すでに国内数千社が導入、社会貢献活動にも利用される決済手段に
自社ECサイトでも、Amazonアカウントを利用したログインおよび決済が可能となるAmazon Pay。ユーザー(購入者)にとっては、住所やクレジットカード情報の入力が不要で、Amazonアカウントひとつで買い物ができるほか、Amazonマーケットプレイスの出品者から商品に適用される保証(Amazon マーケットプレイス保証)が受けられる、といったメリットがある。
井野川氏によれば、日本では、2015年5月のサービス開始から3年弱で数千社が導入しており、導入事業者のジャンルも幅広いという。意外なところでは日本赤十字社の寄付受付にも利用されている。
「2016年に発生した熊本地震の被災地への寄付受付として、日本赤十字社との取り組みを開始しました。その後、イタリアやメキシコでの震災、アメリカのハリケーンなどの被災地に対する寄付活動にも使われています。日本で作った仕組みが世界で役立っていることは何よりです」(井野川氏)
Amazon Pay導入事業者が増え続けている理由とは
EC事業者にとってのAmazon Pay導入メリットとして井野川氏がまず挙げたのは、新規顧客の獲得が期待できること。ショッピングカートシステム「FutureShop2」利用店舗のうち、Amazon Pay導入済み店舗の新規会員登録増加率は、未導入店舗の約11倍だったという(2015年12月と2016年12月を比較)。注文確定画面に会員登録やメールマガジン購読のチェックボックスを配置しておくことで、登録のハードルがぐっと低くなることが見込める。
「新規会員獲得のための費用は1人あたり数千円から1万円を超える場合もあると聞きますが、Amazon Payをご利用いただくことで、そのマーケティングコストの節約も期待できます。Amazon Payは単なる決済手段の枠を超えて、会員獲得に有効なマーケティングツールとしても皆様のビジネスをサポートできると考えています」(井野川氏)
また、コンバージョンレートの改善にも効果がありそうだ。Amazon Pay導入済み店舗ではカゴ落ちが減り、未導入店舗に比べてコンバージョンレートが平均1.5倍になったという調査データもある。(アイピーロジック調べ、2016年5月)
さらに、不正取引の防止という点においてもメリットがある。Amazon Payを導入することにより、Amazonと同レベルの不正検知・防止の仕組みが提供され、リスク管理の負荷が大幅に軽減されるのだ。Amazonマーケットプレイス保証の対象となることで、実質的にチャージバックのリスクもゼロに近づく(一部、Amazonマーケットプレイス保証が適用されない商品・サービスがある)。
定期購入機能「Auto Pay」でLTV向上にも貢献
今回の「ECzine Day 2018 Spring」ではメインテーマとして「LTV(Life Time Value)」を掲げていたが、井野川氏はそのLTV向上にも効果が期待できるAmazon Payの機能として、定期購入などに利用できる「Auto Pay」を紹介した。
これは、「注文時に選択したクレジットカードを今後も決済に利用すること」について購入者の同意を得ると、金額やタイミングを設定して請求することが可能となり、提供サービスの内容に応じて決済パターンをカスタマイズできるという仕組みだ。従来の定期購入のイメージにとどまらず、定期購入+追加購入、使用量に応じた定期従量課金、カートを経由しない1クリック購入などにも対応するという。
また井野川氏は、Amazon Pay決済とそれ以外の決済での購買回数別の比較データを提示。それによると、Amazon Pay決済を利用している顧客は、他の決済を利用する顧客よりも定期的に4回以上購入を続ける割合が高いという。(SUPER STUDIO調べ、2018年3月)
「定期購入をしていても、途中でクレジットカードが期限切れになってしまう可能性があります。ただ、Amazon Payをご利用の場合には、クレジットカード情報が常に最新の内容にアップデートされている可能性が高いので、獲得した定期購入のお客様が減るリスクの低減も見込むことができます」(井野川氏)
導入事業者のLafayetteが語る、Amazon Payのメリット
セッション後半では、Amazon Pay導入事業者であるLafayette(ラファイエット)でONLINE STORE MANAGERを務める村尾 真行氏と、Amazon Pay 導入パートナーのGMOメイクショップ マーケティング部 MakeShop課 マーケティングチームの河津 直貴氏が登壇。井野川氏の進行でトークセッションが行われた。
Lafayetteは、神奈川・東京を拠点にメンズアパレルのセレクトショップを展開。自社ECサイト「Lafayette ONLINE STORE」では、GMOメイクショップのカートとあわせてAmazon Payを利用している。また、GMOメイクショップはAmazon Payの公式認定制度「グローバルパートナープログラム」のプレミアパートナーだ。
井野川 EC事業を展開されている中で、どんな課題をお持ちですか?
村尾(Lafayette) 永遠の課題ともいえるのは「新規のお客様の獲得」です。まずそこが広がらなければ、その先の施策でも十分な効果が得られませんので。
井野川 Amazon Payを導入されて、その部分ではお役に立てていますでしょうか?
村尾(Lafayette) お客様にとって、購入したことがないECサイトで個人情報を入力するのは大きなストレスになります。Amazonアカウントをお持ちのお客様なら、Amazon Payを使うことでそれを解消できる。このメリットは大きいですね。実際に、Amazon Pay経由でお買い上げいただく新規のお客様はかなり増えています。
井野川 ほかにもAmazon Payの導入メリットはありましたか?
村尾(Lafayette) クレジットカード決済の不正利用対策です。監視や調査など付随する業務の負担が大きく軽減されました。
GMOメイクショップのサービスを活用してLTV向上にも取り組む
井野川 今回のECzine DayのテーマでもあるLTVへのお取り組みについてお聞かせください。
村尾(Lafayette) 新規のお客様がいかにリピートしてくださるかを常に重視しています。その点についてはGMOメイクショップさんのサービスが充実しているので、かなり助けられてます。
河津(メイクショップ) Lafayette様には弊社の「MakeRepeater(メイクリピーター)」というツールをご利用いただいています。顧客セグメントやターゲットごとにメール配信などが行えるツールで、LTVの向上を図るうえで非常に有効にお使いいただいていると思います。
井野川 やはり新規顧客の獲得とともに、リテンションやLTV向上にも注力されているのですね。ところで、Amazon Pay導入にあたって苦労されたことはありましたか?
河津(メイクショップ) プロバイダーの立場から申し上げると、Amazon Payの導入は簡単でした。設定の手間が少なく、弊社のカスタマーサポート担当からも、導入されているお客様からクレームを受けたことはないと聞いています。
村尾(Lafayette) 導入事業者側としても、とても簡単にAmazon Payを導入することができたという印象です。
河津(メイクショップ) 導入事業者様の準備が整っていれば、お申し込みから1週間ほどでAmazon Payをご利用いただけるようになると思います。
井野川 運用の手間や費用についてはいかがでしょう。
村尾(Lafayette) 手間はほとんどないですね。決済手数料も、クレジットカード決済を導入している事業者様ならおわかりになると思いますが、その手数料とほとんど変わりません。
井野川 クレジットカードの手数料を含めて、物販では4%、デジタルコンテンツだと4.5%の手数料を頂戴しています。EC事業者の皆様には、Amazon Payを決済手段だけではなく、新規会員獲得などのマーケティング効果も期待できるサービスとして捉えていただけるとありがたいです(参照リンク:Amazon Pay 手数料について)。
購入体験として「感動」を!今後の抱負を聞く
井野川 最後にお二方それぞれから、今後の展開・抱負などをお聞かせください。
村尾(Lafayette) ECを取り巻く環境は年々変化していますが、いつの時代も変わらず、お客様には購入体験として常に「感動」をお届けできるように努力していきたいと思います。
河津(メイクショップ) 弊社は「ECで商売している方を徹底的に支援していく」というのがモットーです。今後はその領域を広げ、より総合的に支援できるようにしていきたいと考えています。