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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

リテール販売員のリソースをアパレルECで活用する方法

これからのアパレルECで活用すべきは店舗リソース アフターコロナに飽和するECで勝ち抜く秘訣とは


 コロナ禍の中で、上昇するEC化率。リアルリテールを主軸にこれまで拡大してきたアパレル業界も、決して例外ではない。しかし、実店舗で生み出してきたこれまでの売上をそのままECで創出することは難しく、デジタル移行をすればするほど、実店舗で働いている販売員のリソース活用も課題として表出するだろう。この連載では、自身も販売員の経験を持ち、現在はPLAY Inc. の代表を務める四元亮平さんが、リテール販売員のリソースをアパレルECで活用する方法を紹介。第1回は、現在のアパレル業界が抱える課題点とその解決案について語ります。

イメージとは裏腹に大部分がアナログなアパレル業界

 新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、緊急事態宣言が発令された約2ヵ月間、多くの企業が実店舗の営業自粛を迫られています。僕が従事するアパレル業界も例外ではなく、約8割のリアルリテールが休業となっていたのが実情です。

 その中で、唯一明るいニュースとして連日取り上げられたのが、各社ECサイトの伸び率について。事業者によっては、約150%もしくはそれ以上の数値を叩き出すところもあると言いますが、そもそもアパレル業界全体の売上において、EC比率はこれまで非常に低かったのが現状です。

 たとえば、昨年の時点でEC化率が11%であった事業者のEC売上が150%に増えようとも、11%が16.5%になるだけです。コロナ前の状況と比べれば大きな1歩とも言えますが、実店舗で売上を作れなかった分を補うには到底及ばないでしょう。極端な話、営業自粛をしていたおよそ2ヵ月間は、リテールで本来生み出せていたはずの売上がすべて消えてなくなっている状況です。ここに、今のアパレル業界が抱える大きな課題点が存在していると言えます。

 アパレル業界は、トレンドに強いとイメージしている人もいるかもしれませんが、IT化に関しては業界の大部分で遅れを取っています。むしろ、レガシー業界と言っても差し支えないほどでしょう。「オムニチャネル」「O2O」などのキャッチーな言葉や、先進的な企業が取り組む事例を目にする機会も多いかもしれませんが、内情は今も大部分がアナログのままです。各社がいかに今までECやデジタル施策に力を入れていなかったか、その結果は直近の売上額にも表れています。

 もちろん、デジタルマーケティングの部署を立ち上げ、ECサイトの運営を行ったり、サイト内回遊データを解析してコンバージョンにつながる導線の見直しをしたり、Google Search Consoleなどでキーワードを洗い出してMDを組み立てたりといったようなデジタルマーケティングに取り組む企業も存在してはいます。しかし、こうした取り組みをする事業者は、ほんの一部です。世間で知られているようなネームバリューのあるブランドを除けば、アパレル業界全体のEC担当者の多くが、デジタルマーケティングやデジタルセールスの知識もないまま配属となり、業務の大半をささげ作業に従事しているのが現実です。

 この問題は、自ら学ばないEC担当者のせいなのでしょうか?僕はそうは思いません。EC担当者の能力や自主性の問題ではなく、十分な教育制度やウェブ施策の優先順位を低いままにしているアパレル企業側に原因があると考えています。

 体質改善されてないまま、突如迎えたこの状況。「お店が閉まっているから」と自主的にECに来てくれた顧客からの売上しか獲得できなかった状況下で、本来得られたはずの売上は一体どこへ行ってしまったのでしょうか?この原因を突き詰めると、リアルリテールが強い業界特有の課題点が見えてきます。これはアパレル業界に限らず、他業界にも共通点があるはずですので、ぜひ参考になればと思います。

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この記事の著者

PLAY Inc. 代表/TopSeller.Style 主宰 四元 亮平(プレイ ヨツモト リョウヘイ)

 PLAY Inc. 代表/TopSeller.Style 主宰。アパレル企業だけでなくBMW japanなど他業界でも「マーケで強くするセールス戦略」コンサルティングを提供し、近年はリテールDX化...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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