楽天グループの経営状況は? ヤフーやアマゾン、グーグルと比較
楽天グループは日本郵政を大株主として迎え入れ、手始めとしてネット通販に欠かせない宅配などの物流分野で手を組んだ。20年4月に参入した自前基地局による携帯キャリア事業では、わずか1年余で契約数500万回線(他社通信回線利用の格安携帯サービス含む)を獲得。主力事業のネット通販のさらなる拡大を目指し、リアル店舗のスーパー大手西友に資本参加した。
ここにきて新たな動きに出ている楽天グループは、ライバル視されることが多いヤフーとともに、21世紀における成長企業の日本代表である。表で確認してみよう。 楽天グループは楽天から商号を変更。ヤフーは持株会社であるZホールディングス(HD)を設立し、その子会社になっている。
日米4社の売上高推移
売上高推移(1米ドル=100円換算、単位億円)
利益剰余金比較
楽天の出発は1997年2月。ヤフーはその1年前の1996年1月の設立である。楽天はネットショッピングモール「楽天市場」、ヤフーは情報検索サービスと、スタート時における事業内容は異なるもの互いにネット企業として競い合ってきた。売上高でヤフーを追走してきた楽天が逆転したのは09年度である。 ヤフーは親会社のソフトバンクグループや携帯電話のソフトバンクと事業役割を分担。それに対して楽天は、自らがグループの中核企業として海外展開を含めて業務拡大を推進してきた。大手テレビ局のTBSHDの買収に動いたこともあった。
この20年間、売上高ベースでヤフーは93倍、楽天は455倍伸ばしてきたが、米国勢のアマゾン・ドット・コムやグーグル(持株会社アルファベットの子会社)などに比べると物足りないのも事実。日本企業の限界を示しているのだろうか。2000年度の売上高は、アマゾンは3,000億円弱、グーグルは楽天やヤフーを下回る19億円にすぎなかった。20年度の実績は、グーグルは18兆円超、アマゾンは39兆円に迫る。グーグルの伸び率は何と、9,600倍である。
会社設立からの利益の蓄積を示す利益剰余金、いわゆる内部留保でも日米格差は明らかだ。ネット通販事業において利益より規模拡大を重視してきたアマゾンは、クラウド「AWS」事業で利益を確保するようになり、利益剰余金を5兆円超まで拡大した。 グーグルの利益剰余金はすでに、16兆円を突破している。社歴も業種も異なるが、利益剰余金日本一のトヨタ自動車(1937年創立)の24兆円超に迫るのは確実だろう。
楽天が利益剰余金を黒字化したのは、会社設立から10年以上を経た2010年12月期(プラス131億円)である。以後、4,245億円(18年12月期)まで積み増しを続けた。ただし、携帯キャリア事業の参入にともなう設備投資が膨らみ赤字決算に陥ってからはマイナスに転じ、21年6月末現在では2,191億円まで減っているのが現実だ。
楽天グループに話を絞ってみる。2005年と2020年の売上内訳を示した表を見てもらおう。