製菓・製パン材料や器具の販売を行う富澤商店は、ITコンサルティング企業Jarminalと業務提携し、Microsoft365の標準機能と生成AIを活用したナレッジ共有システムを構築した。

製菓・製パン用の原材料を中心に1万点超の商品を扱い、約8,000件のレシピを自社開発している富澤商店は、本社で作成、部門ごとに分散管理されていた商品・レシピに関するナレッジを店舗と情報共有する方法に課題を有していた。
今回、同社は新たなSaaS契約や大規模なシステム導入を行わず、JarminalとともにMicrosoft365環境に生成AIチャットボットを導入している。RAG技術を活用したAIが社内に蓄積された情報を検索・参照し、質問に自然言語で答える仕組みを整え、Copilot Studioで内製可能な運用体制を確立。店舗と本社間の情報格差解消、業務効率化、人材育成のスピードアップなどをかなえている。
富澤商店が組織全体で安全かつ効果的に生成AIを活用するために行った施策
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デジタル技術の活用:Microsoft 365上で動作する生成AIと社内データを連携させたソリューションを開発・導入
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業務プロセス・役割の見直し:社内の業務フローやルールを再検討。加えて、問い合わせ履歴を蓄積・分析し、改善活動に活用する業務プロセスを構築
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情報セキュリティ対策:アクセス権限やデータ管理のルールを整備。また、セキュリティ対策を講じ、社内ナレッジをセキュアに扱える環境を構築した
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社員への生成AI研修:全社的に生成AI研修を実施し、社員のITリテラシーを向上。研修では活用例やプロンプト例を整備し、Copilot活用の土壌を構築
こうした包括的な取り組みにより、富澤商店では生成AIを安全かつ効果的に活用できる基盤が整いつつあるほか、AI導入により夜間や休日も含めた問い合わせ対応ができるようになったことで現場スタッフ自身での課題解決が可能に。ベテランスタッフへの依存度が軽減され、接客や売場作りに集中できるようになったとしている。