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ECzine Day 2024 Autumn

2024年8月27日(火)10:00~19:15

僕がコンバージョンしてなんぼのマーケティングで成果を出せる理由

ファッションEC成功の秘訣は“悩ませない”こと? ECで服を売る際に重視すべきポイントとは

 TSUTAYA、コスメのエクスボーテ、スキンケアのプロアクティブ、アパレルのDoCLASSEなど、異なるジャンルでデジタルマーケティングを推進してきたアクティブ合同会社CEOの藤原尚也さん。それぞれの企業で藤原さんが成果をあげることができた理由とは。どう戦略をたて、実行に移してきたのか。本連載では、デジタル、店舗、テレビCMなどに精通する藤原さんにその秘訣を伺います。今回のケーススタディは「ファッションEC」です。

ファッションECビギナーはまずモールから 自社ECサイトと並行運用する際の鍵は「在庫管理」

――DoCLASSEのECサイトリニューアルも担当された経験がある藤原さんに、今回は「ファッションEC」についてお伺いできればと思います。まず、自社でECサイトを持つこととモールに出店すること、それぞれのメリット・デメリットを教えていただけますか?

これは、ご自身の会社・ブランドがどのようなフェーズにあるかにもよりますね。「どちらをやるべきか?」と聞かれたら両方やるべきと答えるのですが、まったく経験がない状態、ゼロベースで自社ECサイトを立ち上げるのはかなりハードルが高いですから。

まず、ファッションがほかのプロダクトと違う点は、商品の寿命がとても短いというところです。夏物、冬物と季節によってラインナップが変わりますし、その年の流行りもあります。商品ひとつひとつの寿命が短いということは、それだけ在庫リスクを伴うということです。リスクを恐れて在庫を作らないようにすると、今後は欠品が起きてしまう。こういった在庫管理の知識がない状態で自社ECを立ち上げて回すのは、かなり難しいと言えるでしょう。「お店の経験があれば大丈夫」というわけでもないので、実店舗の店長が「これからECの店長をやりなさい」と言われて取り組んでも、なかなかうまくいくものではありません。そういった初心者に近い段階でECに取り組むのであれば、やはり最初はモールからかなと思います。

モールは、EC運営で一番大変な集客や商品の登録作業など、主な運用作業がマニュアル化されています。「人をどう集客するか」「売上をどう上げていくか」はまた別の話ですが、初めてEC運営に取り組む人が店舗運営を理解するには良い選択肢と言えるでしょう。モールでノウハウを学び、その知識を自社ECに展開していく、この流れが初心者には良いと思います。もともと自社ECサイトの運営経験がある人がいるのであれば、自社ECサイトを大きくしながらプラスでチャネルを作るという意味でモール出店するのが良いでしょうね。

しかし、自社ECサイトとモールを並行して運営する場合は、在庫をどうやって見せるか問題が出てきます。在庫を別々に持つのか、それとも一括管理するのか、やりかたはこのふたつですが、後者はモールと自社ECサイトのシステム連携をするにあたりお金がかかってきます。双方に在庫を持つやりかたのほうがお金はかかりませんが、在庫管理を行う場所が複数になってしまう。実店舗で考えたらA店とB店でそれぞれ在庫を持つことは当たり前ですが、ECはどの会社も少数精鋭で運営していることがほとんどですよね。少ない人数できちんと管理ができるかどうかは課題になってくるかなと思います。大手アパレル企業では、自社ECサイトとAmazonやZOZOTOWNなど各種モールの在庫を一括管理しているところもありますが、やはりシステム構築にはかなりのコストを要しています。

――別々に在庫管理を行う場合、需要と供給の見極めが重要になってきますよね?

モールごとに客層が違いますので、日々売れている数字を確認して見極めたり、計画したりする必要がありますね。あとは、自社ECサイトとモールでは販促の仕方が大きく変わりますから、どのように販促を行っていくかも重要です。モールの店舗の場合、お客さんからすると自分たちの店舗はあくまで多くのお店のうちのひとつに過ぎません。モールのなかでのSEO対策や広告運用、メール出稿やモール内のキャンペーンに参加して露出を図るなど、さまざまな手法を使ってお客さんに見つけてもらう必要があります。集客を行いながら販売の数字を見て、在庫の割り振りを決めていくと良いでしょう。

――お話を聞いていると、自社ECサイトとモールでは、運用する際の頭の使いどころがかなり違うように感じます。

そうですね。自社ECサイトとモールの担当者は分けたほうがいいと僕は思っています。自社ECサイトとモールは先ほども言ったように、売りかたが明らかに異なっています。実店舗で店舗ごとに店長がいるように、できれば担当者をひとりずつ置いたほうがいいですね。モールは売上と人的リソースに応じて兼務でも良いですが、少なくとも自社とモールは分けることをおすすめします。

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この記事の著者

ECzine編集部 木原 静香(キハラシズカ)

立教大学現代心理学部映像身体学科卒業後、広告制作会社、不動産情報サイトのコンテンツ編集、人材企業のオウンドメディア編集を経験し、2019年に翔泳社に入社。コマースビジネスに携わる方向けのウェブメディア「ECzine」の編集・企画・運営に携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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