リクルートが取り組む「店舗送客」というオムニチャネル支援
牛田さんは、商社、メーカーなどを経てリクルートへ。現在は、ポンパレモール、ポンパレ、リクルートカード、赤すぐなどを統括。先日、リクルートポイントとPontaポイントの相互交換サービス、2015年にはPontaポイントに統合とのニュースが流れたが、こちらにも関与している。オイシックスの社外取締役も務める。
だが、リクルートのEC、オムニチャネルに関するトピックスは自社で運営するECだけではない。これまで手がけてきたメディア事業の視点から、クライアントのオムニチャネルをどう成功させるかということにも取り組んでいるのである。
たとえば、ネットスーパーからの撤退が話題になったことから、出店料と配送料の両方を負担するモデルが果たして正しいのか考察。日本では、「年間購入金額のうち80%は半径2㎞県内で購入されている」というデータもあり、米国のようにAmazonのドローンを使って自宅に届けるという発想よりも、顧客に店舗に取りに行ってもらうことを考えるべきではないかと発想する。
オムニチャネルを本質的に考えていくと、商圏、店舗、バックヤード、広告チラシ・サンプリングの4つの概念が変化するのではないかと予想。
帰りの電車でスマートフォンで注文・決済までしておき、店舗で受け取る。ある店舗が近所のお店から商品をピックアップし、まとめて送れば「モール」になる。倉庫は常に店舗の裏にあるのではなく、トラックで常に移動し続けるという選択肢もある、といった具合だ。
最後の「広告チラシ・サンプリング」については、リクルートが取り組んでいることでもある。たとえば街頭でサンプルを配るのではなく、サンプルの無料チケットをネットで配布して店舗で受け取るという取り組みが大きな成果につながっていると言う。
集客のために企業が費用を投下する先が変わり、「リクルートにとってチャンス」だとも。
そんな中、リクルートが今取り組んでいるのは、ビックカメラの事例で有名なジオ系アプリ『RecoCheck』や、来店でポイントが貯まるショッピングアプリ『ショプリエ』、美容業界などに無料で配布している『Airレジ』などである。
アプリでは、店舗から一定距離内でクーポンを配信すると、コンバージョン率はECより高いであるとか、Airレジは目標配布数が間近となっており、そこから得た情報を活用する将来が見えてきているなど、新しいオムニチャネルの集客手法が見えてきている。
大きな投資になるにせよ、在庫や顧客管理のためのデータ統合はマストであり、できるか否かはすでに米国小売企業の売上に反映されている。そうしたインフラ整備はマストであるという前提で、日本のマーケットでどういうサービスを展開していけばいいかを考えていきたいと述べ、講演を締めくくった。