持つべきはROI最大化の視点 売上・事業成長の道を分けるECカート
最近、新たにECを始めたいという方からECカートの選びかたに関する質問を頻繁にいただきます。ECサイトの立ち上げ経験がない方には、カートごとの違いがなかなかわかりにくいかもしれません。
ECカート選びは、事業者にとって成否を分ける非常に重要な要素と言えます。なぜなら、ECカートの選択を間違えてしまうと、売上が伸びないこともあるからです。今回は、自社に合ったECカートシステムの選びかたについて解説します。
EC・D2C事業においてどのECカートを選ぶかはその後の事業成長を大きく左右します。なぜなら、EC施策の実行や運用はカートのシステムありきだからです。「ECカートシステムはビジネスの実行基盤である」と言い換えることもできます。
たとえどんなに良い施策を思いついても、それを実行できないECカートであれば思うような成果を上げることは難しくなります。お金とエンジニアの工数に余力があり、フルカスタマイズできるのであれば話は別ですが、限られたリソースの中で多くの施策を実行し、成果につなげるにはECカートの選定が非常に重要です。
ECカートを選ぶ際には、「費用が高いか安いか」ではなく、「ROI(Return on Investment:投資利益率)を最大化できるか」という視点が欠かせません。もちろん初期費用やランニングコストも大事な視点ではあります。しかし、それ以上に考慮すべきは、事業拡大する上で投資に対するリターンを出し続けることができる仕組みであるか、つまり機能性や拡張性が担保されているのかといった視点です。
中には「最初はミニマムに始めて、事業規模が大きくなったらECカートを刷新したら良い」と考える方もいるでしょう。しかし、ECカートの乗り替えには顧客データの移行など、さまざまなリスクが生じます。とくに売上が年間数千万円から1億円以上になった後にECカートを変更するのは、移行時のコスト面からも健全とは言えません。
ECカートを選ぶ際に目を向けるべき重要なポイントは、ビジネスモデルです。大きく分けると、単品リピート通販かさまざまな商品を単発購入で扱うかでまず選択肢が変わってきます。
自社の望む形を0から作ることができるフルスクラッチ型、もしくはecbeingなどパッケージ型と分類されるシステムであればどちらにも対応が可能です。しかし多くの開発費用・初期投資を要するため、初めてEC事業に取り組む、もしくは予算が限られている事業者にはハードルが高いと言えます。お金をかければ望みどおりのECサイトを作ることは可能ですが、事業の初期段階は身の丈に合った運営から始める視点が欠かせません。目安としては、10万円から300万円程度といったように、初年度の売上で回収できる範囲に収めると良いでしょう。すると、ビジネスモデルに合った機能が実装されたECカートを選ぶ必要があることは明らかです。