個人の知識量よりチームとしての安定感
ECをブランディングする。それは「顧客にとって最良の体験とは何か」を突き詰めることである、と前回お伝えしました。また、ECとブランディングがバランスよく実現できている事例も併せてご紹介しました。
では、ブランディングを実行に移すにあたって、どのような体制とアクションが必要なのでしょうか。今回は、社内で「誰が何をすれば良いのか」を具体的にお話しします。
大前提として「ブランディングもECもわかる」人材を探す必要はありません。もちろん、そういった人材がすでに社内にいる、もしくは入社予定である場合はその人を事業やプロジェクトの中心に据えるのがベストでしょう。しかし、「ECとブランディングのどちらにも理解が深い」人材は採用の難易度が非常に高いです。いざ事業を推進しようとしたとき、人材が揃わなければ何も進みませんし、いつ採用できるのか目処がたたない状態で待っていても仕方がありません。
そこで、今いる社内の人材をベースにおすすめのチーム構成をお伝えします。
- ECをよく理解した担当者とブランドをよく理解した担当者の2名体制を作る
- 1にブランドの顧客ペルソナにマッチする人材を担当者に加える(合計3名)
- これらの人員の上司を既存のベテラン社員から選出し、ECとブランディングのリスキリングを行う
このチーム構成が最適である理由は「組織として安定運用が可能である」からです。さらに細かく分解すると次のようになります。
1.ブランディング担当者とEC担当者の2名体制を作る
二人三脚で進めるべきECとブランディングですが、頻繁に方針がぶつかり合いズレが生じる可能性もあります。それぞれの視点を持って最適な落とし所を探ることのできる「チーム」作りが必須であり、そのために2名体制を敷きます。
2.顧客ペルソナにマッチする人材を加える
ECとブランディングの成功には、徹底した顧客理解が欠かせません。そのため、顧客の心理状態にもっとも近い存在である「素」の感情が必要です。とくにSNSなどのコミュニケーションは、必ずペルソナに近い担当者に権限を渡しましょう。その人材を「1」に加えることで、盤石な3名体制が実現できます。
3.上司を既存のベテラン社員から選出する
最後に上司の存在。他部署との関係や社内予算の調整、社内プレゼンなど、非常に重要なポジションです。ECとブランディングは、他部署との折衝や根回しが要となります。ここが機能しなければ、どんなに魅力的な戦略を発想できても実現は難しいでしょう。社内外からの信頼が厚い人、社歴が長い人、顔が広い人が適任です。そうした人であれば、現場の頑張りを適切に評価する知識なども持ち合わせているはずです。もちろん、就任してすぐの段階は知識や経験がなくても問題ありません。継続的なリスキリングでカバーしていきましょう。企業としては上司となる人材への教育投資を軽んじてはいけません。