chaintopeは、商品の生産から販売までの流通過程の終始を追跡しサプライチェーンの諸課題を解決する「トレーサビリティAPI」を提供開始した。
「トレーサビリティAPI」は、ブロックチェーン「Tapyrus（タピルス）」に商品の生産～出荷～中間流通～販売の追跡情報を正確に記録し、その情報をサプライチェーン参加者と共有するというもの。商品の取引実態を把握することが可能となり、商品の品質担保や取引の合理化につながることが見込める。 また、サプライチェーン全体での情報共有が進むことにより、コロナ禍で問題となった情報錯綜によるサプライチェーンの混乱を防止することができる。
さらに、「サステナビリティAPI」と組み合わせて活用することにより、サプライチェーンにおけるカーボンフットプリントを管理することが可能となる。
想定される価値用領域は次のとおり。
地域特産品のブランド価値向上
2021年8月に実施した福岡県産ブランド農産物の輸出トレーサビリティ実証の結果、産地や生産者などのトレーサビリティ情報に価値を感じる顧客が非常に多いことを確認できた。「安心・安全な商品」、「生産者の顔が見える商品」の価値は今後も高まっていくことが予想される。本APIは日本各地の魅力ある地域特産品のブランド価値を守り世界へ発信する基盤として活用できる。
多様な認証制度との連携
国際フェアトレード認証（公平公正な貿易）、MSC認証（持続可能な漁業）、FSC認証（持続可能な森林管理）、GAP認証（持続可能な農場管理）、HACCP認証（食品衛生管理）、HALAL認証（イスラム法準拠）などさまざまな認証制度との連携により多様な価値観に対応し、それぞれの領域でのSDGs目標達成にむけた基盤として活用できる。
カーボンフットプリント
日本、EU、アメリカをはじめとした先進諸国が2050年までのカーボンニュートラルを宣言しており、原料調達から製造、物流、販売、廃棄に至るまで、企業の事業活動にかかわるすべての温室効果ガスの排出量を把握する必要性に迫られている。本APIと「サステナビリティAPI」を掛け合わせることにより、サプライチェーンにおけるカーボンフットプリントを管理することが可能となる。
サプライチェーンファイナンス
サプライチェーンファイナンスとは、企業の売掛債権を購入することで売り手企業の早期資金化をサポートする仕組み。将来的に本APIを活用して得られた真正性の高い取引データを債権化しファクタリングに応用することが可能となると考えられる。
昨今の新型コロナウイルスの感染拡大によりグローバルサプライチェーンが分断され、日本国内においても多岐にわたる業種・企業が大きな影響を受けた。必要な材料が今どこにあるのか、代替部品の準備はされているのか、出来上がった商品はいつ入荷されるのか等のサプライチェーン参加者が必要とする情報を必要なタイミングで入手できないために生産や販売の現場に大きな混乱が生じた。
また、ESGへ配慮したサプライチェーン構築を進める動きが世界的に加速しており、児童労働や強制労働の有無を調査する等人権に配慮した責任ある調達、事業活動の上流から下流にわたるCO2排出量の可視化等サプライチェーンにおける非財務情報開示の圧力が高まっている。このようなグローバルサプライチェーンにおける課題解決に取り組む企業をサポートすることを目指し本APIの提供に至った。
なお、本APIは九州農産物通商と実施した福岡県産ブランド農産物の輸出トレーサビリティ実証、ムトウと実施した医療機器・材料の共同配送の実現におけるトレーサビリティ実証において利用されている。
