店舗とCRMアプリの掛け合わせ 良体験なOMOをシンプルに
ヤプリでは、5月24日から27日にかけて、ショッピング体験をアップデートするイベント「Yappli UPDATE 2022」をメディア型OMOストア「CHOOSEBASE SHIBUYA」にて開催した。
「イベント主催者であるヤプリが、YappliとYappli CRMで作ったアプリを用い、イベント会場のCHOO SEBASE SHIBUYAでOMOな顧客体験を提供してみるという試みです。ヤプリのお客様であるブランドや小売事業者、店舗運営者の立場に立ってみようと考えました。たとえば、CHOOSEBASE SHIBUYA内にカフェがあるのですが、アプリで事前に来場予約をしていただくと、カフェでのドリンク1杯分のクーポンが含まれたチケットを発行したり、アプリ内で何かしら行動をしていただくとポイントが付与され、ポイントが貯まるとノベルティをプレゼントしたり、といった具合です」
コロナ禍で変化した消費者の行動。人通りの多い場所で店舗を運営しているだけでは、コロナ禍以前の来客は見込めなくなった。一時期は落ち着きを見せ、リアル回帰の様相を呈したが、状況はいつ変化を見せるかわからない。一方で、顧客体験の観点からはリアル店舗が果たす役割は大きく、OMOの取り組みを進めていきたい事業者は少なくない。利便性の高いECで済ませるのではなく、良い体験をしてもらうためにわざわざ店舗に足を運んでもらう工夫が必要になってくるわけだ。ヤプリでは、イベント主催者として店舗運営者の立場に立ち、イベント会場を店舗に模してアプリを活用した顧客体験を試行錯誤した形となる。
技術面では、NFC(近距離無線通信)に進化が見られたと言う。
「店舗では二次元コードをスマホでスキャンし、ECの商品詳細ページへご案内するといった施策が行われていますよね。もともとCHOOSEBASE SHIBUYAでも、店舗の二次元コードからウェブカタログを見て購入する流れを考えていたのですが、スマホでタッチするだけでアプリの中で起動する流れに変更しました。昨年の同イベントのアプリにも実装していましたが、より高感度のNFCタグを採用したこともあり、昨年と比較して端末による不具合がなくなるなど進化を感じました」
店舗では、レジでの支払いの際に会員証を提示することもある。スマホをタップしてアプリを起動し、アプリのメニューから会員証を起動するのは手間と感じる人もいるだろう。かざすだけで会員証が起動するなど、ステップが短縮されれば、より良い体験につながっていくと考えられる。
OMO施策に関連して、チャネルや部署をまたいで顧客を軸にデータを統合、分析して施策につなげるCDP (Customer Data Platform)が注目を浴びている。さまざまなチャネルを自在に使いこなす顧客データを統合し、そこからさまざまなチャネルで施策を打ち出すのは複雑ではあるのだが、マーケティングオートメーションが流行していた頃から、現場で使いこなすにはハードルが高いとの声も聞く。
「ヤプリが創業時代から重要だと考えていることは、誰もが使えて簡単に実行できることです。CRMを基盤としたアプリと店舗を掛け合わせることで、施策を打つ、データを取得する、成果が見えるという一連の流れが体験でき、当社としても勉強になりました」