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2024年8月27日(火)10:00~19:15

おさえておきたいEC・通販先進企業

通販業界で存在感を見せる株式会社ベルーナの安定経営の秘訣とは


 通信販売大手の株式会社ベルーナは、通販の現場がカタログやTVからECに移行するなかでも、堅調に成長を続けています。この記事では同社がどのようにして時代の変化に適応し、顧客の獲得や維持に努めているのかについて、具体的な取り組み事例とともに解説します。

 日本における通販事業といえば、かつてはカタログやTVを使ったショッピングサービスでしたが、現代ではインターネット経由のECサービスが主流です。このような急激な変化に戸惑う企業もあれば、環境に適応して堅調な成長を実現している企業もあります。

 この記事では、今日においても通販事業で成長を実現している比較的老舗の株式会社ベルーナがどのように時代の変化に適応したのか、また、顧客の獲得をどう進めているのかなどを実際の取り組み事例とともに紹介します。

株式会社ベルーナの企業情報・事業内容の概要

ベルーナのEC事業のイメージ

 まずは株式会社ベルーナの企業概要について確認しておきましょう。

株式会社ベルーナの企業情報

次の表では、株式会社ベルーナの企業情報を簡単にまとめています。

社名 株式会社ベルーナ
本社所在地 埼玉県上尾市宮本町4番2号
設立年月 1977年6月
代表者名 代表取締役社長 安野清
株式公開 東証プライム市場上場
資本金 106億1,200万円
おもなグループ会社
  • 株式会社オージオ
  • 株式会社リフレ
  • 株式会社サンステージ など

株式会社ベルーナの事業内容

 1980年代より婦人服の通信販売を主軸に成長を続けてきた株式会社ベルーナですが、2022年3月期より事業セグメントの再編を実施しています。再編の際にまとめられたのが次の7つです。

  • アパレル・雑貨事業
  • 化粧品健康食品事業
  • グルメ事業
  • ナース関連事業
  • データベース活用事業
  • 呉服関連事業
  • プロパティ事業

 カタログ通販やネット通販を展開するアパレル・雑貨事業、美容や健康に寄り添う化粧品健康食品事業、食品やアルコールを扱うグルメ事業では、主力ターゲットをミセス層としています。

 上記に加え、看護師向け通販や人材紹介サービスを手掛けるナース関連事業、自社の膨大な顧客情報や通販ノウハウを活かしたデータベース活用事業、アパレル流通網を駆使した呉服関連事業、そしてホテル業やオフィスビルを扱うプロパティ事業と、その領域は多岐にわたります。

  近年はデジタル時代に対応すべく、SNSを活用した事業のデジタル化推進や実践的な人材の育成強化、シナジー効果を狙ったM&Aの推進など、自社のリソースをフル活用してビジネスの多角化を進めています。

株式会社ベルーナの沿革

企業ビルのイメージ

 次の表では、株式会社ベルーナの沿革を簡単にまとめています。

年月 沿革
1968年9月 埼玉県上尾市に印鑑の訪問販売「友華堂」として創業
1983年3月 衣料品の通信販売を開始
1986年8月 総合カタログ「ベルーナ」創刊
1987年12月 金融サービス事業を開始
1990年4月 商号を株式会社ベルーナに変更
1992年10月 北海道産地直送生鮮食品の通信販売を開始
1994年7月 医薬品・健康食品の販売を目的に株式会社東洋漢方研究所を設立(現・株式会社リフレ)
2018年1月 EC取り組み強化、事業領域の拡大のため東京都渋谷区に渋谷オフィスを開設
2019年6月 女性向けファッションECモール「RyuRyumall(リュリュモール)」開設
2021年8月 レディースアパレルECを展開する株式会社セレクトの全株式を取得し、子会社化(現・連結子会社)

 創業こそ60年代後半までさかのぼるものの、現在の株式会社ベルーナの原形は1983年からスタートした衣料品の通信販売開始時に形成されたといえます。 総合カタログ「ベルーナ」創刊ののち、その一年後には金融サービスも手がけるなど、当初から多角的な経営を志していた企業であることがわかります。

 2000年代には海外拠点の設置や子会社化も推進し、着々と海外進出の土台を築いてきました。2018年にはEC強化に向けた拠点を東京に設置し、現在もさまざまな分野の企業を子会社化するなど、成長に対して非常に意欲的な会社といえるでしょう。

株式会社ベルーナの強みや特徴

ベルーナのサイトでネットショッピングする女性のイメージ

 続いて、株式会社ベルーナの強みや特徴を解説します。

株式会社ベルーナのビジネスモデル

 株式会社ベルーナのビジネスモデルの特徴は、安定したポートフォリオ経営です。

  顧客の8割を女性が占めており、そのなかでも60代以上のミセス層に特化したシニアマーケティングを行うことで、安定した通販事業を実現しています。

  また、これまではカタログ通販を主軸としていたものの、加えてネットや店舗での販売の強化にも取り組んでいます。20代から40代にかけてのユーザーボリュームを増やしていくとともに、カタログとネット、店舗を併用してシナジー効果を創出していく戦略です。

  セグメント別営業利益で最も多くの利益を上げているデータベース事業も、同社のビジネスモデルを支える要素といえます。全体の半数近くを占める通販事業に次いで、およそ41%の営業利益を確保しており、半世紀近く培ってきた顧客データベースを活かしたビジネスモデルを実現しています。

株式会社ベルーナの事業の強み

 株式会社ベルーナの事業の強みとしては、カタログ通販を用いた既存顧客の存在はもちろんですが、近年のネット通販事業の活性化も挙げられます。

  特に近年成長が著しいのが、インナーやメンズ商品です。インナー商品では、高齢者向けセット販売などで単価を維持しています。メンズ商品はもともと、自分の服と一緒に夫の服を購入する女性ユーザーのニーズ解消のためのラインナップでしたが、近年は男性が直接サービスを利用するケースも増えているということです。

  近年はメンズ商品の取り扱いや顧客獲得に向けた施策の展開によって新規獲得の効率が大幅に改善し、原価率の低減と在庫回転数の改善に成果が見られました。

  さらに、呉服業界のような衰退しつつある産業にも力を入れ、競争率の低さを活かしてシェアを確立させている点もポイントです。安易な価格競争に陥る心配がなく、安定した売上を創出できる同社の強みとなりつつあります。

株式会社ベルーナの最近の取り組み

ベルーナの最近の取り組みのイメージ

  続いて、株式会社ベルーナの最近の取り組みについて、目立ったニュースを解説します。

札幌の「定山渓ビューホテル」を買収

  株式会社ベルーナは、北海道札幌市内にあるリゾートホテル「定山渓ビューホテル」を2021年4月に買収しました。 今回の買収は、コロナ収束後のインバウンド需要増加を見据えたものとされており、同社の不動産事業のさらなる活性化が期待されています。

  そのほかにも、ベルーナの子会社の株式会社グランベルホテルでは札幌を含めた日本全国でのホテル展開を進めるなど、今回の買収をきっかけにさらなるホテル事業拡大に臨みます。

看護師事業で東南アジアに進出

  2020年頃から、株式会社ベルーナは同社の看護師事業を東南アジアに進出させています。同社が買収したシンガポールの医療機関向け人材派遣会社のノウハウを活かしてマレーシアで人材紹介事業を開始し、同社の顧客網を使った看護服通販を各地で展開するということです。

  また、ベルーナはすでに台湾にも店舗を有しており、現地の医療現場のニーズをくみ取ったうえで取扱商品のなかから販売商品を選定する事業をスタートさせています。

  東南アジアにおいても、ECサイトかカタログを通じて通信販売を行うということで、海外での通信販売網の強化が期待されています。

若い女性向け衣料品通販モール「リュリュモール」開設

  2019年6月、株式会社ベルーナは20〜30代女性向けの衣料品・雑貨を販売するインターネット通販モール「リュリュモール」を立ち上げました。リュリュモールでは、自社のブランドはもちろんのこと、他社ブランドも組み合わせたコーディネートを提案し、EC需要の大きい若い世代の顧客開拓を進めるとしています。

  取扱高目標は100億円で、21年3月期の流通金額は約55億円と、順調なペースで現在も成長を続けています。

株式会社ベルーナの気になるトピックス

ベルーナの最新トピックスのイメージ

 そのほか、株式会社ベルーナの気になるトピックスをまとめていきます。

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2022年10月19日:ベルーナ「My Wine Club」がワイン通販国内売上高14年連続No.1獲得!

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2022年8月24日:ベルーナ/EC事業強化「撮影スタジオ」併設の新オフィス稼働

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2022年5月30日:新テーマは「働くあなたの毎日をよりオシャレにもっと楽しく」ファッション通販サイト RyuRyumallがリニューアル

 ベルーナが運営するオンラインショップ「RyuRyumall(リュリュモール)」は、この度、「働くあなたの毎日をよりオシャレにもっと楽しく」をテーマとしたオフィスファッションサイトへリニューアルした。

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 ベルーナは、クラダシが運営する社会貢献型ショッピングサイト「KURADASHI」へ商品の出品を開始した。

2022年4月7日:ベルーナ ふるさと納税の業務支援、埼玉りそな子会社と連携

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まとめ

 株式会社ベルーナは、カタログ通販のイメージが強い通販事業会社ですが、その実態は非常に柔軟性に富む、多角的なポートフォリオ経営を実践する総合会社です。

 カタログ通販需要はそのままに、近年トレンドとなっているEC需要もシームレスに取り込んでいくことで、シニア世代だけでなく、若年層のファンも獲得し、次世代の安定経営の土壌を整備しつつあります。

 スーツ販売や呉服販売といった競争率の低い事業のシェアを確立し、リソースを活かした不動産業も運営するなど、継続的な成長を実現している企業といえるでしょう。

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この記事の著者

EC研究所(イーシーケンキュウジョ)

ECについての情報を調べ、まとめてお届けします。

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