SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

ECzine Day(イーシージン・デイ)とは、ECzineが主催するカンファレンス型のイベントです。変化の激しいEC業界、この日にリアルな場にお越しいただくことで、トレンドやトピックスを効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

最新イベントはこちら!

ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

次なる顧客体験へ 大手企業の目線

オンワードグループが“今”D2Cに挑む理由とは 顧客・工場同士をつなぐ「CRAHUG」事業で描く未来


 株式会社オンワードホールディングスが、オンワードグループ全体のデジタル戦略を担う企業として2019年に設立した株式会社オンワードデジタルラボ。デジタル技術を活用した新たな価値の創出を目指す同社は、2021年8月より日本のモノづくり支援を目的に、工場・生産者のD2Cブランド立ち上げを支援する新規事業「CRAHUG(クラハグ)」を開始した。「23区」「組曲」「ICB」など、アパレルを中心に全国規模でブランド展開をする同グループが“今”D2C事業に注目する理由や、同事業が形成するさまざまなコミュニティーについて、「CRAHUG」事業のプロジェクトリーダーを務める株式会社オンワードデジタルラボ 新規開発Div. 酒見ひばり氏に話を聞いた。

日本のモノづくりを発展させるコミュニティー「CRAHUG」事業

 酒見氏は「CRAHUG」事業に携わる以前、オンワードグループが運営する公式ファッション通販サイト「ONWARD CROSSET」にて、同グループの基幹ブランド「23区」を中心にECにおける販売業務を約8年間担当してきた。業務内容は商品発注から売上・在庫管理、商品撮影、顧客データ分析、販促施策立案など多岐に亘るが、2020年以降のコロナ禍においては「さらなる成長に向けて、今までにない取り組みを行う必要性が生じた」と言う。

「コロナ禍でEC市場が拡大する中、オンワードグループでも急速にEC化を推進しようという動きが見られました。ただし、ONWARD CROSSETへの顧客流入数やブランドの規模、1品番あたりの販売数の上限などを考えると、従来どおりの販売方法を採るだけではいずれ限界に到達するのではないかという懸念もあり、これまで取り扱ってこなかった商品や、新たな販売方法が必要になると感じていました。」

株式会社オンワードデジタルラボ 新規開発Div. 酒見ひばり氏

 EC売上の予算設定が高まる中、社内で「ほかのブランドとどう差別化を図るか」がひとつの課題となっていたオンワードグループ。また、そのほかに抱えていた課題として酒見氏は、新規顧客の獲得を挙げた。百貨店を中心にブランドを展開してきた同社では、X世代の顧客層が厚く、ECにおいても同様の傾向が見られたと言う。グループ全体の事業拡大を目指すのであれば、新たな世代・従来とは異なる層を顧客とすることも重要となる。

「新規顧客を獲得するためには、これまでオンワードグループが行っていなかったアプローチを考える必要があります。小規模でも顧客と直接的な接点を持つビジネスモデルを構築し、ファンコミュニティーを形成。ブランドや商品に対する思いを顧客1人ひとりと共有できる新規事業を立ち上げようと考えました」

 顧客との持続的な関係を構築するためにD2C事業に着目したオンワードグループ。モノが溢れる時代、大量生産ではなく手間暇をかけて作られた商品の希少性や、そのストーリーに価値を感じる人が増加していると酒見氏は話す。こうしたモノづくりを行う日本の工場・生産者を支援し、顧客との新たな出会いを創出するのが「CRAHUG」事業だ。同事業を開始した背景には、オンワードホールディングスの代表取締役社長を務める保元道宣氏を始めとした、複数の人の「日本のモノづくりを発展させたい」という強い思いが存在する。

「生産体制を海外に持つ企業の増加により、日本のモノづくりの現場はなかなか発展しにくい状況にあります。保元は通商産業省(現:経済産業省)出身ということもあり、こうした状況にとくに危機感を持っていました。さらにコロナ禍で生産がストップするなど、打撃を受けた工場・生産者様が多いことを受け、今こそ日本のモノづくりの現場を支援しようという機運が高まりました。そんな中、国内繊維工場の支援事業を展開している株式会社KAJIHARA DESIGN STUDIO(以下、KDS)の代表取締役社長 梶原加奈子氏との出会いがあり、互いに協力して立ち上げたのが『CRAHUG』事業です」

 KDSにて、商品を作るためのテキスタイル(素材)のデザイン設計、および商品の企画開発などを行っている梶原氏は現在、「CRAHUG」事業のクリエイティブディレクターとして、事業全体の監修を務めている。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
「受注待ち」から「自販」に向けて 進化する工場をサポート

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
次なる顧客体験へ 大手企業の目線連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

ECzine編集部 髙橋 希望(タカハシノゾム)

革靴販売に約7年間従事後、2021年よりECzineの編集者を務めています。コマースの現場で感じたことを活かしつつ、ECに関するさまざまな情報をお届けしていきます。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事をシェア

ECzine(イーシージン)
https://eczine.jp/article/detail/9977 2023/07/07 17:04

Special Contents

AD

おすすめ

アクセスランキング

アクセスランキング

イベント

ECzine Day(イーシージン・デイ)とは、ECzineが主催するカンファレンス型のイベントです。変化の激しいEC業界、この日にリアルな場にお越しいただくことで、トレンドやトピックスを効率的に短時間で網羅する機会としていただければ幸いです。

2024年8月27日(火)10:00~19:15

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング