本州と沖縄県の物流連携をスムーズに ワンヤマト体制が生んだ功績
2021年4月に、グループ8社の経営資源を結集して組織を再編成したヤマト運輸。これまでは、別々の機能を持った各社が事業者や消費者と向き合っていたが、ECの発展とともに年々拡大・多様化する物流需要に柔軟に応えるべく、事業価値・リソースを最適化。新たな価値提供に挑んでいる。現在の体制をヤマト運輸で執行役員 法人事業本部長を務める稲森さんはこのように説明する。
「現在はグループ各社を統合した『ワンヤマト体制』の中で、営業担当1人ひとりがお客様を知り尽くし、課題にしっかりと向き合った上で、より良い物流環境を提供できるようにまい進しているところです。個人・法人に『宅急便』をはじめとするサービスを提供するリテール部門と、toB向けにソリューションを提案する法人部門、そして物流の裏側を整える機能本部とコーポレート部門の体制となっています。法人部門内には法人事業本部、グローバルSCM事業本部、EC事業本部を携えています。各事業本部がお客様の課題を明確にし、しっかりと向き合える。そんな体制になっています」(稲森さん)
ワンヤマト体制への移行を機に、47都道府県の中で唯一陸路でのアクセス方法が存在しない沖縄県の各種物流を手掛ける沖縄ヤマト運輸で法人事業部 部長を務める鎌田さんも「ヤマト運輸が持つほかの都道府県のリソースをより円滑に利用できるようになった」と語る。
「沖縄県はご存じの通り、観光関連産業が盛んな県です。コロナ禍でなかなか沖縄県に人を呼ぶことができず、多くの事業者が苦しい思いをしていますが、『これから市場を県外にも広げていこう』『ECに挑戦してみよう』と前向きな方も非常に増えています。こうした方々に、ぜひ私たちのリソースを活用していただきたい。より成長の手助けをできるような仕組みを作っていきたい。そう考える中でワンヤマト体制に移行したため、今まで以上によりスピーディーに事業者の要望に応えることが可能となりました」(鎌田さん)
このようなヤマトグループの変化を追い風とし、サポートを受けながら抜本的な物流改善を実現したのが沖縄県の植物や果実をベースとした「SuiSavon-首里石鹸-」を製造・販売するコーカスだ。