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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

季刊ECzine vol.20定点観測

越境ECは冬の商戦が勝負 消費の波を理解し入念な準備を

 EC事業者がおさえておきたい13のテクノロジー関連トピックスの「定点観測」。世界へボカンの徳田さんに、越境ECについて聞きました。※本記事は、2022年3月25日刊行の『季刊ECzine vol.20』に掲載したものです。

冬の商戦は事前準備が物を言う 複数の配送手段で確実に届ける

 中国はダブルイレブン、欧米はBFCMからクリスマスのホリデーシーズンなど、日本でも年末商戦と言うように、グローバルでも年末年始を跨いだ冬の期間は小売事業者の稼ぎ時と言える。徳田さんも、「このタイミングで売上を伸ばせるかどうかが、次年度の売上に影響する重要な商戦」だと言う。対策としては、国や地域によって消費の波が異なることを把握し、自社がターゲットとする地域で「このシーズンに売上を稼ぐ」と決めて体制を整えること。広告であれば、夏あたりから徐々に予算を投下し、商戦に向けて顧客の買いたい気持ちを盛り上げるようなコミュニケーションがメルマガで行えるよう、事前にリストを集めるための行動をしておくといった対策を行っていく必要がある。

 2021年~2022年にかけて、各国の年末商戦はどのような成果をあげたのだろうか。中国のダブルイレブンは、11月11日を中心にアリババやジンドンなど、中国のECプラットフォーマーが開催する大きなショッピングイベントである。日本企業が中国の消費者に対して、越境ECで販売することもできる。この期間だけで何兆円という流通総額となり、年々最高額を更新してきたため、近年は日本のマスメディアからも注目を浴びていた。しかし、2021年は、「開始○分で○円突破!」といったお祭り騒ぎに近い報道はなく、アリババからはユーザー層の若返りやサステナビリティへの取り組みなどをクローズアップした発表がなされた。

「これまでダブルイレブンは、プラットフォーマーの販売力と技術力を誇示する場でした。2021年は結果として、アリババが運営するECプラットフォームの流通総額は、5,403億人民元(約9兆7,254億円、1元=約18円)となり過去最高を更新しましたが、必要以上に実力を誇示するような発表は控えられました。その要因としてダブルイレブンが『中国経済の成長』を国際社会に示す役割を果たしてきたことがあります。2019年あたりから『販売額もそろそろ頭打ちだろう』と言われ続けています。2021年は巣ごもり需要のような追い風もあり、なんとか数値を伸ばす結果となりましたが、今後は持続可能性などの販売額以外の指標をアピールするようになるでしょう」

 欧米のBFCMはどうだろう。アドビは2021年10月に、2021年のホリデーシーズン(11月1日~12月31日)の米国を中心としたグローバルのオンラインショッピング予測を公表している。米国のホリデーシーズンのオンライン売上予測は2,070億ドル(約22.77兆円)とこれまでの記録を更新する見込みとした。Eコマースの普及に伴い、主要なショッピングデーの存在感が薄れつつあり、3大ショッピングデー単独の売上はいずれも、シーズン全体の成長率を下回る予想だった。同調査では、小売業者が直面する港の混雑や貨物の遅延、海外生産の中断など、サプライチェーンに関する問題を挙げ、それらがオンライン価格の高騰にも反映されていると指摘していた。

「近年、物流の不安定さや製造力の低下からサプライチェーンの弱体化が懸念されており、BFCMに合わせて大幅な値下げをして売上を伸ばそうとする企業が減ってきています。セール期間でなくとも売れる商品の割引率は低く、セールをきっかけに購買していただくトリガーとして使用しています。越境ECの視点では、2021年から2022年にかけてEMSの値上げや配送時間が不安定なことから、BFCMに取り組む企業は複数の配送手段を持ち、ホリデーシーズンの期日に着実に届けられる配送手段を持っているところが大きく成果を伸ばしています」

 カナダ発のECプラットフォーム「Shopify」の日本法人は2021年12月、BFCMにて、全世界のShopifyマーチャントの流通総額が63億ドル(約7,140億円)を達成したことを発表した。前年同シーズンの流通総額である約51億ドルより23%増、また2019年の同シーズンに比べ2倍以上の流通総額となり、過去最高額を記録したことになる。Shopifyで自社ECサイトを構築する事業者が増加している最中ではあるが、越境ECに取り組みやすいプラットフォームであることからも、今後も動向はウォッチしておくべきだろう。

「従来、欧米向けの越境ECと言えば、Amazonを利用する事業者が多かったのですが、自社サイトをネットビジネスの『司令塔』として設定し、Amazonや他チャネルと連携して顧客接点を持ちながら販売するところが増えています」(徳田さん)

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