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モノの取引からコトの取引へ
中国最大級のフリマサービス、「閑魚」。日本の「メルカリ」と同様のサービスを提供しています。その前身となったのが、中国のECプラットフォーム「淘宝(タオバオ)」で2012年に立ち上がった中古取引用サービス、「淘宝二手(タオバオアーシャウ)」です。淘宝二手は2014年に淘宝から分離され、現在の閑魚となりました。
閑魚は2023年5月に、ユーザー数が5億人を超えたことを発表しています。これは、アリババグループ内で淘宝、天猫(テンマオ)に次ぐユーザー規模です。
閑魚の創業者・諶偉業氏は過去、36Krの取材にこう答えています。
社会には使われないまま眠っているさまざまな資源(住宅、衣類、デジタル製品など)があり、こうした資源は流通に乗せることで初めて価値を生む。流通に乗せる基本条件は市場メカニズムにあるのではなく、先に取引プラットフォームを作り、そのプラットフォームが資源を流通させる。これが我々の行っていることだ
こうして、閑魚は手数料無料のサービスとして生まれました。
閑魚のメリットの一つは、新規登録の手間がかからないこと。淘宝や「天猫」、QRコード決済サービスである「支付宝(ジーフーバオ/アリペイ)」のアカウントを作成していれば、同じアカウントで閑魚にも登録可能です。
また、アリババグループの他サービスと連携しているからこそ実現できる、出品の手軽さも魅力です。淘宝で購入した商品は、購入履歴から選択すれば出品が可能です。その際、出品時の相場や商品説明は自動で入力されます。出品された商品が本物かどうかなどの情報が、淘宝での購入時のトレーサビリティから紐づけられます。
閑魚の本来の事業範囲は、こうした中古品売買でした。しかし、現在では不動産賃貸や洋服・カバンのレンタル、家庭教師、ビジネス相談、占い、ウェブマーケティング、集客支援など、サービス領域にまで拡大しています。「みんなのもっているものをみんなで使ってコスパ良く楽しもう」という考え方が、根底にあるのでしょう。