デジタル時代の「水」として、ものづくりをアップデート
──陳氏は中国の大学を卒業後、11年にわたって日本に在住し、IT業界に従事されてきたとのことですが、その後の経歴を教えてください。
陳(HHO Limited) 帰国後は、アリババグループで様々なプロダクト開発に携わりました。中でもビジネス向けコミュニケーションプラットフォーム「DingTalk」は、1,700万以上の組織で5億人以上が利用するまでに成長しました。
そして2021年にアリババグループを離れ、HHO Limitedを立ち上げました。社名の「HHO」の由来は、水を示す元素記号の「H2O」にあります。化学用語には言語の壁がありません。どの国の人でも理解できる記号を用いて、世界に向け「デジタル時代の源泉を目指す」という意味を込めました。
──HHO Limitedでは、現在どのような事業を展開しているのでしょうか。
陳 当社は3つの主力事業を抱えています。1つ目は、テクノロジーを活用して環境や音楽に合わせた光の表現ができるイヤホン「HHOGene GPods」です。音楽を楽しむ顧客のニーズを把握して「個性を表現できる」という付加価値を与えました。過剰な在庫を抱えずに適正価格で効率的に販売できるよう、EC販売を主軸としてブランディングに注力し、製造業フローのDXを実現しています。
2つ目は、デジタルペットブランド「HHOLOVE」です。猫用自動トイレなど、デジタル技術を駆使してペットの飼育をよりスマートかつ自動化し、盛り上がるペット市場のDXを目指しています。
そして3つ目の「7sGood」では、売り場や売り方の進化に貢献したいと考えています。「7秒で生活を世界とつなぐ」をコンセプトに、毎日1,000点以上の商品紹介ショート動画をアップロードしてAmazonのように多くの商品を取りそろえながら、TikTokのように短い時間で購買を喚起し、そのまま購入できる新たなプラットフォームをつくり上げています。潤沢な広告予算を持つ大手企業の商品ばかりがアピールされる売り場ではなく、テクノロジーを使って顧客の嗜好に合った新商品を提案し、中小企業と顧客の出会いの場を生み出したいと考えています。
──ものづくりからプラットフォーム運営まで、多岐にわたる事業展開をしていますが、陳氏がHHO Limitedで実現したいことは何なのでしょうか。
陳 プロダクト開発を行い、商品を売る場を立ち上げているせいか、当社はよく「もの売りの会社」だと思われていますが、HHO Limitedは「技術会社」です。「DingTalk」を立ち上げ、中国企業のDX推進の現場に立ち会ってきたメンバーが、「テクノロジーを使って世の中をアップデートする」を使命に獲得したノウハウを業種・業態や国境を問わず還元し、ものづくりのコスト削減やスピードアップに寄与していきたいと考えています。