ゲーム感覚で学べる「すらら」は“BtoBtoC”ビジネス
すららネットの主力業務は、オンライン学習教材「すらら」サービスの提供である。会社設立は2008年。株式上場は17年。主要株主には「進研ゼミ」のベネッセホールディングス(HD)や凸版印刷、それに就職・転職情報のマイナビなどが名を連ねる。
「すらら」は、ネットを通じてゲーム感覚で学べる対話型デジタル教材。小学生・中学生・高校生がパソコンやタブレット端末で学ぶ。カリスマ講師のビデオを視聴する動画配信型や、パソコンの画面上で問題を解く問題集型とは異なる。
1単元が10~15分程度のスモールステップで構成されていて、先生役のアニメキャラクターと対話しながら学んでいく。レクチャー機能と理解を定着させるドリル・テスト機能がセットになっており、個々の学力に応じて学習することができる教材、といっていいだろう。提供は国語、算数(数学)、英語の3教科(20年3月からは理科・社会も追加)。TOEIC対策コンテンツも含まれる。
授業などで「すらら」を活用する講師や先生側からすれば、生徒の理解度を測定できたり、定期試験や受験への対応に活用できるというメリットもあるようだ。「すらら」の各種機能を使うことで、生徒に対するフォローなどで発生するコストの抑制にもつながるという。
そうした塾の収益性改善や学校の課題(低学力層の底上げ・生徒募集の強化・進学実績の創出など)解決のサポートを打ち出すなど、主に学習塾、それに私立学校や通信制学校など学校に通う生徒向けでスタートしたといっていいだろう。“BtoBtoC”ビジネスを手がけることで成長してきた企業だ。
学習塾・学校マーケットに加え、最近は、個人を対象とした“BtoC”マーケットの拡大にも注力。国際協力機構(JICA)からの採択を受けことをきっかけに、スリランカやインドネシアにおいてもサービスを提供している。
「貧困や障害に苦しむ子どもたち、低学力の生徒、世界中の教育格差という社会課題を、最先端技術で解決する。教育格差を根絶することが使命であり戦略です」
すららネットが掲げる理念であり、実際、「すらら」は低学力の生徒に対する学力向上教材としての評価が高く、学習機会に恵まれない子どもたちの基礎学力強化に役立っている、との強い自負もあるようだ。
サービスの提供にともなう収益構造はどうか。定額料金と利用料金の二本立てといっていいだろう。