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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

ECホットトピックス(AD)

動画コンテンツ経由のEC売上が拡大 バロックジャパンリミテッドのEC成長戦略に迫る

 2020年は、実店舗企業を持つ企業の多くがECでの取り組みを強化した。その中で、著しい成長を見せているのがMOUSSYやSLYなどのアパレルブランドを展開するバロックジャパンリミテッドだ。本記事では同社のEC事業部にて事業部長を務める田村英紀氏に、EC売上を拡大するために、どのような取り組みを行ってきたのか聞いた。

124%成長を生み出した施策とは

MarkeZine編集部(以下、MZ):御社のEC売上は2019年比で124%(バロックジャパンリミテッドのIR資料より)と、2020年に大きな成長を見せたと思います。これだけの成長につなげるため、どのようなアクションを行っていたか教えてください。

田村:2020年は、EC事業部のみではなく全社的にECシフトを加速させたことが大きな成長につながったと考えています。具体的には、EC運営に対する人的リソースの強化、EC用の在庫と品揃えの最適化、販売スタッフによるコーディネートの投稿です。

バロックジャパンリミテッド EC事業部 事業部長 田村英紀氏
株式会社バロックジャパンリミテッド EC事業部 事業部長 田村英紀氏

田村:1つ目のリソース強化に関しては、元々弊社のEC売上の規模に対し、運営の人数が少ないことを課題に感じていました。その中で、コロナ禍に突入して以降、店舗が開店できない状況などもあったため、EC売上を上げるべく各ブランドの事業部や人事部と協力してECに携わるスタッフの数を強化してきました。

 2つ目の在庫に関しては、売れる商品をとことん売れるスキームを作っていきました。予約販売を強化して先の売上を確保しつつ、反応が良い商品の追加生産・リピート販売を強めていく。このようなスキームが確立できたのが2020年だったと思います。

 3つ目の販売スタッフによるコーディネートの投稿に関しては、オンライン接客を支援するサービスを用いて、販売スタッフのコンテンツ化を推進したことにより、投稿したコーディネート経由での売上が上がるといったケースも出てきました。

SHEL'TTER WEBSTORE

MZ:御社は公式アプリ「SHEL'TTER PASS」も提供していますが、そこからのEC売上に関してはいかがでしょうか。

田村:「SHEL'TTER PASS」経由で「SHEL'TTER WEBSTORE」を利用する方の売上は高い傾向にあります。そのため、アプリの利用者の方を増やすことによって、ECの売上貢献度を高める動きは部署横断で進めています。

SHEL'TTER PASS

Instagramライブの取り組みを強化

MZ:御社ではSNS上などで動画コンテンツを積極的に上げていた印象があるのですが、動画に関する取り組みも強化していたのでしょうか。

田村:動画に関する取り組みは強化していて、特に力を入れていたのがInstagramでのライブ動画配信です。各ブランドの公式Instagramアカウントはもちろん、販売スタッフ個人のアカウントでもライブ配信を行うことで、店舗に来店することが難しい方にも新商品やおすすめのコーディネートなどを認知していただくことができ、購入していただくきっかけを作ってきました。

 また、「SHEL'TTER WEBSTORE」もInstagramアカウントを持っているので、4月から毎月月初にライブ配信を行っており、現在もその取り組みは継続しています。

MZ:各ブランド、販売スタッフ、「SHEL'TTER WEBSTORE」のInstagramアカウントで動画配信しているとなると、相当な数のライブ動画が上がっていることになりますね。それぞれの知見を共有したりもしているのでしょうか。

田村:ブランド側やEC部門でもライブ動画の実施は手探りの状況でしたので、試行錯誤で部門を横断して情報共有をしつつ、社内にライブ配信専用のスタジオを設置するといった取り組みは進みましたね。

MZ:御社ではライブコマースに関する取り組みも行っていたと思いますが、媒体によって使い分けなどはあるのでしょうか。

田村:トライアルとして、SHEL'TTER WEB STOREでライブコマースの取り組みを実施したことはあります。ただ、配信までの工数がInstagramライブに比べると多く、KPIとしていたライブ配信中の売上が想定よりも低かったため、現在はInstagramライブ一本に切り替え、ライブ配信後の売上をチェックするようにしています。

Instagram上のコンテンツをECにも積極活用

MZ:Instagramライブだけでなく、Instagramのアカウント運用も力を入れているように思いますが、意識していることはありますか。

田村:私たちが担当している「SHEL'TTER WEBSTORE」に関しては、バロックジャパンリミテッドが扱うブランドの様々なトピックが紹介できる分、ブランドをミックスした投稿を行っています。また、お客様の反応を見ながら投稿もチューニングしています。元々はスナップ投稿が多かったのに対し、最近ではフィードのイメージを一新し、スナップ投稿のやり方を変えました。また、物撮り写真などの投稿に対する反応が良いことから、投稿を増やすなどの調整をしています。加えて、EC上で特集を組んでいるので、それと連動したコンテンツ投稿なども行っています。

MZ:最近では、ECサイト上にInstagramの投稿やInstagramライブの動画を埋め込んでいると思いますが、どのような狙いになりますでしょうか。

田村:大きく2つの理由があり、1つは「SHEL'TTER WEBSTORE」上で動画のコンテンツを拡充したかったから、もう1つはInstagramライブのコンテンツを通じた売上貢献を高めていきたいと考えたからです。

 ライブコマース単体で売上を作っていくよりも、Instagram上のフォロワーの方に見ていただいて、その動画経由で商品に導線を作っていくほうが売上に寄与できると考えました。

 そして、この2つを叶えることができるツールとして適していたのが、visumoでした。

ECサイト上の動画がEC売上に貢献

MZ:visumoはInstagram上の動画や投稿をECサイトに掲載できるツールだと思いますが、どのように活用しているのでしょうか。

visumoによってECに埋め込まれた、Instagramのコンテンツの一覧

田村:2020年12月に導入して以降、「SHEL'TTER WEBSTORE」のInstagramアカウントで配信したInstagramライブをIGTVとして残し、それをvisumoで「SHEL'TTER WEBSTORE」に掲載するようにしています。2月末からは、各ブランドのアカウントで配信したInstagramライブに関しても掲載を始めました。

 動画をアップすることによって、サイト全体の購入率よりも、動画を視聴した方のコンバージョン率のほうが高いことは目に見える成果として表れています。一回当たりの視聴時間が10分を超える動画も出てきています。

各メディアで適切なコンテンツを配信する

MZ:最後に今後の展望について教えてください。

田村:今後も動画コンテンツの配信に関しては引き続き強化していきたいです。商品詳細ページに動画を埋め込むといったことにも取り組み、動画を通じて購入率を引き上げたいと考えています。

 また、我々は「SHEL'MAG」というオウンドメディアをはじめ、様々な顧客接点を持っています。そのため、各接点によって最適なコンテンツを出し分けていきたいと考えています。そのために各接点の役割の整理を現在進めていますので、今後は具体的なアクションに移していきたいと考えています。

 そして、「SHEL'TTER PASS」を通じたリピーターを増やしていくために、CRM戦略の設計にも今後力を入れていく予定です。

MZ: EC売上を増加させるための取り組みを全社的に行い、さらに動画コンテンツをECサイトに拡充することで売上を上げた同社の事例は、アパレル企業をはじめ、実店舗を持つ企業にとても参考になるのではないでしょうか。田村さん、貴重なお話をありがとうございました。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

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