日経BPは、マーケティング&イノベーション専門メディア「日経クロストレンド」が作成した「マーケティング」「テクノロジー」「消費トレンド」の潮流を見極める「トレンドマップ 2023上半期」を発表。注目キーワードをランキング化した。
マーケティング、テクノロジー、消費の3分野のなかから、中長期的に注目すべきトレンド(潮流)の見極めを目的とし、日経クロストレンドの活動に助言する外部アドバイザリーボード約50人と、編集部の記者など各分野の専門家の知見を集約。分析結果は、「現時点での経済インパクト」と「将来性」の2つのスコアでマッピングしている。
今回のトレンドマップ2023上半期調査は、2023年4月に実施した。2022年10月に実施した前回調査と比較し、今回、将来性スコアが伸びたトップ3は、マーケティング分野では「音声SNS」「チャットbot(対話型AI含む)」「ジオターゲティング(位置情報・人流マーケティング)」。また、テクノロジー分野では「VUI(音声ユーザーインターフェース)」「人間拡張」「スマートフォン」、消費トレンド分野では「越境EC」「インスタ映え」「ナイトタイムエコノミー」だった。
一方、経済インパクトは、全体でスコア上昇率がトップだったのは消費トレンド分野の「Z世代」。そのほか、マーケティング分野では「クッキー代替技術」、テクノロジー分野では「バーチャル・ヒューマン・エージェント(VHA)」、がそれぞれジャンル別で高い伸びを示した。
今回の調査で新たに追加したキーワードは、マーケティング分野の「CX(顧客体験)」と、テクノロジー分野の「生成AI(ChatGPTなど)」、消費トレンド分野の「リベンジ消費」「リスキリング」の4つ。
同調査の主なトピックスは次のとおり。
将来性のスコアはChatGPT特需で「チャットbot」が上昇、アフターコロナ関連への期待も大
前回の調査から、マーケティング分野で将来性スコアをもっと大きく伸ばしたキーワードは「音声SNS」で、0.46ポイント増の3.24。国内のポッドキャスト利用者数は1,680万人に達しているとされ、特に若年層を中心に音声メディアが復権の兆しを見せていることが、将来スコアの上昇というかたちで表れた。
次に、将来性スコアの上昇率がマーケティング分野で高かったのが、0.39ポイント増の4.00となった「チャットbot」。人間の指示に従って文章や画像などを自動生成する生成AI「ChatGPT」特需とも言える現象が、世界各国で起こっている。その流れを受けてチャットbotが改めて脚光を浴びていることが、同調査の結果でも裏付けられている。
いよいよ「アフターコロナ」が現実のものとなった今、マーケティング分野で3番目に将来性スコアを伸ばしたのは「ジオターゲティング」で、前回から0.26ポイント増の3.88となった。消費トレンド分野でも「ナイトタイムエコノミー」が伸び率3位(0.11ポイント増の3.24)となっており、人の移動のさらなる活発化が予想されるなか、新たな商機が生まれると多くの専門家は見ている。
経済インパクトのスコアで「Z世代」が伸び率全体トップ、「空飛ぶクルマ」も急伸
経済インパクトで前回調査よりもっとも高い伸び率を示したのが、消費トレンド分野の「Z世代」(スコアは0.52ポイント増の3.64)。1990年代半ば以降に生まれた若者たちが、ファッションやコスメ、外食といった分野で消費のけん引役を担うケースが増えている。SNSの利用時間もミレニアル世代(1980年〜90年代前半生まれ)に比べて2倍近く長いとされ、オフラインのみならずオンラインでも影響力が拡大していることが数字の上で裏付けられた。
新キーワード「生成AI(ChatGPTなど)」は将来性スコアでジャンル別2位に
追加した新キーワードについては、AI(人工知能)の一種である「生成AI」が、米OpenAI開発の「ChatGPT」の登場をきっかけに、さまざまな産業で積極活用する動きが生まれています。新キーワードながら3位のクラウド(スコアは4.58)を上回るスコアとなり、一時的なブームではなく高い成長性が今後期待できることが判明した。
マーケティング分野「CX(顧客体験)」も、初登場ながらジャンル別スコアランキングで2位に。4.44と高いスコアを記録しており、さらに活用が進むとみられる。