今年、60周年を迎える千趣会。記者会見に臨んだ田邉道夫代表取締役社長は、2011年に同職に就任し、「ウーマンスマイルカンパニー」を掲げた人である。
田邉社長は、同社のビジネスがこけしの頒布会から始まり、その主な購入者であった、女性のニーズにさらに応えていくための商品開発、ていねいなものづくりに励んできたと、その経緯をあらためて振り返った。その結果、今では、ベルメゾンの登録会員は約1,500万人、年間利用者数は384万人を数える。
田邉社長は、同社を含めた日本のものづくり企業の現状を「苦境に立たされている」と表現。よいものを安く提供するために努力するのではなく、安く売るためにどう作るかがミッションとなり、本末転倒に陥っていると言うのだ。
そうした状況下で、ベルメゾンが選んだ道は「ビジネスの原点に立ち返る」。具体的には、同社の女性顧客の日常生活に密着した商品を、ていねいなものづくりで提供していこうというものだ。
そこで生まれたのが、新ブランドの「ベルメゾンデイズ」である。30~40代女性をターゲットとし、雑貨、洋服を二軸に展開する。価格帯は、ブランケットが3,990円〜4,990円、すのこベッドが39,900円〜55,900円、ピーコートが9,990円、デニムパンツが3,990円といったところ。シンプルなデザイン、色使いで、「日常づかいの、新しい暮らしのスタンダード」を目指す。
ベルメゾンデイズは、同社初となるSPAモデル(製造から販売まで一貫して行う。これまではOEMは行っていた)。販売拠点は、これまでどおりカタログ、ネットを予定。現在、ネット経由の注文が7割になるベルメゾンだが、ユーザーの利用状況を調査すると、「カタログを見ながらスマホで注文されるお客様も多い」とのこと。
一方で、J.フロント リテイリングとの資本業務提携を発表したこともあり、ベルメゾンデイズのオムニチャネルへ展開、つまり通販のみならず、実店舗でに販売にも意欲を示した。