当連載「共感を集めるブランド作りを考える」において、初めて登場させていただきますMOON-X 代表の長谷川晋です。これまで3回にわたり、当社のミッションや「CRAFTX」「SKIN X」といったブランド展開を通し、ブランド作りに対する想いや共感を集める事業展開の方法についてお話してまいりました。今回は、創業当時から生産者・お客様との共創で自社ブランドをローンチ・スケールしてきた実績、すなわちブランドの立ち上げ・PMF(Product Market Fit:製品の市場適合に向けた継続的な改善)・モールでの伸長・スケールといった、一気通貫した知見を活かして立ち上げる新たな事業について解説します。
共創を通じ、日本国内ブランドの魅力をより輝かせる
MOON-Xが創立したのは、2019年夏。およそ半年後の2020年1月にクラフトビールの「CRAFTX」を発売しました。当時は新型コロナウイルス感染症が流行する直前で、表参道のカフェにて発売イベントの試飲会を開催し、2日半でおよそ600人のお客様が来場。しかしその後コロナ禍に突入し、私たちにとってこれまで当たり前であった生活が大きく変わり、お客様の購買・消費行動にも変化が訪れました。EC市場の伸長にもその動きは表れており、BtoC-ECの市場規模は20兆円に達する勢いです(経済産業省「令和2年度電子商取引に関する市場調査」より)。
また、首相官邸は「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針の概要」にて、日本の重要課題のひとつとして「デジタルの活用により地方が独自の魅力を発揮すること」を掲げ、2021年9月1日にデジタル庁を発足しています。私はこの課題に対しても、ECが大きく貢献できると考えています。
日本のEC市場は、中国やアメリカと比較するとまだまだ大きな成長の機会がある状況です。そして、日本の経済活動の大部分を占める中小企業の数は企業全体の99.7%を占めており、事業の再編・再構築を目指す企業間のM&Aも2021年上半期に過去最多の件数を記録しています(レコフM&Aデータベース調べ)。
こうした状況と、当社がこれまで展開してきた「共創」をもとにしたブランド立ち上げ、企画・生産、ECモールでのビジネス構築、顧客対応まで包括したブランドの進化を照らし合わせ、私は「当社の知見を活かせば、日本・海外にあるより多くのブランドが成長・進化できるのではないか」と考えました。しかし、当社で展開したことがないカテゴリーのブランド・製品についても知見が活きるのかどうかは、未知数です。そこで検証のため、日本国内の魅力あるブランドや製品を持つD2C・ECブランドのブランディング・EC支援事業を開始することにしました。その名は、「MOON-X BRAND STUDIO」です。