アプリ開発者たちの対話 Shopify標準機能と歩む未来とは
2024年6月25日、カナダのトロントで開催されたShopifyの「Editions.dev」。現地には、数千人のECエンジニア・Shopifyパートナー・Shopify社員が集結しました。本記事では、当社エンジニアが本イベントに参加した際の話をもとに、現地の様子をレポートします。
イベント冒頭、メイン会場で行われた「Kickoff + Editions debrief」で、Shopify創業者のトビアス・リュトケ氏は「eコマースの民主化」に向けた20年の取り組みを振り返りました。特に焦点が当てられたのが、同ビジョンを実現するための要素「プラットフォームの拡張性」「グローバル戦略」「ストアフロントの最適化」「アプリエコシステムの強化」です。たとえば、海外からの購入時に必要な送料や税金が明示される、SNSやゲーム内での購入をスムーズにするなどが、キーポイントとなります。
「Editions.dev」の開催にともなって、開発者コミュニティによるイベントも行われました。その一つが、APAC企業3社によって2024年6月23日に実施された「Editions.dev」参加者向け交流会「Pre-Editions Mixer」です。
主催企業の1社であるベトナムのQikifyは、チェックアウトプロセスのカスタマイズにより、顧客満足度と購入単価の向上を支援しています。既に4つのアプリが「Built for Shopify」認定を受けている企業です。
本交流会をきっかけに、後日Qikifyの創業者が当社に来訪しました。その際に議論されたのが、Qikifyのアプリの一つが、Shopifyのファーストパーティアプリ「Checkout Blocks」と競合する点です。Qikifyは自社の考えを次のように述べていました。
「ファーストパーティアプリは信頼性の面で優位といえる一方、多種多様なEC事業者が求める細かなカスタマイズにすべて対応するのは難しい」
同社の懸念と同様に、「Editions.dev」参加者の間では「アプリ開発企業は、自社アプリの機能がShopifyに標準搭載される可能性を考慮しなければならない」との話題が上がりました。とはいえ、全EC事業者の要望にShopifyの標準機能のみで対応するのは容易ではありません。だからこそ、情報交換のためにアプリ開発のコミュニティが成長しているのでしょう。