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「即戦力メンバーを中途採用しよう」の罠
これまで、ECの売上成長やファンの創出に必要なコンテンツ、それらをつくるためのユーザーニーズを知る方法についてお伝えしてきました。顧客に選ばれるブランドのコンテンツづくりを担うのは、やはり「人」です。担当者の熱量が伝わるコンテンツは、読者の共感を生み、ファン化を促します。そこで今回は、コンテンツを通じて、顧客と良好な関係を保ち続けるための人材育成やチームを解説します。
自社ECサイトのブランディングを強化し、ファンを増やすために必要なのが「クリエイティブおよびコンセプトの統一」です。私が以前、取締役 兼 COOを務めていた土屋鞄製造所を例に説明します。
私が在籍していた当時は、「職人を大切にする」「日本の職人文化を守り続けなければならない」という想いが、同社の企業文化に強く反映されていました。そして、商品のデザインやクオリティー、カスタマーサポートの電話やメールなどにおける一言一句にまで浸透していたと思います。
こうしたブランディングに欠かせないコンテンツづくりに適しているのは、次のような人材です。
- 自社のブランドイメージを理解している
- PDCAを回し、より強いブランドイメージを形成する労力を惜しまない
コンテンツ力を強化するために、経験者を中途採用すれば良い。
そう考えていませんか。なぜ、経験者の正社員が必要なのか、再度考えてみてください。
中途採用で即戦力を確保するにしても、まず採用活動に数ヵ月は必要です。かつ正社員の採用には、スキル面はもちろん、マインドが自社とマッチするのかも考慮しなければ、早期離職につながる恐れがあります。当社のクライアントは、人材紹介会社経由で1年半かけて即戦力人材を1名採用したものの、10ヵ月で退職してしまいました。それだけ、現在の日本は売り手市場なのです。
私が在籍していた頃の土屋鞄製造所では、私以外、中途採用のEC経験者はゼロだったと記憶しています。それは「自社のトンマナに合うセンスを持つ未経験の若手をどんどん採用し、育成していた」からなし得たことです。
では、なぜ、未経験の若手を採用するほうが合理的だと判断したのでしょうか。