キーワード登録不要、ECのための検索連動型広告
Googleショッピング広告は、Googleの検索結果に商品画像や商品名、価格、ショップ名などを表示できる検索連動型広告だ。PCでは画面上部や右側、スマートフォンでは画面上部などに掲載される。
大まかな配信の仕組みは次のとおり。
(1)ユーザーがGoogleで検索すると、(2)Google広告のシステムが検索語句を解析し、(3)商品情報が登録されている「Google Merchant Center」に問い合わせる。(4)Google Merchant Centerから関連する商品情報が送信され、(5)入札価格などの要素をもとにオークションを行った上で広告として表示する商品を決定。(6)オークション結果上位の広告から順に表示される。
「特徴のひとつとして、従来の検索連動型広告のようなキーワードの設定は不要です。ユーザーの検索語句とGoogle Merchant Centerに登録されている商品情報をマッチングさせて、関連性が高いと判断された商品が広告として表示されるようになっています」(田中氏)
Google Merchant Centerに登録する商品情報は、「商品フィード(データフィード)」と呼ばれる形式で用意する。商品に関するさまざまな情報を属性として記述したデータベースのようなイメージだ。
「Googleショッピング広告を始めるには、まず商品フィードを作成する必要があります。商品数が少なく、在庫切れもほとんどなければ、Googleスプレッドシードに入力して自力で作成することも可能です。ただし、更新にも非常に手間がかかるので、目安として商品数が100点以上ある場合は外部サービスの利用を検討したほうがよいでしょう」(田中氏)
Googleショッピング広告経由の集客・CVは増加傾向
Googleショッピング広告は、集客やコンバージョンにおいてどの程度の効果が見込めるのか。田中氏は、「アナグラムで運用しているアカウントの実績データのため、あくまで参考程度だが」と前置きした上でいくつか紹介した。
それによると、Google広告全体のコンバージョンのうちGoogleショッピング広告が占める割合は20~30%。Googleショッピング広告経由の訪問のうち、50%以上が新規とのこと。また、広告プロダクトごとのコンバージョン比率について2010年以降の推移を見ると、2011年までは従来の検索連動型広告が100%だったが、2012年からGoogleショッピング広告が徐々に増加。2018年には、Googleショッピング広告と動的リマーケティングを中心とした「データフィード広告」からのコンバージョンが47%以上を占めるまでになっているアカウントもある。
田中氏によれば、こうしたGoogleショッピング広告の成長は「必然的に起こっている」という。
Googleショッピング広告がアツい理由とは
なぜGoogleショッピング広告の成長は必然なのか。田中氏は「Googleショッピング広告がアツい理由」と題して、次の4つを挙げた。
1.目立つ(とくにモバイル)
検索結果の上部などに表示されるGoogleショッピング広告は、テキスト広告よりも圧倒的に目立つ。とくにモバイルは画面占有率が高く、インターフェイスも特徴的。Googleショッピング広告の部分のみカルーセル表示となり、左右のスワイプ操作で複数の商品を表示できる。「クイックビュー機能」では、商品を拡大表示したうえで左右スワイプでショップを切り替えたり、上下スワイプでショップ内の商品や関連製品を一覧表示させることも可能だ。
「目立つのでクリック率が高く、クリック率が高いほど広告の質が良いと判断されるため、クリック単価が安くなりやすいというメリットも生まれます。同じ予算でもより多くのクリックを得られるので、コンバージョンの増加につながります」(田中氏)
2.広告在庫とカバレッジの拡大
カルーセル表示の採用によって、広告在庫(表示される広告の数)が増加。以前は最大8枠程度までだったが、現在は20枠程度まで表示されるようになった。また、広告が表示されるキーワードの範囲も広がっている。ひと昔前は「商品名 通販」のように明確に購入意思があるようなキーワードを中心に広告表示されていたが、最近は商品名単体でも表示されやすくなっている。
「いずれも広告インプレッションの増加につながる改善であり、広告クリックの増加が期待できます」(田中氏)
3.商品詳細ページに誘導可能
たとえば「炭酸水 通販」の検索キーワードで表示されるテキスト広告は、どのメーカー・銘柄の炭酸水が欲しいのかまではわからないので、カテゴリページ(「炭酸飲料」「水・炭酸水」など)にリンクされがちだ。ショッピング広告では、商品画像とともにその商品詳細ページに直接誘導可能。これにより購買までのステップが少ない分、コンバージョン効率が高まる。
4.購買行動の変化に対応
博報堂買物研究所の調査レポート『買物フォーキャスト2018』では、情報量の増大により買物がストレス化し、「選ばない買物」へと向かう生活者の増加が指摘されている。
買物で選ぶことがストレスになると、必然的に検索やリサーチに対するモチベーションも低下していくものと考えられる。
「これからの検索広告は、最初の数秒でどれだけ強い印象を与えられるかが勝負になってくるでしょう」(田中氏)
現状では、検索結果の画面で「一等地」に掲載されるGoogleショッピング広告に一定のアドバンテージがあるといえるだろう。
Googleショッピング広告の効果を最大化するために
続いて田中氏は、Googleショッピング広告でより高い効果を引き出すためのポイントを解説した。
最初に挙げたのは、「Amazon Pay」の導入だ。広告運用と直接的には関係ないが、ユーザーの即断即決を促すという点においては、Googleショッピング広告を活用する目的とも一致する。
「インターネットで商品を購入しない理由として『会員登録が面倒』『個人情報のセキュリティが不安』という声が多いのですが(※クロス・マーケティング「オンライン消費に関する調査」2018)、Amazon Payを導入すれば面倒な会員登録は不要となります。住所や決済情報も入力不要でAmazon側で管理している登録情報を使うので、セキュリティの不安もかなり軽減されるでしょう」
ここからは、広告運用面でのポイントとなる。
重要な情報はできるだけtitle属性(商品名)の前方へ
Googleショッピング広告は、商品名が表示しきれずに「...」表示で省略されているケースが多い。同時に表示される商品数が多いほど、表示できる文字数は少なくなる。
「テレビなら画面サイズ、レコーダーならハードディスク容量など『その商品を選ぶときの基準になりうる情報』は、省略されないようにできるだけtitle属性の前方に入れる必要があります」(田中)
特定のキーワードを狙うなら、title属性を変更する
Googleショッピング広告はキーワードの登録ができないが、狙ったキーワードで広告を表示させる方法はある。たとえば、「母の日 商品名」のようにギフト用として検索されるキーワードで広告を表示させたい場合には、title属性に「母の日」を入れる。
なお、キーワードのマッチングと広告可視領域は関係ないので、狙いたいキーワードがあるが商品名の前方に入れるのは不都合がある場合などは、title属性の後半に入れておけばよい。ただし、商品詳細ページで「母の日に最適」など、母の日に関するコンテンツに乏しいと、母の日に関係ないと判断され、離脱につながってしまうことにもなりかねないので、乱用はおすすめしない。
バリエーション違いの商品で入札価格に差をつける
Googleショッピング広告で商品のグルーピングに使える属性はいくつか種類があり、商品によって入力される値が決まっている項目と柔軟に変更できる項目がある。
「Google商品カテゴリ」属性で商品グループを構成すると、テレビの区分は「電気製品>映像>テレビ」となる。それ以上詳細な区分に分けられないので、すべてのテレビの入札価格は一律で変えられない。
「たとえば、40インチのインプレッションを増やすために入札価格を変更したい場合などは、『商品カテゴリ(product_type)』属性を使えば独自のカテゴリを柔軟に設定できるので、画面サイズによって入札価格に差をつけることも可能となります」(田中氏)
ほかにも、田中氏は次のようなポイントを挙げた。
商品フィードのデータを整備する
思わぬキーワードで広告が表示されてしまわないように、判明している情報はできる限り正確に商品フィードに格納する。
運用データは配信デバイスごとに見る
PCとスマートフォンでは広告表示位置が大きく異なるので、インプレッションシェアやクリックシェアはデバイスごとに分割して確認する。
動的リマーケティングと組み合わせて活用する
Googleショッピング広告で呼び込んだ新規顧客に対して、動的リマーケティングで再訪を促す。
これからGoogleショッピング広告の運用を始めたい人はもちろん、すでに運用しているものの思うように成果が上がらない人にとっても、有用なヒントが得られたのではないだろうか。