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2024年3月14日(木)10:00~16:20(予定)

おさえておきたいEC・通販先進企業

メーカーとしての強みを活かすアンカー・ジャパンのD2C施策とは

 スマホ用充電器などの製品開発・販売で大きなシェアを持つアンカー・ジャパンは、モール型ECや自社ECをはじめとするECに特化したD2Cビジネスモデルを構築するだけでなく、実店舗「Anker Store(アンカーストア)」も展開し、成功を収めている企業です。本稿では、自社で商品を企画・開発できるメーカーとしての強みをどのように活かしているのか、解説します。

 今やTVCMなどでも目にする機会が増えたアンカー・ジャパンは、スマートフォン向け充電器やプロジェクターなど、数々の良質な商品を世に送り続けてきました。特徴的なのは、同社は家電量販店の卸売などではなく、モール型ECを使ったD2Cによって顧客の心をつかんできたことにあります。

 この記事では、そんなアンカー・ジャパンがメーカーとしての強みをどのように販売領域で活かしているのか、注目のD2C施策について解説します。

アンカー・ジャパン株式会社の企業情報・事業内容の概要

 まずは、アンカー・ジャパン株式会社の基本的な情報を確認しておきましょう。

アンカー・ジャパン株式会社の企業情報

 以下では、アンカー・ジャパン株式会社企業情報をまとめています。

社名 アンカー・ジャパン株式会社
本社所在地 東京都千代田区神田淡路町2-101 ワテラスタワー9階
設立年月 2013年1月
代表者名 代表取締役CEO 猿渡 歩
株式公開 未上場
資本金 1億6,000万円
おもなグループ会社 Anker Innovations Technology Co., Ltd

アンカー・ジャパン株式会社の事業内容

 アンカー・ジャパン株式会社は、中国に本社を置くAnker Innovations Technology Co., Ltdの日本法人です。

 世界でトップクラスのシェアを誇るモバイル充電機ブランド「Anker(アンカー)」の大ヒットで一躍大手メーカーとして躍進した同社は、ほかにも多くの製品を世に送り出し、ヒットを収めています。

 オーディオブランドの「Soundcore(サウンドコア)」やプロジェクターブランドの「Nebula(ネビュラ)」、スマートホームデバイスの「Eufy(ユーフィ)」など、世界100か国以上で製品を販売し、グローバル企業としての盤石な地位を固めました。

 日本ではAmazonや楽天市場をはじめとするモール型ECで見かけることが多い製品でしたが、最近では家電量販店やコンビニでも同社の製品を見かける機会が増えています。直営店の全国展開も進んでおり、国内にも多くのファンを抱えていることがわかります。

アンカー・ジャパン株式会社が提供するおもなテクノロジー

 アンカー・ジャパン株式会社がものづくり大国である日本でも大きなシェアを獲得している主な理由としては、製品としての品質の高さが挙げられるでしょう。事実、同社は多くの独自技術を開発・実装しており、他社の製品にはない強みを発揮しています。

 たとえば、接続された機器を自動で検知して、機器ごとに最適なパワーで急速充電を実現する「PowerIQ」は、同社の主力製品であるAnknerシリーズに実装されている独自の技術です。ほかにも、オーディオ機器に実装されている「BassUp」は、小型デバイスでもパワフルで深みのある低音を実現する、魅力的なテクノロジーといえます。

 また、近年注目を集める次世代のパワー半導体の有力な材料とされる「GaN(窒化ガリウム)」を採用した充電器の小型化技術にも着手するなど、最先端のハイテク活用についても期待が集まるところです。

効果的なアウトソースで急成長を遂げたアンカー・ジャパン株式会社のD2C戦略

 このように、強力な自社での技術開発力を強みとした商品展開を行うアンカー・ジャパン株式会社では、メーカーから消費者へ直接販売するD2Cによってシェアを獲得してきました。ECでの成果を生んだ同社の戦略としては、次のような施策が挙げられます。

ECの強みを活かして急成長を実現

 ハードウェアを扱うアンカー・ジャパン株式会社のようなビジネスモデルの場合、在庫管理におけるオペレーションに人手や予算のリソースをあてる必要があり、その負担が課題になることも少なくありません。

 一方、モール型ECのサービスを利用した場合、店舗単位でのマネジメント負担を抑えつつ、オペレーション構築のコストを削減することが可能です。

 同社では、AmazonのアウトソーシングサービスであるFBAを活用して製品ページを構え、在庫をFBAの倉庫に納め、発送から入金までの処理をAmazon側に一括で任せています。同サービスでは、オペレーション負担を外部に委託できるため、小規模に事業を始めたい場合などに有用といえるでしょう。

 またアンカー・ジャパンでは、国際標準で設計されているAmazonのFBAのシステムを活用すればスムーズに越境ECを展開できる点や、1~2週間でキャッシュインできる点なども高く評価しています。

Amazon手数料を集客コストと捉える

 Amazonのようなプラットフォームのサービスを利用する際のデメリットとして、手数料が発生する点が挙げられます。取引の規模が大きくなればなるほど、自社ECと比べて利益率は低くなってしまうため、この負荷の解消に追われる企業は少なくありません。

 しかしアンカー・ジャパン株式会社では、Amazonの強力な集客力をメリットと捉え、手数料についても集客コストとして妥当性を見いだしています。

 また同社では、Amazonを利用することで、本来自社で行うべき集客をアウトソースし、商品の企画開発に社内リソースを割くという手法を採用しています。

顧客体験をベースにしたものづくりを重視

 アンカー・ジャパン株式会社では、デジタルマーケティングに注力して集客する方法ではなく、「潜在購買者がいるところで勝負する」方法を採用しています。そのうえで、「顧客体験(ユーザーの商品レビューやSNSでのコメントなど)を起点にしたプロダクト開発」を行い、顧客のニーズをくみ取った企画・開発を続けてきました。

 Amazonや楽天市場といったモール型ECを活用する際のおもなメリットは、集客に力を入れなくとも潜在顧客が集まる点です。

 同社では、コストパフォーマンスの高い製品とサポートを潜在購買者が集まる場所に送り出し、ユーザーの確かな評価を獲得することで、顧客満足度向上や口コミによる本質的なプロモーションを実現しています。

アンカー・ジャパン株式会社の最近の動き

 続いて、アンカー・ジャパン株式会社の近年のおもな動向について解説します。

2022年12月期のEC売上高は200億円超へ。ポータブル電源は売上2倍に成長

 アンカー・ジャパン株式会社は、2022年12月期の売上高が350億円を超えたことを明らかにしました。EC売上高の詳細は明らかにしていないものの、同社における売り上げの半分以上はECが占めるとしているため、EC売上高は推定で200億円以上と考えられます。

 売上高の順調な成長の要因として、ポータブル充電器の売り上げの急拡大が挙げられます。2022年12月期には、同製品の売り上げは前期比約2倍に成長したとしており、今後もグローバルシェアにおいて見逃せないブランドとなることでしょう。

法人向けECサイト「Anker for Business」をオープン

 アンカー・ジャパン株式会社は2023年、法人向けECサイトの「Anker for Business」をオープンしました。これまで一般消費者向けを想定した販売に特化してきた同社ですが、シェアの拡大にともない、ビジネスシーンや製品カテゴリで分類された、法人特化の人気製品をそろえたサイトを新たに展開したのです。

 同サイトには、法人向け機能として自動見積もり機能が実装されているため、担当者とのコミュニケーションに時間をかけることなく、ワンストップで注文、見積書発行、支払いまでを完結させることが可能です。

ラクスルと本格業務提携開始

 2020年6月、アンカー・ジャパン株式会社はノベルティグッズ製作や印刷サービスを提供するラクスル株式会社との業務提携強化を発表しました。

 同提携の具体的な内容は、アンカー・ジャパン株式会社の充電器やモバイルバッテリー、オーディオ機器に対してオリジナルデザインを印刷するサービスで、今回の取り組みによってオリジナルデザイン印刷対象商品が9製品に拡大しました。

アンカー・ジャパン株式会社の気になるトピックス

 そのほか、注目したいアンカー・ジャパン株式会社のトピックスを以下にまとめています。

2023年4月19日:利便性向上と環境配慮を背景に「タイプCならAnker」プロジェクトを始動 第1弾として充電関連製品の買い替え促進キャンペーンを実施

 充電関連のテクノロジーの進化に合わせ、お客様の利便性向上と環境への配慮を背景に「タイプCならAnker」プロジェクトを始動。第1弾として全国のAnker Storeにて充電関連製品の買い替え促進を目的とした「『タイプCならAnker』購入サポートキャンペーン」を実施した。

2023年1月27日:Ankerグループ製品を取り揃える「アンカー・ダイレクト楽天市場店」「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー」を4年連続受賞!

 「アンカー・ダイレクト楽天市場店」が、2023年1月25日に発表された「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー 2022」にて「TV・オーディオ・カメラジャンル賞」を受賞し、「楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー」を4年連続で受賞した。

2023年1月23日:日本交通グループをはじめとしたタクシー車両にAnkerの充電ケーブルを常時設置

 都内最大手のタクシー会社である日本交通をはじめとしたタクシー車両に、Ankerの充電ケーブルおよび特別ケーブルホルダーの設置を開始した。タクシー車両へのAnkerグループ製品の常時設置は今回が初。約500台から展開を開始し、今後も拡大予定。

2022年10月27日:Ankerグループ製品の修理等を担う新会社「アンカー・テック株式会社」設立初めて他社製も対象の「モバイルバッテリー下取り&買い替えサポート」開始

 アンカー・ジャパンの子会社として、Ankerグループ製品の修理業務などを担うアンカー・テック株式会社を2022年9月9日付で設立。また、サステナビリティへの取り組みの一つとして、今回初めてAnker以外のモバイルバッテリーも全てが対象となる「モバイルバッテリー下取り&買い替えサポート」第4弾を実施した。

2022年4月13日:Anker が「世界No.1モバイル充電ブランド」に正式認定!日本国内でもAnkerの充電関連製品の販売が3,000万個を突破

  “充電”のグローバル・リーディングブランド「Anker」は、Euromonitor Internationalが実施した調査結果において「世界No.1モバイル充電ブランド」として正式に認定を受けたことを発表。また、日本国内では2013年の法人設立・販売開始よりAnkerの充電関連製品合計3,000万個超の販売個数を記録した。

まとめ

 この記事では、アンカー・ジャパン株式会社のメーカーとしてのこだわりや、D2Cを展開するうえでどのようにECを活用しているのかについて、解説しました。

 ものづくり企業としてのこだわりと確かな技術力はもちろん、同社の売上や成長に大きく貢献しているのが、ECへの高度な理解です。モール型ECならではの集客力の高さを最大限活かしながら販売網を構築してきた同社では、そこで得られた余剰リソースを、製品の企画・開発にあててきました。

 自社ECや直営店の展開にも注力しつつ、あくまで自社の企画開発力を優先した、バランス感覚のあるD2C戦略を同社はこれからも続けていくことでしょう。

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この記事の著者

EC研究所(イーシーケンキュウジョ)

ECについての情報を調べ、まとめてお届けします。

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