大手ECは「新規獲得」から「既存顧客の囲い込み」へ
――最近の電通ワンダーマンさんのクライアントは、どんな取り組みをされていますか?
「まず、当社の認識では、今はECの第三世代だと考えています。第一世代はいかに売り場を作るか(ECサイト構築)がテーマでした。第二世代は売り場にいかに人を呼んでくるか、アクイジション(新規獲得)ですね。そして第三世代は、マーケティング施策によっていかにリピートしていただくか(リテンション)が課題となっています。ダイレクトマーケティングを手がける当社としては、このリテンション施策でさまざまなお仕事をいただくようになっています。
リテンション施策を簡単に言うと、購入履歴等のデータをもとに、お客様ごとのコミュニケーションを作っていくというものです。当社のデータによれば、初回の購入後、50%以上のお客様が離脱している場合があります。一方、二度目、三度目の購入以降は離脱率がぐっと減る傾向があります。この離脱をいかに防ぐかに、各社さん取り組んでいらっしゃいます。
今後、日本の人口は減っていきますし、新規を獲得するための費用も上がっています。そこに予算を大きく割くよりは、リピートにつなげていきたいとのお考えですね。実際に、売上が伸びているECサイトは、リテンション施策に取り組んでいらっしゃいます」
――購入履歴のデータ、大手さんだとオムニチャネルにも取り組まれているでしょうが、つながっているものですか?
「意識の高いマーケティング担当者さんがいらっしゃるところは連携できていますが、そうでないところもあります。とくに、店頭での購入履歴がうまくとれていないようです。当然ながら、データ連携ができているほうがリテンション施策にも有効ですし、LTV向上にもつながります。ECで買ったものを実店舗でオススメされたら、やっぱり好感度が下がりますよね。
レスター・ワンダーマンが昔から言っていることですが、チャネルを問わず、接点が多ければ多いほどエンゲージメントが深まります。実店舗を持っていてECサイトも運営しているところは、オムニチャネルで接点を増やさなければもったいないわけです」