客様が、電車で1時間程度かかる海老名店に在庫があることがわかり、わざわざ来店されたこともありました。それだけでも在庫表示機能を入れたかいがあったと、店舗からEC部門へ共有があったそうです」

 ECと実店舗を行き来する消費行動が当たり前となった現在、両者が連携することで相乗効果を生み、全体の売上や価値を高めていくことが、オムニチャネルの重要なポイントになる。

「チャネルをただつなげればいいわけではない」
STAFF STARTとの連携も

 実店舗とECだけではなく、より多様なチャネルに対応していくことも欠かせない。最近では、LINEやInstagramなどのSNSを通じた顧客とのコミュニケーションが、重要なチャネルのひとつとなっている。futureshopでもLINEと会員IDを連携するオプションを提供している。

「リピートにつながるコミュニケーションではLINEがいちばん効果的だと考えています。お客様の消費行動の変化に合わせて、LINE、実店舗、ECサイトなどのあらゆるチャネルでつながっていく必要があります」

 2018年の6月より日本でもリリースされた、Instagramへの投稿画像に商品ページへのリンクを追加できるショッピング機能「ShopNow」へもいち早く対応。開始から8ヵ月ですでに約600店舗が申し込んだ。さらに、スタッフのコーディネート撮影からページ作成までをスマホで完結できるオプションの提供を開始。それがコーディネート画像に着用アイテムの商品ページリンクを簡単に紐付けられるバニッシュスタンダード社のアプリ「STAFF START」との連携だ。

「今はSNSを中心に個人がクローズアップされる時代です。これまで影響力のあるスタッフの方が個人レベルでやっていたことを、仕組み化して企業として取り込んでいくことも重要になっていくと思います」

STAFF STARTとの連携により、コーディネート画像ページから直接カートに入れることが可能に。スタッフも、自分がアップしたコーディネートの反響を確認できるため、モチベーションアップにつなげることができる。
STAFF STARTとの連携により、コーディネート画像ページから直接カートに入れることが可能に。スタッフも、自分がアップしたコーディネートの反響を確認できるため、モチベーションアップにつなげることができる。

 オムニチャネル化にあたっては、顧客と接点をもてるチャネルがどれだけあるかを把握し、チャネル間のデータ統合が第1歩となる。しかし、単にチャネルを増やしてつなげればいいわけではない。チャネルごとに統一された価値を提供すること、そのためのスムーズな動線を設計することも非常に重要だ。

「ブランドの各チャネルに統一感がなければファンにはなってくれませんし、チャネル間をいかに違和感なく移動できるかも重要です。LINEの画面からいかにスムーズにECサイトへ移動してもらい購入につなげるか。スタッフのコーディネートからいかにスムーズに商品ページに遷移できるか。そうした動線設計にも非常にこだわった仕組みづくりをしています」

オムニチャネル成功のための3つめのカギは「店舗」にある

 フューチャーショップが考えるオムニチャネル化の重要なカギは3つ。ひとつはチャネル間のデータを統合する仕組み。ふたつめはチャネル間をまたいだスムーズな動線。この2点については前述のとおりで、フューチャーショップがサービスとして提供している部分だ。しかしこれだけではオムニチャネルは成功しない。3つめの重要なカギが、店頭スタッフの意識改革だという。

「店頭のスタッフの方が、会員登録するとこんなにいいことがありますよとか、LINE 連携するとこういう情報が届きます、といったことをいかにお客様に伝えることができているか。それをやっている店舗とやってない店舗で、成果は如実に違います。たとえばLINE 連携は、お客様が自らLINEアプリ内でECサイトにログインする必要があるためハードルが高く、平均的な連携率は7%程度です。しかし、店頭で積極的に案内をされているアパレルブランド『古着屋JAM』では、連携率は約33%。futureshopと連携しているLINEの自動配信ツール『WazzUp!』を使って、新着情報のお知らせやカゴ落ちのフォローメッセージを送るなどのコミュニケーションを取られています。スタッフの取り組みかたで、結果は大きく変わってくるんです」

 重要なのは店頭のスタッフを巻き込み、モチベーションを上げていくこと。実店舗とECで売上を取り合うのではなく、ブランドをともに盛り上げ、その価値の向上こそがオムニチャネルの目的だと理解してもらうこと。これが、成果につなげるポイントなのだ。

 前述の連携アプリ、STAFF STARTは、モチベーションアップに最適なツールになる。投稿したコーディネートが、どれだけECでの売上につながったかが可視化され、スタッフ個人の評価につなげることもできるからだ。店頭スタッフがブランド全体の売上に貢献するという意識をもち、多様なチャネルを活用していくことができれば、実店舗とECサイトの垣根はなくなっていき、「自社のすべてのチャネルにおいて、自社の顧客に同じ購買体験を提供する」というオムニチャネルの目的が実現できる。

「それぞれのチャネルの強みを活かし、チャネルをまたいだ相乗効果が生まれることが大切です。実店舗での接客によってチャネルを増やし、コミュニケーションが増え、ECも含めた全体がよくなっていく。今後もそうした相乗効果をどういう風に仕組みで生み出していくかを考えていきたいと思っています」

「事業者がやるべきは仕組みづくりではない」
限られたリソースで成果を出すために

 同社の「futureshop omni-channel」は、SaaS型で必要な機能だけ、カスタマイズ不要で利用することができる。そのため比較的安価であることも特徴だ。

「SaaS 型でコストが抑えられるので、企業やブランドにとってはチャレンジしやすいのではないでしょうか。細かな連携やPOS 対応などの調整は必要ですが、技術的な負担は大きくありません。もともとfutureshopのECサイトを利用されているお客様が中心でしたが、最近は別のECサービスをすでにご利用のお客様が、顧客データ統合を実現したいという理由で、プラットフォームをリプレースする際に採用いただくケースも増えています」

 サービスや機能の提供だけでなく、サポート体制が充実しているのも同社の強みだ。八木さんが率いるCS(カスタマー・サクセス)推進部が中心となり、顧客ごとに異なる課題に対応するほか、サービスに関する説明会や勉強会も充実している。

 今後もテクノロジーの進化、インターネットとデバイスの普及、SNSをはじめとした顧客接点の多様化で、消費者行動はますます複雑化していき、事業者が対応すべき施策もより増えていくだろう。エンジニアの人材確保も年々難しくなるなか、自社だけで対応していくことは難しい。だからこそ、テクノロジーへの対応は任せてほしいと八木さんは締めくくる。

「事業者の方が限られたリソースで成果を出していくためにやるべきは、MDや接客などのクリエイティブのブラッシュアップで、仕組みを作るところではないと思います。そこは我々がプラットフォーマーとしてしっかり責任を果たしていくのでお任せください。一緒に頑張っていきましょう」

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https://eczine.jp/article/detail/6524 2019/06/01 22:05

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